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<概要>
 社団法人エネルギー・情報工学研究会議が、全国20才以上の男女3200人及び原発立地・周辺地域の成年男女800人を対象として、平成6年10月にアンケートによる原子力に関する世論調査を行った。本タイトルでの調査項目は、エネルギー・原子力情報源、信頼できる原子力情報源、マスコミの原子力情報信頼度、電力会社および国の信頼度である。情報源としては「テレビ」、「新聞」が7-8割と高い。また、8割近くの人がマスコミの情報を信頼している。電力会社の信頼度は5割強、国への信頼度は5割前後で、国より電力会社の方が高い。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
エネルギー・原子力の情報に関する意識調査
1)エネルギー・原子力情報源
問15 あなたは、エネルギーや原子力についての情報は、次のうちどれで得ていますか。該当するものをいくつでもお選びください。(いくつでも○印)

2)信頼できる原子力情報源
問17 原子力についての安全性やあるいは危険性についての説明や情報について、信頼できると思うものは何ですか。(いくつでも○印)
 問15 情報源問17 信頼できる情報源
 全国サイト全国サイト
 1 テレビ86%81%56%59%
 2 新聞84%79%64%70%
 3 ラジオ18%15%16%15%
 4 雑誌類32%27%17%20%
 5 書籍19%23%19%23%
 6 サークルの情報誌7%8%7%8%
 7 電力会社のパンフ23%50%17%28%
 8 政府のパンフ類14%17%14%17%
 9 集会、講演会9%16%9%16%
10 パソコン通信1%0%1%0%
11 発電所等のPR館8%27%8%14%
12 知人3%8%3%7%
13 その他5%3%5%3%

 エネルギー・原子力情報源
 エネルギーや原子力についての情報は、全国もサイトでも「テレビ」や「新聞」から得ているケースが8割前後となっている。一方「ラジオ」は、全国で18%、サイト15%と少ない。「テレビ」、「新聞」に次いで多いのが、全国では「雑誌類」が32%で、サイトでは「電力会社のパンフレット類」が50%となっている。他に全国とサイトとで、大きく割合が異なるのが「発電所などのPR館」で、全国8%に対してサイトでは27%となっている。
 エネルギー・原子力に関する情報源について、今回の調査を含め、これまでの調査の結果を 図1 に示す。経年変化では、全国でもサイトでも「テレビ」や「新聞」は、ここ5回8割前後から9割の水準で推移いている。一方全国では、「雑誌類」や「本」、「電力会社のパンフレット類」や「政府のパンフレット類」などの割合が、前回に比べて減少しているが、「サ−クルの情報誌」は増えている。サイトでも全国的と同様、「雑誌類」の割合は減少し、また、「政府のパンフレット類、「発電所などのPR館」などの割合も減少しているが、特に「政府のパンフレット類」は30%から17%へと著しく減少している。前回と同様、全般的にエネルギー情報源と接触する機会が減少している傾向がある。

 信頼できる原子力情報源
 全国もサイトも、原子力についての説明や情報について、信頼できると思うものは「テレビ」、「新聞」などの割合が高く、特にサイトでの「新聞」の割合が最も高く、また「テレビ」よりも「新聞」の方が信頼度が高い。「ラジオ」の信頼度は、全国16%、サイト15%と同程度となっている。マスコミ以外では、「パソコン通信」や「その他」を除いた情報源を信頼する割合がサイトの方が高く、「電力会社のパンフレット類」は全国に比べてサイトでの信頼度が特に高い。
 信頼できる原子力情報源について、これまでの調査の結果を 図2 に示す。経年変化では、「テレビ」の信頼度が全国ではここ4回、サイトではここ3回低下傾向にある。マスコミ以外では、全国、サイトとも「サークルの情報誌」の信頼度が前回に比べて高くなり、またサイトでは「書籍」、「電力会社のパンフレット類」、「集会、講演会などの信頼度も高くなっている。一方サイトにおける「政府のパンフレット類」が、前2回の2割台から今回は1割台となった。

問17/問15 情報利用度に対する信頼度の割合
 参考までに、エネルギー・原子力の情報源それぞれについて、利用している割合(問15)に対する信頼度(問17)の割合を 図3 に示す。これからみると、「テレビ」、「新聞」、「ラジオ」ともサイトの方が、利用度に対する信頼度が高い。
 他の情報源については、「雑誌類」や「電力会社のパンフレット類」などを除けば、ほとんどの情報で100%となっている。これは、ここ2回全般的に情報源との接触が低下しているが、この低下傾向は情報を得る情報源が絞られてきている結果と思われ、それだけ情報源への信頼度が高まったものと考えられる。信頼に足る情報源に絞って情報を得ようとする態度の現れとみられる。

