<大項目> 基礎基盤研究および先端的研究
<中項目> 原子力利用分野拡大に関する研究開発
<小項目> 新概念の原子力システム
<タイトル>
第4世代原子炉 (07-02-01-10)

<概要>
 第4世代(Generation IV,GEN-IV)原子炉とは、米国エネルギー省DOE)が2030年頃の実用化を目指して提唱した次世代の原子炉の一般的な概念である。第4世代原子炉は、燃料の効率的利用、核廃棄物の最小化、核拡散抵抗性の確保等エネルギー源としての持続可能性、炉心損傷頻度の飛躍的低減や敷地外の緊急時対応の必要性排除など安全性/信頼性の向上、及び他のエネルギー源とも競合できる高い経済性の3項目の目標を満足する必要がある。
 このプログラムを国際的な枠組みで推進するため、米国、日本、英国、韓国、南アフリカ、フランス、カナダ、ブラジル、アルゼンチンの9カ国が2001年7月に第4世代国際フォーラム(Generation IV International Forum:GIF)を結成した。現在までに世界12カ国から、水冷却炉28、液体金属冷却炉32、ガス冷却炉17、その他17の計94の原子炉概念が提案されている。最終的には各分野で数個の概念を選択して、2002年9月を目標に計画策定書(ロードマップ)を作成することになっている。
<更新年月>
2001年10月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.第4世代原子炉計画の背景と経緯
 第4世代(Generation IV,GEN ABWR)原子炉とは、米国エネルギー省(DOE)原子力エネルギー科学技術局が提唱した次世代の原子炉の一般的な概念である。提案の背景としては、1997年11月に発表された大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の報告書でも指摘されているように、21世紀には発展途上国における生活水準向上を伴う人口増加による電力需要増大に対応するため、高い経済性と安全性、放射性廃棄物発生量の抑制、核拡散抵抗性等を具備した革新的原子炉システムの開発が必要との認識がある。特に、21世紀の原子力分野で米国の競争力を維持し、国際的な主導権を確保するとともに、米国の大学、国研、産業界の原子力科学技術再活性化を図る戦略的な狙いもある。DOEが1999年度から開始した公募型研究プログラムである原子力研究イニシアティブ(Nuclear Energy Research Initiative:NERI)計画でも第4世代計画に関連した課題を重点的に採択している。また2001年度からは、第4世代計画を国際的な枠組みで推進するため、国際NERI(International Nuclear Energy Research Initiative:I-NERI)計画を開始した。
2.第4世代原子炉の概要
  図1 にこれまでの原子力発電システムの進展と将来の展望を示す。第1世代(GEN-I)は1950年代から1960年代前半に運転を開始した初期の原型炉で、シッピングポート PWR、ドレスデン BWR、及び黒鉛減速炭酸ガス冷却のマグノックス炉等がこれに相当する。第2世代(GEN-II)とは、1960年代後半から1990年代前半に建設された商業用原子炉群で、そのほとんどは現在も原子力発電の中核として世界中で運転が継続中であり、PWR、BWR、CANDU、及びロシアのVVER、RBMK等である。第3世代(GEN-III)とは、1990年代後半から2010年代頃に運転開始する原子炉で、第2世代の改良型として開発された、ABWR、System80+、AP600、EPR等である。DOEは短期間(2010年から2030年頃)で実用化を図るため、GEN-IIIの経済性を向上させた改良型炉をGEN-III+としている。第4世代(GEN-IV)とは、2030年頃の実用化を目指し、天然ガス火力発電とも競合できる高い経済性、高度な安全性、放射性廃棄物の負担の最小化、及び高度な核拡散抵抗性等の特徴を具備した革新的原子炉である。
3.計画策定書の作成
 米国では長期研究開発計画を策定する原子力エネルギー研究諮問委員会(Nuclear Energy Research Advisory Committee:NERAC)において、第4世代の開発目標を策定し、計画策定書のガイドラインを作成している。また、NERACの下に設置された、民生用原子力利用の核拡散抵抗性向上のための技術可能性(Technical Opportunities for Increasing Production Resistance of Nuclear Power Systems:TOPS)タスクフォースにおいて、第4世代の重要な目標である核拡散抵抗性を向上する原子炉技術及び燃料サイクル技術とその研究開発計画、国際協力項目等を検討している。
