<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 石油代替エネルギー(新エネルギー)政策
<タイトル>
新エネ等電気利用法(RPS法) (01-09-07-06)

<概要>
 風力、太陽光、廃棄物を燃やすバイオマスなどの新エネルギーを変換して得られる発電量を、2010年度までに日本全体の発電電力量(約9,000億kWh)の1.35%に引き上げることによって二酸化炭素の排出量を減らす狙いで、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(略称「新エネ等電気利用法」または「RPS法」)が2003年4月1日に施行された。
 この法律に基づき、電気事業者は、自ら新エネルギー等電気を発電する、もしくは他から購入して利用する、または他から新エネルギー等電気相当量を購入することによって、その義務量を達成しなければならない。経済産業省資源エネルギー庁は、各電気事業者に新エネルギー利用義務量を割り当てるが、2009年度までは移行期間として猶予が与えられている。
 新エネ等電気利用法(RPS法)制定までの背景およびその概要を紹介する。
<更新年月>
2003年09月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
はじめに
 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(「新エネ等電気利用法」または「RPS法」という。)では、エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するため、電気事業者に対して、毎年、その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー等を変換して得られる電気(新エネ等電気)の利用を義務付け、新エネルギー等の更なる普及を図ることとしている。
 電気事業者は、義務を履行するため、自ら発電した新エネ等電気を利用する、もしくは、他から購入した新エネ等電気を利用する、または、新エネ等電気相当量(後述の3.(5).3)の項参照)を購入することになる。
1.新エネルギーへの期待
 風力、太陽光といった新エネルギーは、資源制約が少ない純国産のエネルギーであり、また、二酸化炭素の排出が少ないことなど、環境の保全にも寄与するエネルギーとして極めて優れたエネルギーである。さらに新エネルギーの導入促進により関連産業の投資を促し、雇用の創出に寄与するといった面からも期待されている。
 新エネルギーの導入促進を巡っては、地球温暖化防止の観点からさらなる注目がなされており、2002年6月の京都議定書(COP3で採択)の受諾をふまえ2002年3月に決定された「地球温暖化対策推進大綱」においても重要な位置づけがなされ、また、2002年9月に開催された、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD:World Summit on Sustainable Development)」(ヨハネスブルグ・サミット)においても「再生可能エネルギーの世界シェアを十分に増大させる」旨の文言が実施計画に盛り込まれるなど、新エネルギーへの期待はますます高まってきた。
2.本法制定までの背景
 新エネルギー利用等の促進に関しては、導入促進、技術開発などの支援を通じて、従来からも積極的な導入促進に取り組んでいる。しかしながら、他のエネルギー源に比べてコストが高く、また、自然条件に左右され出力が不安定であるなど、その特性や、技術面、経済性などの面で課題があり、十分に普及しているとはいえない。
 これらの状況を踏まえ、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会においては、1999年12月から関係業界、学識経験者、需要家等関係各層の有識者の参画を得て、新エネルギー市場拡大の方向性およびそのための方策について審議を行い、2001年6月に「今後の新エネルギー対策のあり方について」と題する報告書を取りまとめた。この報告書において、2010年度における新エネルギーの導入目標を原油換算で1,910万kl(発電電力量122億kWh)に設定するとともに、その実現に向けて諸々の施策を提言している。その中で、特に発電分野において、欧米諸国の施策例も参考にしつつ、わが国においても新たな市場拡大のための制度を導入することが必要であるという提言を行っている。
