<大項目> 基礎基盤研究および先端的研究
<中項目> 原子力利用分野拡大に関する研究開発
<小項目> 新概念の原子力システム
<タイトル>
米国DOEのNERI関連研究計画 (07-02-01-09)

<概要>
 原子力研究イニシアティブ(Nuclear Energy Research Initiative:NERI)計画は、米国エネルギー省(DOE)が、原子力分野での国際競争力を確保し、21世紀におけるエネルギー・環境問題の主導権を確保することを目的として、1999会計年度に開始した公募型研究プログラムである。研究分野は、革新的原子炉、先進燃料技術、核廃棄物処理技術、原子力基礎科学等である。さらにDOEは、2030年頃の実用化を目指したGeneration IV(第4原子炉世代)計画を提案した。NERI計画では、1999年度から2002年度の4年間で93件の課題を採択した。DOEはこれに加えて既存プラントの価格競争力を増すための技術開発を促進する目的で、2000会計年度から原子力エネルギープラント最適化(Nuclear Energy Plant Optimization:NEPO)計画も開始させた。なお、NEPO計画は民間資金によって運用されている。また、NERI計画に密接に関連して、I-NERI計画、原子力大学計画(NEUP)も立ち上げられている。
<更新年月>
2011年07月   

<本文>
1.概要
 1997年11月に米国で発表された大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の報告書(参考文献1)は、原子力エネルギー利用の重要性と、大学、国立研究所、産業界の原子力科学技術再活性化の必要性を主張している。米国エネルギー省(DOE)はこの報告を受けて、原子力研究イニシアティブ(Nuclear Energy Research Initiative:NERI)計画と原子力エネルギープラント最適化(Nuclear Energy Plant Optimization:NEPO)計画の2種類の公募型研究プログラムを議会に提案した。
 NERI計画の目的は、原子力科学技術のインフラストラクチャーの維持・発展、原子力分野での国際競争力の確保、21世紀におけるエネルギー・環境問題の主導権の確保であり、長期的かつ戦略的な意図を有している。1999会計年度から公募研究を開始した。研究分野としては、革新的原子炉、先進燃料技術、核廃棄物処理技術、原子力基礎科学等である。一方、NEPO計画は既存プラントの価格競争力を増すための技術開発を促進するもので、2000会計年度から開始している。さらにDOEは、2030年頃の実用化を目指して、持続可能性の確保、安全性/信頼性の向上、及び高い経済性を目標とするGeneration IV(第4世代原子炉)計画を提案し、国際的な協力のもとに推進している。
2.現状
 NERI計画では1999年度から2002年度までの4年間に、総額$110Mの予算により総計93件の課題を採択した。採択件数は、1999年度が46件、2000年度が10件、2001年度が13件、2002年度が24件である。研究期間は1年から3年とされているが、ほとんどは3年計画である。2003年度までの参加研究機関は、米国内大学27件、DOE研究所11件、政府機関2件、米国民間企業27件、外国の研究機関28件である。なお、採択課題の大部分は2機関以上の協力研究である。資金の配分割合は、大学31%、国立研究所47%、民間企業22%となっている。2004年にDOEはNERI計画の再調整を行った。すなわち、NERI計画では既存のDOEのR&D計画に関連した原子力応用研究に資金を提供することとする。既存のR&Dとは、第4世代原子炉計画及び燃料サイクル研究開発計画である。また、新NERI計画はすべて米国内の参加大学を主担当機関として進められる。また、2001年度に、DOEは国際NERI計画(I-NERI)を立上げ、ブラジル、カナダ、ユーラトム、フランス、日本、OECD/NEA及び韓国から参加を得て、国際的に計画を推進している。さらに、2008年度には、大学における原子力研究の推進と人材育成の強化の観点から、原子力大学計画(NEUP)が立ち上げられ、NERI計画と密接な連携の下、進められている。
3.採択課題
 1999年度から2002年度までのNERI研究採択課題を表1-1表1-2表2表3表4-1及び表4-2に示す。採択課題についてはDOEのホームページ(参考文献2)に記載されている。公開された採択課題を項目ごとに分類し、その概要を以下に述べる。
(1)原子炉技術に関する採択課題
 初年度には、第4世代原子炉の概念を先取りするものとして、核拡散抵抗性を高めることと開発途上国への原子炉輸出を両立させるため、15年間燃料交換が不要でサイトでは核燃料の取扱いは行わず、寿命が尽きれば製造国に丸ごと持ち帰る可搬方式の小型原子炉の研究(4件)を始め、稠密格子の採用によるトリウムからウラン233への転換により燃焼度向上とともにプルトニウムの余剰を抑制する高転換炉、直接エネルギー変換炉、受動的安全軽水炉、高温ガス炉等の新型原子炉概念及び関連要素技術の研究課題が採択された。さらに設計・製造コストの低減、定期検査期間の短縮など産業界サイドの実用的な研究課題4件を含め全採択件数の半分近い21件の課題が採択された。
 2000年度には、さらに第4世代原子炉との連携を重視した実用的な研究を指向しており、原子炉システムの設計と配置の概念、次世代炉の機器異常予報技術、計測技術等の第4世代原子炉基盤技術が3件、ガス炉関連が2件、受動安全PWR、オンライン燃焼モニタリングシステムについて各1件の計7件が採択されている。
