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<概要>
 社団法人エネルギー・情報工学研究会議が、全国20才以上の男女3200人及び原発立地・周辺地域の成年男女800人を対象として、1994年10月にアンケートによる原子力に関する世論調査を行った。本タイトルでの調査項目は、エネルギー自給率認識度、エネルギー需給見通し、生活とエネルギー、将来の有用エネルギー、原子力の必要の見通しである。エネルギー自給率については、ほぼ6割の人が比較的正確な認識を持っている。将来の有用エネルギーについては、太陽が1位、原子力は2位となっている。原子力の必要性では、6割の人が肯定し、2割弱の人が否定となっている。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
エネルギー・環境問題についての意識調査(2)
3)エネルギー自給率認識度
問3 現在、日本のエネルギー自給率(エネルギー消費量のうち、日本で生産供給できる割合)はどの程度だとおもいますか。(該当する箇所に○印をおつけください)
全国サイト全国サイト
10%未満39%37%60−70%未満3%3%
10−20%未満34%37%70−80%未満3%5%
20−30%未満22%22%80−90%未満1%2%
30−40%未満4%2%90%以上1%1%
40−50%未満1%2%無回答2%0%
50−60%未満6%10%   

 エネルギー自給率(1992年度 16.7%)について、正解である回答「10−20%未満」の割合が、全国、サイトとも2割5分前後となっており、ほぼ同程度の層が、正確な認識をもっている。前後の回答枠を含めた正解に近い人の割合も、6割前後で全国とサイトの認識はほぼ同程度となっている。
 エネルギー自給率認識度について、これまでの調査の結果を 図1 に示す。「10%未満」から「20−30%未満」までを含めた、正解に近い人の割合の経年変化をみると、どの年をとっても全国の方がやや正確な認識をもっている。前4回は全国、サイトとも6〜7割の人がエネルギー自給率についてかなり正確な認識をもっている状況が定着しつつあったが、今回はともに認識度が若干低下している。

4)エネルギー需要見通し
問4 今後10年間の間に、日本のエネルギーの需要は増えると思いますか、減ると思いますか。(1つだけ○印)
    全国  サイト
需要は増える80%88%
需要は減る9%5%
変わらない9%6%
わからない3%1%
無回答0%0%

 今後10年間に、日本のエネルギー需要が増えるかどうかについて、全国、サイトとも8割以上の人が「エネルギー需要は増える」と見通している。「需要は減少する」と見通す人は、ともに1割以下と少ない。
 エネルギー需要見通しに関する意見について、これまでの調査の結果を 図2 に示す。経年変化では、全国、サイトとも9割前後の人が「エネルギー需要は増える」と見通す割合が、前4回は9割前後で推移していたが、全国での今回の割合は、過去最も低い水準となっている。サイトでは4年ぶりに8割台となった。

5)生活とエネルギー
問5 生活とエネルギーについて、あなたのお考えに近いものをお選びください。(1つだけ○印)
    全国  サイト
エネルギー消費増加もやむを得ない39%37%
エネルギー消費を少なくしたい34%37%
現在の水準でよい22%22%
わからない4% 2% 
無回答1%2%

 生活とエネルギーについて、「生活を向上させていくためには、エネルギー消費の増加もやむを得ない」と考えている人と「生活の質を落としても、エネルギー消費を少なくしたい」と考えている人が、全国、サイトともにそれぞれ4割弱となっている。全国では、エネルギー消費の増加をとる人が抑制より若干多い。また「現在の水準でよい」という人もそれぞれ2割いる。
 生活とエネルギーに関する意見について、これまでの調査の結果を 図3 に示す。経年変化では、「エネルギー消費の増加」の意向が、全国では、1989年に比べてここ4回低い状態が続いている。また、「エネルギー消費減少」の意向は前回より減少し、1991年の水準近くに戻っている。「現在の水準でよい」という人の割合2割前後で推移している。
 サイトでは「エネルギー消費増大」の意向は、ここ5回では最も低い割合となり、はじめて3割台となった。「エネルギー消費を少なく」という意向は、ここ4回は3割台で推移しているが、今回は最も高い水準となっている。「エネルギー消費増加もやむを得ない」と「エネルギー消費を少なくしたい」の割合がはじめて同じ割合となった。

