<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の一次エネルギー
<小項目> 原子力
<タイトル>
世界の原子力発電の動向(2002年)・日本 (01-03-04-02)

<概要>
 わが国の2002年7月1日現在に運転中の原子力発電所は、合計52基、設備容量4,574万2000kWとなった。2001年度の原子力発電電力量は約3,194億4,525万6,000kWhで、平均設備利用率は80.5%であった。東北電力の女川3号機は2002年1月30日、営業運転を開始した。2002年度の電力供給計画によると、2010年度までに合計12基、1,611万kWが営業運転を開始する見通しである。2002年度には、上関1、2号機、敦賀3、4号機、東電東通1、2号機の6基が総合資源エネルギー調査会の電源開発分科会に上程され計画入りの予定である。
<更新年月>
2003年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.現状
  表1-1表1-2 および 表1-3 に日本の原子力発電所一覧表を示す。 図1 に日本の原子力発電所立地点を示す。
 東北電力が建設中の女川3号機(BWR、82万5,000kW)は2002年1月30日、営業運転を開始した。同機は1982年11月、2号機とあわせて建設計画が発表され、1994年に電源開発調整審議会(現総合資源エネルギー調査会電源開発分科会)に上程された後、1996年9月に着工した。2001年4月26日に臨界に達した後、順調に試運転を続け、同年5月30日には送電を開始した。これにより、日本で運転中の原子力発電所は52基、設備容量は4,574万2,000kWとなった。2001年度の原子力発電電力量は約3,194億4,525万6,000kWhで、全体に占める原子力発電の割合は約34.6%となった。
 平均設備利用率は80.5%と昨年の81.4%から後退したが、1995年から続いている80%台は維持している。2001年度の設備利用率が2000年度を下回ったのは定期検査の実施によるものが大半を占めている。
2.計画の推進
・上関1、2号機の計画
 中国電力が建設を計画している上関1、2号機(ABWR、各137万3,000kW)が2001年5月16日、総合資源エネルギー調査会の第1回電源開発分科会で、新規着手地点として国の電源開発基本計画に組み込まれることが承認された。これを受けて、経済産業大臣は6月11日、同計画を電源開発基本計画に正式に組み入れた。新規サイトでの原子力発電所の新規着手は、1999年8月に計画入りした電源開発の大間原子力発電所以来2年ぶり。また、2001年1月の省庁再編後、いままでの電源開発調整審議会に代わって国の電源開発基本計画を審議する電源開発分科会が初めて開催されたことになる。
・敦賀3、4号機の計画
 経済産業省・資源エネルギー庁は2002年2月22日、日本原子力発電(以下、原電)が福井県に建設を予定している敦賀3、4号機(APWR、各153万8,000kW)の第1次公開ヒアリングを敦賀市で開催した。今後関係省庁の協議を経て、電源開発分科会で審議され、電源開発基本計画に組み込まれた段階で正式に計画入りとなる。同時に進められている環境審査も一連の手続きがほぼ完了した。原電は2001年1月16日、環境対策を示す環境影響準備書を経済産業省に提出。これに対して、同省が10月10日、建設地や周辺地域の景観や希少動植物への配慮を求める勧告を行い、原電は建設地で生息する希少動植物の調査・監視や最新技術を用いた斜面の緑化計画などを盛り込んだ環境影響評価書を12月25日、同省に提出。
・東電東通1、2号機の環境現況調査開始
 東京電力は2001年4月1日、建設を予定している東通1、2号機(ABWR、各138万5,000kW)の環境現況調査に着手した。今後、約1年間かけて、建設区域とその周辺を対象に大気、水質や海岸などの自然環境、動植物や生態系、景観などについて調査する予定。1号機は2010年度、2号機は2010年度以降の運転開始をめざす。
・海山町の原子力誘致について
 原子力発電所の誘致の是非を問う三重県海山町の住民投票が2001年11月18日に行われ、開票の結果、反対が総得票数の約67%(5,215票)、賛成が32%(2,512票)となり、反対が過半数を占めた。投票は88%。投票結果に法的拘束力はないが、同町の住民投票条例では、町長と町議会は賛否いずれか過半数を尊重すると定めていたため、町長は原子力発電所の誘致を断念する考えを表明した。
