<大項目> バックエンド対策
<中項目> 原子力施設の廃止措置
<小項目> 原子炉以外の廃止措置
<タイトル>
フランスUP-1再処理施設の廃止措置 (05-02-05-10)

<概要>
 フランスのUP-1再処理施設は1958年以来稼動していたが、軍事目的のプルトニウムの生産停止およびガス冷却炉(GCR)使用済燃料の再処理終了に伴い1997年12月に停止された。このUP−1は、当初G1、G2、G3の照射済燃料を再処理するために建設されたが、1976年からフランス電力公社(EDF)のGCRの再処理施設として運転された。原子力庁(CEA)の研究炉等の使用済燃料の処理を含め、これまでに処理した照射済燃料およびGCR使用済燃料の総重量は18,600トンである。
 UP−1廃止措置プロジェクトは、施設の除染核物質の回収、放射性廃棄物の処理および解体の3つの主要プログラムに区分され、約30年以上を要し、総予算約56億ユーロと見込まれている。再処理プロセス等の除染作業等の最終停止作業は、放射能汚染レベルを下げるため1998年から進められ、2004年に完了した。次に、高レベル廃棄物のガラス固化施設等の除染を3〜4年間で行う。解体撤去は、2001年に着手し、生産施設(Production Faciliteis)2020年に終え、その後、補助施設(Auxiliary Faciliteis)の除染、解体撤去を2040年までに終了させる計画である。
<更新年月>
2005年09月   

<本文>
 フランスの商業用再処理施設に関して、これまでに南フランスのマルクール・サイトのUP−1、ラ・アーグのUP−2およびUP−3の3つの施設が建設された。UP−2およびUP−3は、現在、それぞれ年間処理能力:濃縮ウラン800トンであり、稼動中である。なお、UP−3は、海外顧客用の再処理施設として運転されている。
 一方、第1世代の商業用再処理施設であるUP−1は、1958年以来稼動していたが、軍事目的のプルトニウム生産停止およびガス冷却炉(GCR)用燃料の再処理終了に伴い1997年12月31日正式に停止された。UP−1廃止措置プロジェクトは、施設内に残存している核物質の回収、施設の除染等を行う最終停止作業(Final Shutdown Operation)、放射性廃棄物処理(再処理で発生した保管廃棄物、最終停止作業および解体に伴い発生した廃棄物)および解体撤去の3つの主要プログラムに区分される。このプロジェクトは、約1,000個のセルに約300人の作業者が係わることになり、作業を遂行するには約30年以上を要する。
 UP−1施設があるマルクール・サイトを図1に示す。またUP−1施設および廃止措置要点を表1に示す。
1.フランスのこれまでの燃料サイクル施設の廃止措置経験
 フランスでは、役割を終え、老朽化した核燃料施設について、CEAとCOGEMA社(現AREVA NC社)が中心になって各種の廃止措置プロジェクトを計画的に進めている。フランスは、これまでに(1)マルクールのパイロット再処理施設のガラス固化試験装置PIVER、(2)高速実験炉の使用済燃料の再処理パイロット施設AT1、(3)新装置を設置するため閉鎖されたUP2−400のプルトニウム燃料製造最終施設(MAPu:酸化Puの溶媒抽出、濃縮、沈殿、焼成、貯蔵、および梱包)の解体撤去などの経験を有し、廃止措置方式の選択、安全性の確保、施設特性調査、遠隔解体装置設計・製作の観点で多くの知見をもっている。またUP−1での機器更新等での経験がある。UP−1廃止措置プロジェクトは、これらの経験およびベルギーのユーロケミック再処理施設の廃止措置を参考に計画が進められている。
2.UP−1再処理施設
 当初、軍事用プルトニウム生産炉G1、G2、G3の照射済燃料を処理するためにCEA施設として1958年に建設されたが、1976年にCOGEMA社が設立され商業用としてフランス電力公社(EDF)のGCR用のUP−1再処理施設として運転された。高レベル廃棄物ガラス固化施設(AVM)を1978年に追加した。またGCR燃料の処理能力増強のため化学的処理による燃料被覆管を剥がす被覆処理施設(MAR400)を1983年に追加した。その後の年間処理能力は天然ウラン400トンである。さらに付属施設である液体処理施設(STEL)、機器除染施設(ADM)および固体廃棄物コンディショニング施設(CDS)が1985年から1992年間に更新されている。
 これまでにフランス原子力庁(CEA)の研究炉(EL4、PHENIX)およびプルトニウム生産炉(CELESTIN)の照射燃料、並びにGCR使用済燃料を処理し、その再処理燃料の総重量は、過去40年間で18,600トンである。
3.UP−1廃止措置のための新組織の設立
 UP−1の廃止措置を進めるに当り、CEA(45%)、EDF(45%)およびCOGEMA社(10%)により合弁会社CODEMが1996年1月設立された。CODEMは、全体の管理、資金調達、並びに安全性、環境対策、コスト効率を含む解体計画の調整を行う。また、CODEMは、廃止措置作業の主契約社にCOGEMAを選択している。
4.UP−1廃止措置プロジェクトの計画
 UP−1停止後の廃止措置プロジェクト計画の概略を次に示す。
(1)生産施設の最終停止作業(1998年から開始)
 最終停止作業には、処理系の除染、処分のための固体廃棄物処理、処理施設に残存している核物質量の測定、高放射能汚染ゾーンの特定などのためにγカメラ、遠隔技術が準備された。
 ・プラント内の汚染レベル調査
 ・UP−1再処理プロセスおよび脱被覆処理施設の除染作業
 ・高放射性廃液貯蔵施設とガラス固化施設(AVM)の最終停止作業(2001年から開始)
(2)サイト内保管廃棄物、除染および解体廃棄物の処理(RCD)、中間貯蔵施設での保管または処分場への搬出を含む。(1998年から保管廃棄物処理開始)
(3)プラント施設の解体撤去およびサーベランス
・UP−1施設の解体撤去:2000年から脱被覆処理施設の解体(解体は放射能レベルが低い方から高い方へ進める)
・補助施設の最終停止作業と解体撤去(2020年〜2040年)
5.UP−1生産施設の最終停止作業
 この作業は、核物質の回収と放射線レベルを低減し、作業者の放射線被ばくの低減、廃棄物の発生量の低減、放射線管理上の立ち入り禁止区域の撤去およびコスト低減のためである。このため各種の除染材による除染試験を行い、技術評価された。第1ステップの除染には弱除染剤(Mild Reagents)である硝酸+水酸化ナトリウム、第2ステップのホットスポット(局部的に汚染レベルか高い部分)の除染には強除染剤であるフッ化水素酸+セリウム(IV)が選択された。
 この除染作業の具体的な目標は、約500の部屋とセルの90%以上において、(1)放射線線量率0.2mGy/h以下、(2)表面で10mGy/h以上のホットスポットがないこと、(3)大気の汚染レベルが検出限界以下であること、(4)α汚染レベル100Bq/cm2以下、(5)除染基準Pu/U濃度0.5mg/Lおよびグローボックスの残存プルトニウム3.7Bq以下にすることである。
 最終停止作業では、まず、プラント停止直後にHA施設(脱被覆処理施設、溶解抽出サイクル)およびIL施設(プルトニウム転換、スクラップ回収)に使用済燃料を入れない状態で運転し、表2に示す洗浄結果を得ている。また、第1ステップの除染は、弱除染剤を50℃の条件で硝酸HNO3(5M)、水酸化ナトリウムNaOH(5.5M)および硝酸HNO3(5.5M)を用い、交互に3工程で実施している。その除染結果を表3に示す。すでに1999年末までに半数の部屋およびセルがこの目標を達成している。
 全プロセス除染(第1および第2ステップ)の結果を、表4に示す。プルトニウム9kg、ウラン約330kgを回収、また放射能約40万キューリを除去した。
6.今後の適用する主な除染・解体等技術
 鋼材・ステンレス材の除染には、300〜2,500バールの超高圧ジェット、化学液を用いた高圧除染(200バール)およびブラスト除染が検討されている。
 解体には、回転ソー、グラインダーデスク、せん断器、ニブラなど機械的な切断法、また、プラズマトーチ、酸素ガスなどの熱的切断法が用いられる。
7.廃止措置コスト
 放射能除去プログラム、廃棄物プログラムおよび解体プログラムを実施するのに、30年以上要し、総予算約56億ユーロと見込まれている(参考資料4)。また、廃止措置コストの内訳を表5に示す(参考資料8)。
 UP−1は、第1世代の商業用再処理施設として本格的に稼動した施設だけに、UP−1廃止措置プロジェクトの今後の計画が注目されている。
<図/表>
表1 UP−1再処理施設およびその廃止措置概要
表2 HAおよびIL施設の洗浄結果
表3 弱除染剤によるHAおよびIL施設の除染結果
表4 全プロセス除染の結果(第1および第2フェーズ)
表5 UP−1廃止措置コスト内訳
図1 マルクール・サイトの施設配置図