 「日本のエネルギー需要の見通し(問4)」については、ここ5回全国では8−9割で、サイトでは9割前後の人が「今後10年間のエネルギー需要は増える」と考えているが、自分の生活でのエネルギー消費では「エネルギー消費の増加もやむを得ない」と考えている人の割合は、ここ4回4割前後となっており、国全体のエネルギー需要は増加するという見通しに比べて、個人でのエネルギー消費増加もやむを得ないという割合は半分以下という傾向が定着しつつある。

6)将来の有用エネルギー
問6 将来にわたって、日本に最大の利益をもたらすと思われるエネルギーを2つあげてください。
全国サイト全国サイト
太 陽59%56%風 力4%3%
原子力41%46%核融合3%1%
水 力15%17%水 素3%1%
石 油13%11%海洋エネルギー3%1%
地 熱8%8%石 炭1%2%
天然ガス6%3%   

 全国、サイトとも「太陽」、「原子力」への期待が高く、次に「水力」、「石油」となっている。
 将来の有用エネルギーに関する意見について、これまでの調査の結果を 図4 に示す。経年変化では、「太陽」の割合が、全国、サイトとも、前回に比べて低くなっている。「原子力」の割合は、全国ではここ5回4割で推移しているが、今回は最も低い水準となっている。サイトでは「原子力」と「太陽」の割合が1991年に逆転して以来、その状況は変わらないが、「原子力」、「太陽」とも1991年の水準に戻っている。「石油」の割合は、全国、サイトとも低下傾向が続いている。「水力」は、全国ではここ5回10数%の割合で推移している。サイトでは、「水力」は前2回連続して低下していたが、今回は過去最も高い水準となっている。さらに、サイトでは「地熱」が再び1桁台となった。その他のエネルギーは、全国では「海洋エネルギー」など低い割合で推移しており、サイトでは「海洋エネルギー」や「核融合」の割合が著しく低下した。全国、サイトとも
「太陽」を除く新エネルギーへの期待が低い。

7)原子力の必要性の見通し
問7 あなたは、全体のエネルギーミックス(色々なエネルギー源でエネルギー供給全体を構成すること)の一部として、原子力に対して今後わが国での必要性が増すと思いますか。(1つだけ○印)
    全国  サイト
1 必要性が増える60%64%
2 必要性が増えない18%18%
3 わからない21%18%
無回答1%0%

 エネルギーミックスの一部として、「原子力の必要性が増える」と考えている人の割合が、全国、サイトとも6割で、サイトの方が「原子力の必要性の増加」を見通す人がやや多い。「必要性が増えない」と考えている人は、全国、サイトとも2割弱であるが、「わからない」という人も全国で2割強、サイトでも2割弱いる。
 原子力の必要性の見通しに関する意見について、これまでの調査の結果を 図5 に示す。経年変化では、「原子力の必要性が増える」と考えている人の割合が、全国ではここ5回6割台で推移しているが、今回は89年の最も低い水準と同じになっている。「必要性が増えない」という割合は、前回とほぼ同じ水準となっている。サイトでも同様に、「必要性が増える」とい割合は、ここ5回6−7割で推移しているが、今回は最も低い水準になっている。一方「必要性が増えない」という割合は、今回は前回と同じ水準となっている。
<図/表>
図1 エネルギー自給率認識度
図1  エネルギー自給率認識度
図2 エネルギー需要見通し
図2  エネルギー需要見通し
図3 生活とエネルギー
図3  生活とエネルギー
図4 将来の有用エネルギー
図4  将来の有用エネルギー
図5 原子力の必要性の見通し
図5  原子力の必要性の見通し

<関連タイトル>
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「調査の概要」 (10-05-01-03)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(1)」 (10-05-01-04)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「電力・原子力」 (10-05-01-06)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「原子力発電の安全性」 (10-05-01-07)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・原子力の情報」 (10-05-01-08)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「核燃料リサイクル」 (10-05-01-09)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「国際比較」 (10-05-01-10)

<参考文献>
(1) 社団法人エネルギー・情報工学研究会議:エネルギー・原子力に関する世論調査と国際比較<報告書> 1995年1月
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