 原子力に関連した住民投票は、新潟県巻町、同県刈羽村に続き3例目。巻町では、巻原子力発電所の建設の是非、刈羽村ではMOX燃料利用の是非に関して投票が行われ、いずれも反対が賛成を上回った。
・MOX利用計画
 電力業界は1997年2月の閣議了解をふまえて、東京電力と関西電力から順次MOX燃料利用を開始し、2010年までに16〜18基程度にMOX燃料を装荷することをめざしている。しかし、関西電力の高浜3、4号機(PWR、各87万kW)では、1999年秋に英原子燃料会社(BNFL)によるMOX燃料製造に係わるデータ改ざんが発覚、当面は、搬入済みの燃料の返還を優先するため、計画実施は大幅に先送りされた。残る東京電力の福島第一3号機(BWR、78万4,000kW)と柏崎刈羽3号機(BWR、110万kW)は、ともに2001年春の実施が視野に入っていたが、いずれも最終段階で地元の理解が得られず、実施が先送りされることとなった。
 とくに、刈羽村で実施された住民投票は、国の核燃料サイクルをはじめとする原子力政策の進め方に一石を投じる結果となった。柏崎刈羽3号機でのMOX燃料装荷の賛否を問う住民投票は、2001年5月27日に実施された。開票の結果は反対1,925票、賛成1,533票、保留131票と、反対が得票率の53.4%を占めた。投票結果に法的拘束力はないが、反対が過半数を占めたことから、村長は計画実施の見送りを求める意向を示唆した。翌月1日には新潟県知事と柏崎市長、町長の3者が協議を行い、東京電力に対し同3号機へのMOX燃料装荷を見合わせるよう正式に要請することで合意。これを受けた東京電力社長は同日、今期の定期検査中に予定していた装荷を見送る方針を明らかにした。
 福島第一・3号機の計画は、福島県知事の判断次第では2001年4月からの定期検査で実施される可能性もあったが、同知事は2月26日、県議会で当面は受け入れない意向を正式に表明した。
 こうした中、政府は「プルサーマル連絡協議会」を発足させ、内閣府、経済産業省、文部科学省、外務省、総務省の関係5府省が一体となって、計画実施にむけ国民合意形成を得るため、取組みの強化をはかることとした。電力業界も、各社が独自の対策をとる一方、電気事業連合会が電力9社と日本原子力発電、電源開発、日本原燃の12社からなる「プルサーマル推進連絡協議会」を発足させた。
・MOX燃料加工工場立地
 MOX燃料加工事業主体の日本原燃は2001年8月24日、青森県と六ヶ所村に対して加工工場の立地協力要請を申し入れた。今後は、県と村との立地協定を改定し、国の安全審査を経て着工となる。同工場の製造能力は最大で年間130トン、建設費は約1,200億円にのぼる見通し。2008年〜2009年ごろの操業開始をめざす。
もんじゅ、運転再開へむけ安全審査スタート
 核燃料サイクル機構(現日本原子力研究開発機構)は試運転を停止している「もんじゅ」の原子炉設置変更許可を経済産業省原子力安全・保安院に申請した。国の安全審査は約1年かかる見通しで、許可が下りると、ナトリウムの漏洩対策や設備の改善など改造工事が始まる。(同炉は試運転中に停止したため、本調査では「建設中」に分類している)
・東海発電所の解体計画
 日本原子力発電は2001年12月4日、東海発電所(GCR、16万6,000kW)の原子炉解体届けが11月1日に経済産業省原子力安全・保安院により認められたのを受けて、同機の解体作業に着手した。日本初の商業用原子力発電所の廃止措置となる。
・HTTR全出力運転達成
 日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)の高温工学試験研究炉「HTTR」(熱出力3万kW、原子炉出口冷却材温度950℃)が2001年12月7日、定格全出力運転を達成した。これにより、世界で初めて850℃の高温ヘリウムガスが原子炉から取り出されたことになる。今後は約2年かけてガス温度を950℃まで上昇させ、さらに水素製造にむけた本格的な研究を行う予定。
・原子力発電関連の動き
 総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会は2001年11月5日、初会合を開き、2000年3月に導入された部分自由化制度の検証と見直しのための審議に着手した。同分科会は、諸外国の事例をふまえ、電力安定供給を大前提に環境への配慮や市場形成をめざした制度の見直しを行う。具体的には、自由化の範囲や自由化のなかの原子力の位置付け、送電ネットワークの中立性向上などが主な論点とみられている。同分科会は2003年3月をめどに審議をとりまとめる。
