<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 再処理
<小項目> 再処理施設
<タイトル>
原子力発電所からの使用済燃料貯蔵の現状と見通し (04-07-03-16)

<概要>
 日本は、使用済燃料再処理し、回収されたプルトニウムを有効に利用する核燃料リサイクルを原子力基本政策の一つとしている。しかし、原子力発電所から排出される使用済燃料は年々増加し、現有の再処理能力ではその発生量を全量処理することはできない。これを解決するために、貯蔵施設の増強、施設の共用化、発電所外貯蔵を考慮した中間貯蔵の設置などの対策が実行または検討されている。
 国は、1999年6月原子炉等規制法を一部改正(貯蔵の事業に関する規制を追加)し、使用済燃料(リサイクル燃料)を再処理するまでの間、発電所敷地外で一時的に貯蔵する「リサイクル燃料備蓄センター」を2010年までに建設する計画をスタートさせた。
<更新年月>
2004年09月   

<本文>
1.使用済燃料貯蔵の現状
 日本は、ウラン資源の有効利用および放射性廃棄物による環境の負荷低減などの観点から、使用済燃料を再処理し、回収されたプルトニウムを有効に利用する核燃料リサイクルを原子力政策の基本としている。
 1966年わが国初の商業用原子力発電所が営業運転を開始して以来、約17320トン・ウラン(tU)の燃料(2002年9月末時点の軽水炉用燃料に係わる実績)が使用され、原子力発電が行われてきた。核燃料リサイクル政策をとるわが国は、再処理工場等の民間サイクル事業が確立されるまでは、基本的に使用済燃料の再処理を海外に委託してきた。英仏の再処理工場で1973年から1998年までの間に約5610tUの使用済燃料が再処理された。国内においては、実規模での再処理技術の確立を目指して、1977年に核燃料サイクル開発機構・東海再処理工場(現日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所)の運転を開始し、2004年2月末までに約1029tUが再処理された。また2003年9月時点で、2006年操業開始予定である日本原燃(株)六ヶ所再処理工場に779tUの使用済燃料が搬入されている。
 原子力発電所から排出される使用済燃料は年間約900tUであり、このような経緯のもと、2003年9月末現在の各原子力発電所に貯蔵されている使用済燃料の量は表1のとおりで、その合計は10740tUに達している。この表中「管理容量」欄の数値は、貯蔵施設の「1炉心分+1取替分燃料」を考慮して設定したものであり、貯蔵可能量を意味している。管理容量の合計は16790tUで、1998年度末の管理容量が12000tUであったことから、この間に約5千tU増量したことになる(文献8)。各原子力発電所は、リラッキング(燃料ラックの改造、図1)、プールの共用化(図2)、乾式キャスクの新設(図3)などの対策により貯蔵能力の増強を講じてきた。表2に2010年度の使用済燃料の発生量見通しを示す。年間発生量は約1100tUで、管理容量(合計)として約20800tUが必要となる。
2.使用済燃料中間貯蔵施設
2.1 必要性
 資源エネルギー庁 総合エネルギー調査会・原子力部会(現総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会)の中間報告(文献5)によれば、使用済燃料の年間発生量は、現在約900tU程度であるが、今後は増加し、1997年〜2010年で合計14000tU、2020年までの10年間で13500tUの発生量が見込まれる(表3)。一方、現在建設中の日本原燃(株)の六ヶ所再処理工場の年間処理能力は800tUであることから、貯蔵すべき使用済燃料の量は増大して行く。
 原子力発電所内における現在の使用済燃料の貯蔵状況、今後の使用済燃料の発生見通し、六ヶ所再処理施設の能力等を総合的に勘案すると、当面の増強対策が順調に進んだとしても、2010年頃から多くの発電所で使用済燃料貯蔵施設の増強について改めて対応が迫られる状況に直面することが予想される。
 したがって、2010年までに発電所内において使用済燃料を貯蔵するという従来の方式に加えて、発電所外において使用済燃料を中間的に貯蔵することを目的とする使用済燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料資源中間貯蔵施設)が必要となる。その規模は、1997〜2010年度4400tU、2011〜2020年度7100tUの貯蔵対策必要量をカバーするものである(表3)。
 図4に使用済燃料中間貯蔵施設を設置した場合の使用済燃料(リサイクル燃料)の備蓄と再処理の流れを示す。
2.2 国の主な動き
 原子力発電所外での使用済燃料の中間貯蔵について、経済産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会原子力部会において調査、審議が行われ、1998年6月に中間報告が取りまとめられた。中間報告では、「中間貯蔵施設を実現していくために、国においては法制度の整備などを、事業者においては施設の立地に向けた取組みなどを早急に進めることが肝要である」と提言している。これを受けて、国では中間施設の建設が可能になるよう原子炉等規制法の改正(「貯蔵の事業に関する規制」を追加)を進め、1999年6月に改正案が国会で成立、2000年6月から施行されている。法令、指針などの策定に関われ国の動きを表4に示す。
2.3 事業者の主な動き
(1)むつ市における立地可能性調査
 東京電力(株)は広く候補地の検討を開始したが、2000年11月に青森県むつ市から同社に対し、中間貯蔵施設の立地にかかわる技術調査の実施要請があり、これを受けて同市関根浜港周辺地域の立地可能性調査を実施し、2003年3月に現地調査を完了し、調査報告書をむつ市に提出するに至った。
 報告書は、「立地可能性調査により得られたデータに基づき評価を行った結果、施設の立地に支障となる活断層や火山が見られないこと、施設の支持層となり得る地層が存在することなど、実施した6項目(気象、地盤、水理、地震、社会環境、その他(動植物、景観等))すべての調査において施設の立地に支障となる技術的データがないことを確認した。したがって、むつ市関根浜港周辺地域においてリサイクル燃料備蓄センターを建設することは、技術的に可能」と結論付けた。
(2)むつ市における中間貯蔵事業構想
 2003年4月11日、東京電力(株)はむつ市に、使用済燃料中間貯蔵の事業構想を説明した。図5は、リサイクル燃料備蓄センター貯蔵建屋のイメージ図である。
・事業主体:東京電力(株)を中心に他電力会社と共同設立する貯蔵・管理会社。
・事業開始時期:2010年までのできるだけ早期に操業開始。
・貯蔵量:最終的には5000〜6000tU程度。
・貯蔵期間:施設ごとの使用期間は50年間。キャスクごとにおいても最長50年間。操業開始後40年目までに、貯蔵した使用済燃料の搬出について協議する。
・使用済燃料の搬入予定量:200〜300tU/年程度の使用済燃料を4回程度に分けて搬入。
・貯蔵方式:乾式貯蔵方式(1棟目は金属キャスク方式、2棟目は建設時点で最も優れた方式を採用)
・施設建設:当初、3000tU規模の貯蔵建屋を1棟建設(建屋は約8000m2、130m×60m×30m)。その後、2棟目(2000−3000tU規模)を建設。
・建設費用:2棟で約1千億円。
<図/表>
表1 各原子力発電所(軽水炉)の使用済燃料貯蔵量および貯蔵容量
表2 使用済燃料発生量見通し
表3 使用済燃料貯蔵対策必要量
表4 使用済燃料中間貯蔵に関する国の主な動き
図1 リラッキング
図2 使用済燃料貯蔵プールの増設
図3 乾式貯蔵方式の採用
図4 使用済燃料(リサイクル燃料)の備蓄と再処理の流れ
図5 リサイクル燃料備蓄センター貯蔵建屋イメージ図