 第4世代炉は米国の提唱で開始したが、米国はこのプログラムを国際的な枠組みで推進するため、第4世代国際フォーラム(Generation IV International Forum:GIF)を結成した。GIFについては、2001年7月に、米国、日本、英国、韓国、南アフリカ、フランス、カナダ、ブラジル、アルゼンチンの9カ国が憲章に調印し、正式に発足した。事務局は、経済開発協力機構(OECD)の原子力機関(NEA)に設置された。
 2001年5月には第4世代計画策定書を具体的に検討するため技術作業グループ(Technical Working Group:TWG)が発足した。TWGは、評価方法を検討するグループと、各炉型別に検討する水炉、ガス炉、液体金属炉、及び以上のいずれにも属さない非古典的概念炉のグループ、及び炉型横断的な燃料サイクルクロスカットグループから構成されており、日本からも研究機関、電気事業者、大学等の専門家が参加している。
 第4世代計画策定書の作成は、NERACがガイドラインを提案し、関係各国から公募したアイデアをGIF参加各国及びIAEAの専門家が参加する上記TWGで検討し、その結果を計画策定書統合チーム(Roadmap Integration Team:RIT)がレビューし、DOEの承認のもとにGIFが保証するとのプロセスで決定される( 図2 )。
4.第4世代原子炉の開発目標
 第4世代の開発目標については、当初の米国の意向では核拡散抵抗性を主眼として、途上国向けの超長寿命炉心密閉型小型炉などの概念を指向していたが、2000年5月の「国際ワークショップ」、2000年8月の「GIFソウル会議」、及び2001年3月の「GIFパリ会議」等を経て、わが国を含む米国以外の参加国の意見も反映し、より広い概念としての次世代原子力システムの開発を目指すようになった。
 第4世代炉の開発目標は、持続可能性、安全性/信頼性向上、経済性向上の3項目であり、それぞれの項目について以下のような目標を設定している。
(1) 持続可能性
・ 燃料の効率的利用により持続可能なエネルギー生産手段を提供する
・ 核廃棄物の最小化と管理により長期的な管理役務を軽減し公衆の健康と環境保護を可能とする
・ 兵器用物質としての転用や盗難が極めて困難なことを保証する
(2) 安全性/信頼性向上
・ 卓越した安全性及び信頼性の確保
・ 炉心損傷の頻度及び度合いの飛躍的低減と早急なプラント運転の回復
・ 敷地外の緊急時対応の必要性を排除
(3) 経済性向上
・ 他のエネルギー源よりもライフサイクルコストにおいて優位
・ 資金的リスクレベルが他のエネルギープロジェクトに匹敵
5.第4世代として提案された原子炉概念
 DOEは2001年4月に第4世代原子炉システムの概念を公募した。その結果、世界12カ国から、水冷却炉28、液体金属冷却炉32、ガス冷却炉17、その他17の計94の原子炉概念が提案された。提案された概念の分類を 表1−1表1−2表1−3表1−4表1−5表1−6表1−7 および 表1−8 に示し、国別の応募状況を 図3 に示す。最終的には各分野で数個の概念に絞り込んで、2002年9月に計画策定書を完成させる予定で評価作業を行っている。
<図/表>
表1−1 第4世代原子炉に応募した概念(1/8)
表1−2 第4世代原子炉に応募した概念(2/8)
表1−3 第4世代原子炉に応募した概念(3/8)
表1−4 第4世代原子炉に応募した概念(4/8)
表1−5 第4世代原子炉に応募した概念(5/8)
表1−6 第4世代原子炉に応募した概念(6/8)
表1−7 第4世代原子炉に応募した概念(7/8)
表1−8 第4世代原子炉に応募した概念(8/8)
図1 原子力発電の進化と第4世代原子炉
図2 計画策定書作成組織
図3 第4世代原子炉の国別応募状況

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<関連タイトル>
溶融塩炉 (03-04-11-02)
低減速スペクトル炉の炉概念 (03-04-11-09)
第4世代原子炉の概念 (07-02-01-11)
スーパー軽水炉(超臨界圧軽水冷却炉) (07-02-01-13)

<参考文献>
(1) William D. Magwood IV, ”Roadmap to the Next Generation of Nuclear Power Systems: A vision for a powerful future”,Nuclear News,November 2000,p.35-38.
(2) President’s Committee of Advisors on Science and Technology (PCAST),Panel on Energy Research and Development,”Report to the President on Federal Energy Research and Development for the Challenges of the Twenty-first Century”,November 1997.
(3) DOEホームページ:
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