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<関連タイトル>
世界の再処理工場 (04-07-01-07)
ドイツWAK再処理施設の解体 (05-02-05-06)
ユーロケミック再処理施設の解体 (05-02-05-07)

<参考文献>
(1)M.MICCHN,M.CHANY,M.NOKHAMZON,Dismantling Strategy in France:Application for EL4 and UP1,Dismantling of Nuclear Facilities − Projects Feed Back Experience(1998.3.15−18)
(2)P.Chang,et al.,:Application of COGEMA Decommissioning Experience to Preparation of UP1 Final Shutdown Operations at Marcoule,Proceeding 1998 Dismantling of Nuclear Facilities,p.24−252
(3)J.F.Poupard,J.C.Bordier,L.Destrait,J.G.Nokhamzon:Lessons Learned from Decontaminating and Decommissioning Fuel Cycle Facilities in France,7th International Conference & Exhibition on Decommissioning of Nuclear Facilities(Oct.30−31,2000),London,U.K.
(4)PH.Chany,et al.,:Decommissioning Programme at the Cogema−Marcoule Site/Current Status of Final Shutdown Operations in the UP1 Plan,Proceeding of Safewaste(Oct.2,2000)
(5)J.P.Moulin,N.Hubert,M.Huot,P.Chany,C.Oriol,B.Vignau:The First Step in Final Shutdown the UP1 Plant : Rinsing with Chemical Reagents,WM’02 Conference(Feb.24−28,2002),Tucson,AZ
(6)日本原子力産業会議:原子力ポケットブック2005年版(2005年7月)、p.251−252
(7)CEA valrho:パンフレット
(8)C.Volle,L.Destraite,P.Seurat:Decommissioning of UP−1 Facility : A Challenging Project(October 2004),WM’05(Feb.27−Mar.3,2005)
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