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<関連タイトル>
軽水炉の使用済燃料 (04-07-01-02)
使用済燃料の受入、貯蔵 (04-07-02-01)
使用済燃料の貯蔵施設 (04-07-03-15)
海外諸国の使用済燃料貯蔵の現状 (04-07-03-17)
アメリカの使用済燃料の中間貯蔵 (14-04-01-27)

<参考文献>
(1)原子力委員会(編):原子力白書 平成15年版、大蔵省印刷局(2003年12月), p.36−38,p.149
(2)日本原子力産業会議(編集発行):原子力年鑑2004年版・各論(2003年11月),p.147−152
(3)動き出したリサイクル燃料備蓄センター−東京電力の取り組み−、原子力eye、vol.49,no.12(2003年12月号)、PRページ
(4)三枝 利有:使用済燃料中間貯蔵の最新動向と国際展望、原子力eye、vol.49,no.6(2003年6月号)p.44−48
(5)資源エネルギー庁:原子力のページ(中間報告書)
(6)東京電力・むつ調査所:Recycle Energy News,Vol.17(2003年4月)
(7)日本原子力産業会議(編):原子力ポケットブック 2004年版(2004年8月), p.196
(8)日本原子力産業会議(編集発行):原産マンスリー No.33, p.32(1998年8月)
(9)大西 恒二:特集 使用済燃料の貯蔵管理、使用済燃料貯蔵管理の現状、原子力EYE、44, p.11−13(1998)
(10)1997年第5回原子力委員会会議資料:使用済燃料の管理・プルトニウムの軽水炉利用に関する現状における取り組みについて
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