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<概要>
 原子炉施設、核燃料施設及び核燃料輸送容器についての工学的安全性に係る研究(以下「原子力施設等安全研究」という)については、今後とも長期的視点に立って計画的かつ総合的に推進する必要があり、このため、原子力安全委員会原子力施設等安全研究専門部会は、昭和51年以降国として実施すべき安全研究課題についてその必要性、研究内容、実施機関等について審議し、その結果を「原子力施設等安全研究年次計画」としてとりまとめてきた。
 原子力安全委員会は、本年次計画(平成13年度−17年度)について検討した結果、原子力施設等安全研究は、今後この計画に沿って積極的に進められることが適当であるとしている。本文に本年次計画の概略を示す。
<更新年月>
2002年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.本年次計画策定の経緯
 原子炉施設、核燃料施設及び核燃料輸送容器についての工学的安全性に係る研究(以下「原子力施設等安全研究」という)は、昭和51年以来旧原子力施設等安全研究専門部会(平成12年9月の専門部会再編により「原子力安全研究専門部会」に再編された)が策定した5ヵ年計画、すなわち「原子力施設等安全研究年次計画」に基づき、対象とする施設等の拡大等を行いつつ、推進されてきた。
 原子力開発利用にあたっては安全の確保が大前提であり、安全研究は原子力安全に関する研究及び技術水準の維持向上を図るために、また原子力施設の安全性を高い水準に維持していく原子力安全インフラストラクチャとして極めて重要である。これらの研究成果は原子力安全委員会が原子力発電所等の設置(変更)許可等の安全審査を行う際に使用する安全審査指針等の整備に活用され、また安全審査における判断に必要な資料を提供するとともに、軽水炉の高度化、核燃料サイクル事業の本格化等の原子力開発利用の拡大と多様化に資するものである。このため、安全研究の実施にあたっては将来を十分に見込んだ戦略的な計画を策定するとともに、各研究実施機関間の連携を図りながら推進していく必要がある。
2.本年次計画策定に係る検討の進め方
 ここ数年間の原子力の開発・利用を巡る国内外の動向を踏まえると、今後10年を待たずして軽水炉における多様な燃料使用とその高燃焼度化対策、これに伴う核燃料施設の高度化及び輸送時の配慮、原子力施設における高経年化対策、廃止措置及びそれに伴う合理的廃棄物対策、高速増殖炉技術の高度化への対策、兵庫県南部地震以降の研究の進展を踏まえた耐震評価などで特に、安全審査ないしは安全規制の面で適切な判断に必要な科学的知見の蓄積が求められるため、本年次計画策定にあたってはこれらを念頭に置き下記に記す検討会を設け検討を進めた。
 原子力施設等安全研究はその研究対象範囲が広いため、各研究分野ごとに以下に示す6検討会において検討を実施した。
(1)水炉検討会
(2)高速増殖炉検討会
(3)核燃料施設検討会
(4)放射性物質輸送検討会
(5)原子力施設耐震等検討会
(6)確率論的安全評価等検討会

 上記の経緯を経て、平成13年度以降5カ年間に国として実施すべき安全研究課題について、その必要性、研究内容、実施機関等について審議し、その結果を「原子力施設等安全研究年次計画(平成13年度〜平成17年度)」としてとりまとめた。紙面の都合で総てを紹介できないので、 表1-1表1-2 に本年次計画に基づく安全研究課題を示す。詳しくは参考文献1を参照されたい。
<図/表>
表1-1 原子力施設等安全研究年次計画に基づく安全研究課題(1/2)
表1-1  原子力施設等安全研究年次計画に基づく安全研究課題(1/2)
表1-2 原子力施設等安全研究年次計画に基づく安全研究課題(2/2)
表1-2  原子力施設等安全研究年次計画に基づく安全研究課題(2/2)

<関連タイトル>
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)水炉の安全性に関する研究 (10-03-01-06)
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)核燃料施設の安全性に関する研究 (10-03-01-07)
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)放射性物質輸送の安全性に関する研究 (10-03-01-08)
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)原子力施設の耐震等の安全性に関する研究 (10-03-01-09)
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)原子力施設等の確率論的安全評価等に関する研究 (10-03-01-10)
原子力施設等安全研究年次計画(平成8年度〜平成12年度)高速増殖炉の安全性に関する研究 (10-03-01-17)

<参考文献>
(1) 原子力安全委員会・原子力施設等安全研究専門部会:原子力施設等安全研究年次計画(平成12年4月21日)
(2) 原子力安全委員会(編):原子力安全白書 平成12年版、財務省印刷局(2001年4月),p.159-164
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