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<概要>
 社団法人エネルギー・情報工学研究会議が、全国20才以上の男女3200人及び原発立地・周辺地域の成年男女800人を対象として、1994年10月にアンケートによる原子力に関する世論調査を行った。本タイトルでの調査項目は、主力発電認識度、今後10年間の主要電源見通し、原子力発電の重要度、原子力発電所の建設、大事故発生の可能性に関する意見である。原子力発電の重要性を認めている人は8割近くおり、今後10年間の主要電源として原子力発電を挙げる人は5割以上を占める。一方、少ない割合であるが否定している人もいる。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
電力・原子力に関する調査
1)主力発電認識度
問8 現在の日本で、発電量が最も多いのは次のうちどれだと思いますか。1つだけお選びください。(1つだけ○印)

2)今後10年間の主要電源見通し
問9 あなたは、今後10年の間にどのエネルギー源が主要な電源になると思いますか一つだけお選びください。(1つだけ○印)
 問8 主要発電認識度問9 主要電源見通し
 全国サイト全国サイト
 1 石油火力による発電53%38%11%8%
 2 石炭火力による発電1%2%1%1%
 3 天然ガスによる発電3%1%4%6%
 4 水力発電18%18%4%7%
 5 原子力発電22%39%51%56%
 6 太陽による発電1%0%23%18%
 7 地熱発電0%0%1%1%
 8 その他類2%0%1%0%
 9 わからない0%2%4%3%

 現在どの発電が主力になっているかについて、全国では「石油火力発電」と答えた人が最も多く、サイトでは「原子力」が最も多い。全国では「原子力発電」と答えた人の割合が2番目に多いが、サイトでは「石油火力発電」となっている。「水力発電」と答えた人の割合は、全国、サイトともに第3位となっている。「天然ガス発電」が実際には第3位を占めているにもかかわらず、全国、サイトともにその割合が非常に低い。
 主力発電認識度について、今回の結果を含めてこれまでの調査の結果を 図1 に示す。経年変化では、「石油火力発電」の割合は、全国では、過去最も低い割合となっている。サイトでは、前4回の増加傾向から一転して最も低い割合となり、「原子力発電」に次いで2位となった。「原子力発電の割合は、全国では、ここ4回増加傾向にあり、今回は最も高い水準となっている。サイトでは「原子力発電」の割合は、前回まで減少傾向にあったが、今回は過去最も高い割合となった。全国における「水力発電」の割合は、増加傾向にあり、サイトでもここ3回増加傾向に転じている。

参考データ:年間発電電力量(電気事業用)1992年度、( )内1994推定実実績
 1 原子力28.2%(31.3%)
 2 石油火力27.8%(22.4%)
 3 天然ガス火力22.3%(22.2%)
 4 石炭火力11.0%(12.3%)
 5 水 力10.5%(8.7%)

 今後10年間の主要な電源については、全国、サイトとも5割以上の人が「原子力発電」と考えており、全国に比べてサイトの方が「原子力発電」を考えている割合が多い。現在「原子力発電」とともに主力となっている「石油火力」が10年後も主要電源と考えている人は、全国、サイトとも少ない。一方「将来の有用エネルギー(問6)」では、今回も例年と同様、「太陽による発電」が多くの回答を得ているが、今後10年間の主要な電源としての「太陽による発電」は2割前後で、全国、サイトとも、「太陽による発電」を主要電源と考える人は少なく、この傾向も例年と変わらない。
 今後10年間の主要電源見通しについて、これまでの調査の結果を 図2 に示す。経年変化では、「原子力発電」が今後10年間の主要なエネルギー源という割合が、全国では5割台で推移している。サイトでは、ここ2回は6割をわって5割台となっている。「太陽による発電」は、全国でも、サイトでもここ3回は増加傾向で推移している。一方「石油火力発電」は、全国、サイトとも、ここ2回は低下傾向となっている。

3)原子力発電の重要度
問10 あなたは、原子力発電が今後の日本の電力需要を満たすのに、どの程度重要になるとお考えですか。(1つだけ○印)
 全国サイト
 1 非常に重要32%35
 2 ある程度重要47%42%
 3 あまり重要でない11%13%
 4 全く重要できない5%5%
 5 わからない5%5%
 無回答0%0%

