原子力の平和利用において、核物質やそれに関連する施設が軍事目的に転用されることを防止あるいは阻止する能力を核拡散抵抗性という。これには、核物質の平和利用を担保するための(1)「保障措置」や(2)「核物質防護措置」および(3)原子力関連資機材の輸出に制限を加える「ロンドンガイドライン」などの制度的な抵抗性と、(4)核物質そのもの自身に、核拡散に対して固有の強い防護特性を持たせる技術的な抵抗性などがある。(4)について具体的には、再処理においてプルトニウムは単体では取り出さず、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム等(超ウラン核種:TRU)を一括して抽出処理し取り出すことなどが挙げられる。この場合の核物質は、プルトニウム以外の超ウラン核種等を含むので核爆弾への転用は困難である。また、非常に強い放射線を放出するので取り扱いも困難となる。この技術的な抵抗性は、制度的な抵抗性に比べてより原理的であるといえる。