<本文>
わが国における過去39年(1965−2003)の一次エネルギー供給の推移を
図1に示した。一次エネルギー総供給量は年々増え、2003年実績で23.08×10
3PJ(551×10
13kcalであった。一次エネルギーの構成比は水力・石炭が主力から石炭・石油を経て石油・天然ガスおよび原子力の比率が高まる構造へと転換されてきた様子がわかる。
しかし、現在でも高い化石燃料依存が続いており、石炭・石油・天然ガスを合わせた化石燃料供給比率は79.5%にもなっている。これらに基づく同年のCO
2排出量は322.4百万トン炭素換算であった。この排出量は1990年排出量287.2百万トン炭素換算の11%増しである。
新エネルギー等(
図2)の供給実績をみてみると、2002年度では総供給量が8.53×10
13kcalで、一次エネルギー総供給量の1.6%と極めて少ない。しかし、資源制約が少なく、CO
2の排出がないこと等環境負荷も小さい国産エネルギーであるという特色があることから今後に期待しなければならないエネルギーである。ちなみに総合資源エネルギー調査会需給部会における2010年度の見通し(2005年3月にとりまとめた「2030年のエネルギー需給展望」(
表1、
図3参照))によると、新エネルギーの供給見通しは2010年度において1,051万kl(一次エネルギー供給シェアとしては1.7%)(レファレンスケース)から1910万kl(一次エネルギー供給シェアとしては3%程度)(追加対策ケース)となっている。
追加対策ケースに対する項目別供給見通しの内訳を
表1に示したが、太陽光発電で482万kW(118万kl)、風力発電が300万kW(134万kl)、廃棄物発電+バイオマス発電で586万kW(450万kl)、太陽熱利用で90万kl、廃棄物の熱利用で186万kl、、バイオマス熱利用等で313万kl、
黒液・廃材等で483万kl、合わせて1910万klである。この他に従来型エネルギーの新利用形態(広義の新エネルギー)としてクリーンエネルギー自動車、天然ガスコジェネレーション、
燃料電池があるが、それらの規模は
表1に示すとおりである。
電気事業者に対して一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付けることにより、新エネルギー等の利用を推進することを目的に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」が2002年6月に制定された。新エネルギー等電気の利用を義務づけられた電気事業者は、様々な選択肢の中から経済性などの点を考え、もっとも優れた方法を選んで新エネルギー等電気の利用を行うことにより、利用目標量の達成を目指している。
新エネルギーの一次エネルギー総供給にしめる比率は上述のようにまだ小さい。しかし、この種の新エネルギーは自然エネルギー利用のものが多く(
表2参照)、二酸化炭素の排出量が少ない。太陽光発電や太陽熱利用のように
分散型エネルギーシステムとして需要地に近接して立地もでき、したがってエネルギーの送配損失も小さく、
負荷平準化にも役立つ利点があることから、導入拡大に大きな期待が寄せられている。今後は更なる導入に向け、量産化による発電コストの低減など早期市場自立化に向けた支援や自然条件による出力やその他の課題を克服する系統安定化・性能向上等のための技術開発等の進展が必要である。
<図/表>
<関連タイトル>
新エネルギー開発における国際協力 (01-09-07-03)
新エネ等電気利用法(RPS法) (01-09-07-06)
石油代替エネルギーの供給目標と新エネルギーの利用 (01-09-09-02)
<参考文献>
(1) 日本エネルギー経済研究所・計量分析部(編):EDMC2000 エネルギー・経済統計要覧2000年版、省エネルギーセンター(2000年1月)
(2) 資源エネルギー庁(監修):資源エネルギー年鑑 1999/2000年版、通産資料調査会(1999年1月)
(3) 資源エネルギー庁(監修):資源エネルギーデータ集 1996年版、電力新報社(1996年4月)
(4) 資源エネルギー庁:新エネルギー政策について
(5) 資源エネルギー庁:平成16年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)