 原子力発電が今後の日本の電力需要を満たすために、どの程度重要になると考えられているかについて、「非常に重要」と「ある程度重要」を合わせて全国、サイトとも8割近くの人が原子力を重要と考えている。一方「あまり重要ではない」、「全く重要でない」を合わせた、重視していない人の割合は、全国、サイトとも2割弱と少ない。
 原子力発電の重要度に関する意見について、これまでの調査の結果を 図3 に示す。経年変化では、原子力発電は何らかのかたちで重要という人の割合は、全国では7割台で推移しており、ここ3回は8割近くとなっている。サイトでは、前4回は8割台であったが、今回はじめて7割台となった。

4)原子力発電所の建設
問11 あなたは、今後原子力発電所の建設はどのようにするべきだと思いますか。あなたのお気持ちにちかいものを1つだけお選びください。(1つだけ○印)

 全国サイト
 1 積極的に推進する8%8%
 2 少しずつ推進する 31%32%
 3 現状を維持する30%28%
 4 少しずつ廃止する19%22%
 5 全面的に廃止する8%7%
 6 わからない4%2%
 無回答0%1%

 原子力発電所の建設の是非について、全国もサイトも、「積極的に推進」、「少しずつ推進」をあわせ、推進容認の人の割合はほぼ4割となっている。一方「少しずつ廃止」と「全面的に廃止」を合わせた廃止するべきと考えている人の割合はほぼ3割である。現状を維持するべきという人もほぼ3割となっている。
 原子力発電所の建設に関する意見について、これまでの調査の結果を 図4 に示す。経年変化では、全国では推進するべきという割合が、はじめて3割台となったが、現状維持はやや増え、一方廃止するべきという割合は、ここ3回ほぼ同水準となっている。サイトでは、推進するべきという割合が、前回に比べてやや減少しており、また現状を維持するべきという割合は減っている。一方廃止するべきという割合は増加傾向にある。

5)大事故発生の可能性
問12 あなたは、日本でもチェルノブイリ原子力発電所事故と同じような大事故が起こると思いますか。(1つだけ○印)
 全国サイト
 1 起こると思う18%16%
 2 起こる可能性が強いと思う40%29%
 3 起こる可能性が少ないと思う34%41%
 4 起こらないと思う3%7%
 5 わからない5%5%
 無回答0%2%

 原子力発電所で大事故が発生する可能性について、「起こると思う」、「起こる可能性が強い」の二つを合わせた何らかのかたちで大事故が発生すると思っている人の割合は、全国58%、サイト45%となっている。「起こる可能性は少ないと思う」と「起こらないと思う」を合わせた何らかのかたちで大事故は起こらないと思っている人の割合は、全国37%、サイト48%となっており、全国では大事故の発生を心配していない人よりも大事故の発生を心配している人の方が多いが、サイトではわずかではあるが、大事故の発生を心配していない人の方が多い。
 大事故発生の可能性に関する意見について、これまでの調査の結果を 図5 に示す。経年変化では、大事故の発生を心配している人の割合は、全国では1回ごとに増減を繰り返している。サイトでは最近2回は減少傾向にある。大事故の発生を心配していない人の割合も、全国では1回ごとに増減を繰り返している。サイトでは増減を繰り返すとともに、ここ2回5割近くで推移している。この結果、全国では1992年には一時縮まった大事故の発生の可能性について心配ありと心配なしの割合の差は再び拡がっている。一方サイトでは前回はじめて心配なしの割合が心配ありをわずかながら上回ったが、その傾向は今回も持続している。
<図/表>
図1 主力発電認識度
図1  主力発電認識度
図2 今後10年間の主要電源見通し
図2  今後10年間の主要電源見通し
図3 原子力発電の重要度
図3  原子力発電の重要度
図4 原子力発電の建設
図4  原子力発電の建設
図5 大事故発生の可能性
図5  大事故発生の可能性

<関連タイトル>
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「調査の概要」 (10-05-01-03)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(1)」 (10-05-01-04)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(2)」 (10-05-01-05)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「原子力発電の安全性」 (10-05-01-07)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・原子力の情報」 (10-05-01-08)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「核燃料リサイクル」 (10-05-01-09)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「国際比較」 (10-05-01-10)

<参考文献>
(1) 社団法人エネルギー・情報工学研究会議: エネルギー・原子力に関する世論調査と国際比較<報告書> 1995年1月
(2) 資源エネルギー庁:原子力発電関係資料 1995年8月
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