 欧米諸国においては、再生可能エネルギー(Renewable energy)の導入を進めるための再生可能エネルギー利用基準(Renewable Portfolio Standard:RPS)が掲げられており、販売電力量に応じて一定割合の導入を義務づける新たな制度、いわゆるRPS制度などの導入が始まっている(表1)。
 このような状況を踏まえて、わが国においても電気事業者に一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務づける制度を導入することが適切であるという結論を得て、これを法制化した「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(新エネ等電気利用法またはRPS法)が2002年5月に国会で成立し(同6月公布)、2002年12月から設備認定に係る部分が一部施行され、2003年4月から全面施行となった。
ここで、本法の対象となる新エネルギー等とは、太陽光、風力、バイオマス(動植物資源およびこれらを起源とする廃棄物)、中小水力、地熱をいう。なお、中小水力発電は、水路式(ダムを用いない水力発電様式)で、1000kW以下の発電を指す。
3.新エネ等電気利用法の内容
(1)概要
 経済産業大臣は、全国の新エネルギー等電気の利用目標を定めたうえで、電気事業者に対し、毎年度、その目標量を基礎として各社の販売電力量などに応じて算定される一定割合以上の新エネルギー等電気の利用を義務づける。
 電気事業者は、自ら新エネルギー等電気を発電し、または他から購入して利用したり、他から新エネルギー等電気相当量を購入することにより、その義務量を達成しなければならない。
 正当な理由がなく、義務量を達成できない電気事業者がいる場合、経済産業大臣は、その者に対して勧告または命令を行う。命令に従わない場合、罰則が課せられる。
(2)対象エネルギー等(第2条)
 エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するため、エネルギーの供給面においてエネルギー源を多様化する観点から、石油を熱源とする熱以外のエネルギー(いわゆる石油代替エネルギー)のうち、現在においては普及が十分進んでいないもので、将来的に普及する可能性のあるものについて、その導入を促進しようとするものである。
 具体的には、本法では以下のエネルギーを「新エネルギー等」と定義している。
・風力
・太陽光
・地熱
・水力
・バイオマス
(3)利用目標(第3条)
 経済産業大臣は、総合資源エネルギー調査会や関係大臣の意見を聴いて、2003年度から2010年度までの8年間における各年度の全国ベースの「新エネルギー等電気利用目標」を定める。この利用目標は、4年ごとに見直すこととしている。
 この中では、2010年度に向けて段階的・逓増的に目標量を高めていくよう各年度の利用目標量を設定している(表2)。
(4)設備認定(第9条)
 本法においては、新エネルギー等の利用形態のうち発電利用に焦点を当てているため、経済産業大臣の認定を受けた発電設備を用いて新エネルギー等を変換して得られる電気を「新エネルギー等電気」と定義し、これを利用することを電気事業者に対して義務づけている。そのため、新エネ等電気を発電する者は、以下の基準に適合することについて、経済産業大臣の認定を受けることができ、この認定を受けた設備により発電された電気が、電気事業者の義務履行に充てることのできる新エネ等電気となる。
1)発電設備の基準
 新エネ等電気の供給量が的確に計量できる構造であること(配線構造や計量器など)。
2)発電方法の基準
バイオマス発電の場合、バイオマス比率(投入した燃料全体の熱量に占めるバイオマス燃料の熱量の比率)を的確に把握し、記録すること。
・地熱発電の場合、地熱資源である熱水を著しく減衰させない発電方法であること。
 なお、この認定を受けた新エネ等発電事業者においては、発電設備毎の新エネ等電気を供給した量・期間・相手方などの情報を帳簿に記載し、保存する必要がある。
(5)電気事業者の義務
1)義務量
 電気事業者は、毎年度6月1日までに、その販売電力量に、利用目標率(*1)を乗じた量を、その電気事業者の基準利用量として経済産業大臣に届け出る。
(*1)利用目標率=全国の利用目標量(当該年度、表2)÷全国の販売電力量(前年度)
 ただし、法の施行時点(2003年4月)においてすでに電気事業者である者のうち、既存利用率(2002年度の新エネ等電気の利用実績)が、0.84%(この数値は、一般電気事業者のうち既存利用率が最も大きい者の既存利用率)よりも小さい電気事業者については、図1に示すように、2009年度までの間は経過措置が適用される。