 現行の部分自由化は、供給電圧2万V以上、契約電力2,000kW以上の顧客(約8,300件)を対象とし、電力需要全体の約27%を占めるが、制度導入から約1年半が経過し、新規参入者の供給割合は約O.4%(2001年8月現在)。
 政府が進める特殊法人改革の一環として日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)(原研)と核燃料サイクル開発機構(サイクル機構)を統合し、新たな独立行政法人(日本原子力研究開発機構)とすることが政府の整理合理化計画に盛り込まれ、2001年12月19日の閣議で決定された。計画によると、両法人の事業合理化など改革を行った上で、2004年度に新法人の設立にかかわる法案を作成、翌2005年に新組織が発足する。これを受けて、文部科学省は2002年1月、原子力2法人統合準備会議を発足。同会議は2002年7月をめどに両法人の事業を見直し、新法人の役割や機能に関する基本的な考えをまとめる予定。原研は原子力に関する基礎・応用研究、材料研究、原子炉設計、放射線利用、核融合など、サイクル機構は高速炉開発、高レベル放射性廃棄物の処分研究などをそれぞれ手がけている。
3.今後の原子力立地計画
・石油代替エネルギーの供給目標
 最近のエネルギーを巡る情勢の変化を踏まえた上で、エネルギーの安定供給の確保、環境保全、経済成長の基本目標を実現するため、2001年4月より、総合資源エネルギー調査会において、目指すべきエネルギー需給像である新たな長期エネルギー需給見通しとそれを実現するための施策の在り方について総合的な検討が行われ、7月に経済産業大臣に対して答申された。2002年3月に「石油代替エネルギーの供給目標」の改定を閣議決定した。2001年7月に改定された「長期エネルギー需給見通し」中の一次エネルギー供給の見通しを 表2 に、2002年3月に改定された「石油代替エネルギーの供給目標」を、 表3 に示す。
・2002年度の電力供給計画
 経済産業省・資源エネルギー庁は2002年3月29日、電力10社と卸電気事業者3杜の2002年度の供給計画をとりまとめ発表した。その中の原子力開発計画によると、電力需要が低迷し、大幅に設備投資計画が縮小される中、各社とも2001年度とほぼ同じ原子力計画を維持。2010年度までに合計12基、1,611万kWが営業運転を開始する見通しを示した。2002年度には、東京電力の福島第一7、8号機(ABWR、各138万kW)、同東通1、2号機(ABWR、各138万5,000kW)、日本原子力発電の敦賀3、4号機(APWR、各153万8,000kW)の6基が、総合資源エネルギー調査会の電源開発分科会に上程され、国の開発計画に組み込まれる予定( 表4 )。
<図/表>
表1-1 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(1/3)
表1-2 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(2/3)
表1-3 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(3/3)
表2 一次エネルギー供給の見通し
表3 石油代替エネルギー供給目標
表4 2002年度電力供給計画における原子力開発計画
図1 日本の原子力発電所立地点

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<関連タイトル>
世界の原子力発電の動向(2005年) (01-07-05-01)
平成8年度電力供給計画(資源エネルギー庁発表) (01-09-05-04)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編):エネルギー2003、(株)エネルギーフォーラム(2002年11月30日)
(2)資源エネルギー庁:平成14年度電力供給計画の概要について
(3)日本原子力産業会議(編):世界の原子力発電開発の動向 2001年次報告(2002年5月)
(4)経済産業省原子力安全・保安院原子力保安管理課(編):平成14年版原子力施設運転管理年報、(社)火力原子力発電技術協会(2002年9月)
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