 2001年度には、第4世代原子炉技術関連課題が新規採択件数の半分以上の7件となっている。具体的には、受動的安全性能の実験、バーチャル環境での原子炉システム設計費低減、超臨界圧軽水冷却高速炉、ガス冷却高速炉、温度依存熱中性子散乱則の開発、超臨界圧軽水炉の構造材の亀裂進展、スエリング及び照射クリープ評価方法の開発である。なお超臨界圧炉については、他の分野も含め3件の課題が採択されたことは注目すべきである。
 2002年度には、直接エネルギー変換核分裂炉や高温鉛冷却高速炉などの先進的な原子炉概念の提案と、原子炉出力監視システムやPWRの機器・水化学など、現実的な課題解決を目指した課題をバランスよく採択している。また、水素製造関係で3件の課題が採択されており、米国における次世代原子力プラント(NGNP)計画で原子力水素製造を具体化しようとする動きと関連していると思われる。
(2)燃料技術に関する採択課題
 初年度の燃料分野の採択課題では、直接処分を目指したワンススルー燃料の研究、高燃焼度トリウム燃料の研究等、核拡散抵抗性を高めることに重点を置いた研究課題に特徴がある。また、高燃焼度燃料開発に関連した課題や先進的な燃料被覆管材料の研究など、商用軽水炉への適用を目的とした研究課題も目立つ。
 2000年度及び2001年度には燃料技術に関する採択件数はそれぞれ1件のみで、PWRでのトリウム利用及び高燃焼度化に関する課題である。
 2002年度には再び燃料技術関連の採択件数が増加し、被覆粒子燃料、酸化物燃料、固体水素化物燃料など、6件の課題が採択されている。
(3)核廃棄物処理の新技術に関する採択課題
 初年度に、バックエンド対策技術についても基礎的なアプローチにより技術的ブレークスルーを図ろうとする積極的な課題が5件採択されたが、2000年度以降には新規採択はなかった。
(4)原子力基礎科学に関する採択課題
 基礎科学として分類した課題でも、その研究対象としては、例えば高温ガス炉、鉛冷却高速炉、超臨界圧炉などの新型原子炉への応用を想定するか、あるいは被覆管材料、照射誘起応力腐食割れなど特定の原子力技術上の課題に対応しており、基礎的な研究手法を採用しているが、研究目的は原子力エネルギー技術の高度化として明確に位置づけられている。
 初年度の採択課題としては、耐放射線性材料開発など材料科学分野が6件、熱流動・計算科学分野が3件、原子炉物理分野が2件、放射線化学分野が2件である。
 2000年度には蒸気発生器の流体起因構造振動と核異性体の研究の計2件、2001年度には材料、計測、炉物理の分野等で計5件が採択されている。2002年度には、先進的抽出法、核計算の新手法開発、超臨界水の放射線分解など、6件が採択されている。
4.NERI計画の採択件数及び予算
 1999年度から2004年度までのNERI採択件数は83件で、その内訳は新型炉設計及び技術47件、先進燃料・燃料サイクル16件、基礎原子力科学25件、放射性廃棄物管理5件であった。2005年度から2009年度までの採択件数は93件で、内訳は第4世代原子炉原子炉関連33件、原子力水素計画12件、先進燃料サイクル計画48件であった。
 1999年度から2004年度までの6年間における総予算は110.8百万ドル、内訳は大学32%、産業界21%、国立研究所47%であった。2005年度から2008年度までの4年間の総予算は74.6百万ドルで、内訳は大学95%、国立研究所4%、産業界1%であった。
5.NERI修正法
 2011年5月に、Udall上院議員(コロラド州)他2名の上院議員が2012年から2016年の5年間を対象としたNERI修正法を、上院エネルギー天然資源委員会に提出した。修正法は、2005年「エネルギー政策法」を一部改訂するとともに、発電用原子炉の製造・建設に係るコストの低減、その他を目的とした研究開発及び実証プログラムの実施をエネルギー省に求めることを目的としている。これについての公聴会等が開催されている。
(前回更新:2004年6月)
<図/表>
表1-1 NERI計画1999年度採択課題(1/2)
表1-2 NERI計画1999年度採択課題(2/2)
表2 NERI計画2000年度採択課題
表3 NERI計画2001年度採択課題
表4-1 NERI計画2002年度採択課題(1/2)
表4-2 NERI計画2002年度採択課題(2/2)

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<関連タイトル>
第4世代原子炉 (07-02-01-10)
米国エネルギー省(DOE) (13-01-02-08)

<参考文献>
(1)President's Committee of Advisors on Science and Technology (PCAST), Panel on Energy Research and Development, "Report to the President on Federal Energy Research and Development for the Challenges of the Twenty-first Century", November 1997.
(2)DOEホームページ:
(3)Office of Nuclear Energy, Science and Technology, USDOE "Research Abstracts Nuclear Energy Research Initiative", October(1999).
(4)岩村公道、他:NERI(Nuclear Energy Research Initiative)計画で採択された研究課題の概要、JAERI-Review 99-017(1999).
(5) NERI 2009 Annual Report:

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