 この場合、その電気事業者の前年度の販売電力量に、調整利用目標率(*2)を乗じた量が、その電気事業者の基準利用量となり、経済産業大臣は毎年度6月半ば頃に、その量を電気事業者に通知する。
(*2)調整利用目標率=利用目標率(*1)−{(0.84−既存利用率(*3))×経過調整率(表3)}
(*3)経過措置の適用を受ける各電気事業者の既存利用率は、電気事業者ごとに定められる。
2)義務内容および義務履行方法(第5条・第6条)
 電気事業者は、義務量を達成するために、以下の方法から経済性などの事情を勘案して最も有利な方法を選択することができる。
(i) 自ら発電した新エネ等電気を利用する方法。
(ii) 他から購入した新エネ等電気を利用する方法。
(iii)他から新エネ等電気相当量を購入する方法。
 電気事業者は、その年度終了後6月1日までに、その年度の義務量を達成するために、その年度において利用した新エネ等電気の量と、義務量の減少に充てる新エネ等電気相当量を届け出る。
 なお、電気事業者においては、発電設備ごとの新エネ等電気の供給を受けた量・期間・相手方などの情報を帳簿に記載し、保存する必要がある。
3)新エネルギー等電気相当量
 新エネルギー等電気相当量とは、電気事業者がその義務量を達成するために、他の電気事業者が利用した新エネ等電気の量に応じて、事業者間で取引することのできる量で、いわば新エネ等電気分の付加価値に相当する「環境価値」と言える。
 新エネ等発電事業者および電気事業者は、政府の提供する電子口座システム上において、自らの口座を開設することができる。新エネ等電気を供給した量に応じて、その口座に新エネ等電気相当量を記録することができ、事業者間の取引の結果に従って、その事業者の口座間でその分が移転される(図2)。
 この取引によって、市場機能を活かしつつ、新エネルギーの導入が困難な地域の電気事業者も地域を越えて義務を履行することが可能となり、わが国全体としても効率的に新エネルギーの普及を図ることができる。
4)行政命令等(第8条・第15条)
 電気事業者が正当な理由なくその義務量を達成できない場合、経済産業大臣はその者に対して勧告を行う。
 その判断に当たっては、円滑な義務履行を可能とするため、バンキング、上限価格、ボロウィングなどの項目に該当する分(複数の項目に該当する場合はその合計量)については、正当な理由があるものとして取り扱うこととしている。
おわりに、
 本制度は、市場機能を活用することにより、経済効率性を確保しつつ、新エネルギー発電市場の拡大を図るとともに、地球温暖化対策にも寄与しながら、電源の多様化を通じてエネルギーの安定供給に資するものである。しかしながら、太陽光は、風力に比べて3倍以上のコストがかかり、バイオマスは二酸化炭素やダイオキシンの発生懸念から反対も根強い。
 新エネルギー発電事業者は、発電した電気そのものと、付加価値に相当する「環境価値」とに分けて別々の電気事業者に売却できる。電気事業者にとっては、「電気」だけを買っても新エネルギー利用義務量は変らないが、「環境価値」を買えば義務量の一部を利用したことにできる。この辺りに市場機能を活かしたこの制度の特徴が見られる。
<図/表>
表1 諸外国におけるRPS制度等の導入状況について
表2 利用目標量
表3 経過調整率
図1 義務量の推移
図2 新エネルギー等電気相当量について

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
新エネルギーの導入と動向 (01-05-01-09)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁:新エネ等利用法電子管理システム、RPS制度の概要、

(2)堀 史郎:RPSの仕組みと運用について、月刊エネルギー、Vol.36, No.6, p.34-
37(2003年)
(3)(財)新エネルギー財団:RPS制度パンフレット、
http://www.rps.go.jp/RPS/contents/pdf/pamphlet.pdf
(4)(財)新エネルギー財団:電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、
http://www.rps.go.jp/RPS/contents/pdf/rpsjoubun.pdf
(5)飯田 哲也:いよいよ施行されたRPSの課題、月刊エネルギー、Vol.36, No.6, p.38-41(2003年)
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