3)マスコミの原子力情報信頼度
問16 日常接している新聞、テレビ、雑誌などのいわゆるマスコミの原子力に関する情報は、どの程度信頼できると思いますか。(1つだけ○印)
 全国サイト
 1 信頼できる7%8%
 2 ある程度信頼できる71%71%
 3 あまり信頼できない16%18%
 4 信頼できない2%0%
 5 わからない4%2%
 無回答0%1%

 マスコミの原子力に関する情報は、「ある程度信頼できる」という意見が全国、サイトとも71%と多く、これに「信頼できる」という意見(全国7%、サイト8%)を加えると、全国のマスコミ信頼度は78%、サイト79%と、8割近くが原子力情報源として信頼していることがわかる。一方「あまり信頼できない」と「信頼できない」を合わせた割合は、全国、サイトとも18%と少ない。
 マスコミの原子力情報信頼度について、これまでの調査の結果を 図4 に示す。経年変化では、ある程度を含めてのマスコミ信頼度は、全国では、ここ5回8割前後で推移している。サイトでも、全国と同様の傾向がみられる。

4)電力会社および国の信頼度
問18 原子力発電を実施する電力会社や、安全管理に責任を負っている国の説明は、どの程度信頼できると思いますか。(それぞれ1つずつ)
 A 電力会社への信頼度B 国への信頼度
 全国サイト全国サイト
 1 信頼できる5%8%3%6%
 2 ある程度信頼できる52%46%42%44%
 3 あまり信頼できない29%32%33%31%
 4 信頼できない9%9%14%11%
 5 わからない4%5%5%3%
 無回答1%0%3%5%

 電力会社の説明について、「信頼できる」という人は、全国5%、サイト8%と少ないが、「ある程度信頼できる」という人は、全国52%、サイト46%で、二つの回答を合わせた信頼度は、全国57%、サイト54%と半数を超えている。一方「あまり信頼できない」は、全国29%、サイト32%で、これに「信頼できないを加えた信頼していない人に割合は、全国38%、サイト41%となっている。
 電力会社への信頼度について、これまでの調査の結果を 図5 に示す。経年変化では、電力会社への信頼度は、全国では、ここ2回6割近くになっている。サイトでは、過去で最低の水準となり、はじめて全国での信頼度をサイトでの信頼度が下回った。

 国の説明を「信頼できる」という割合は、全国3%、サイト6%と低い。「ある程度信頼できる」は、全国42%、サイト44%で、「信頼できる」と「ある程度信頼できる」を合わせた信頼度は、全国45%、サイト50%となっており、サイトでの信頼度の方がやや高い。反対に国の説明を信頼していない人の割合は、全国47%、サイト42%となっている。電力会社の信頼度と国の信頼度を比べると、電力会社の信頼度の方が高い。
 国への信頼度について、これまでの調査の結果を 図6 に示す。経年変化では、国への信頼度は、全国では、前回はじめて5割台となったが再び4割台となり、信頼できる人の割合が信頼できない人の割合を下回っている。サイトでは、ここ4回信頼度の低下傾向がみられる。
<図/表>
図1 エネルギー・原子力情報源
図1  エネルギー・原子力情報源
図2 信頼できる原子力情報源
図2  信頼できる原子力情報源
図3 情報利用度に対する信頼度の割合
図3  情報利用度に対する信頼度の割合
図4 マスコミの原子力情報信頼度
図4  マスコミの原子力情報信頼度
図5 電力会社への信頼度
図5  電力会社への信頼度
図6 国への信頼度
図6  国への信頼度

<関連タイトル>
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「調査の概要」 (10-05-01-03)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(1)」 (10-05-01-04)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(2)」 (10-05-01-05)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「電力・原子力」 (10-05-01-06)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「原子力発電の安全性」 (10-05-01-07)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「核燃料リサイクル」 (10-05-01-09)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「国際比較」 (10-05-01-10)

<参考文献>
(1) 社団法人エネルギー・情報工学研究会議:エネルギー・原子力に関する世論調査と国際比較<報告書>1995年1月
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