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<概要>
 原子力委員会は、前年から原子力開発利用長期計画の改定作業を進めていたが、9月に新しい長期計画を決定した。このなかに、研究開発プロジェクトを計画的に推進するために、資金などで政策運営上の配慮が必要であることが特に明記された。10月には、原子力委員会・原子力安全委員会の新体制が発足した。4月、日本初の伊方原発訴訟では国側が全面勝訴した。新型転換炉「ふげん」の100%出力達成(11月)、海外ウラン採掘計画のもとにニジェールでの初採掘(8月)など自主開発が成果をあげた。原子力発電については、東京電力福島第一4号機、原電東海2号機、中部電力浜岡2号機が、相次いで営業運転を開始し、わが国の原子力発電規模は1000万kWの大台を突破し、水力による発電量を上回った。このうち東海2号炉は、わが国で初めての100万kWを超える原子炉となった。応力腐食割れや蒸気発生器伝熱管の損傷の対策にも、成果が現れ始めた。


<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)


<本文>
1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
1978年
(昭和53年)
1/11   原子力器材等の移転に関する原子力供給国の専門家会議が輸出規制ガイドラインを公表(ロンドン協議)
1/12 電気事業連合会が東京と大阪で世論調査、原子力の支持層増える  
1/25   英政府、SGHWRを断念しAGR路線を採用と決定
1/30 文部省、学術用語集「原子力工学編」刊  
1/31 原子力委、環境放射線モニタリング中央評価専門部会がまとめた新指針を了承  
2/1 原電と松下電器、立入り被曝管理のシステム化に成功  
2/7   米議会上院、核不拡散法案を可決。2/9下院通過。3/10発効
2/14 北海道電力と共和町、泊原発建設を前提とした覚書に調印  
2/17 日立造船大阪工場築港、ASME認定を取得  
2/27   米GAA社、世界最大の核融合実験装置ダブレット3で初のプラズマ閉じ込めに成功
3/6   英環境相、ウィンズケール再処理工場拡張に同意
3/7 原子力委原子力国際問題等懇談会が発足、INFCE対策に重点  
3/20 新型転換炉原型炉「ふげん」臨界、独自開発で初の成果  
3/27 電源関発調整審議会、高浜3、4号の新規着工認可  
3/30   スウェーデン、エネルギー委員会が原子力開発継続を政府に勧告
4/3   米連邦最高裁、ミッドランド、バーモントヤンキー両原発訴訟問題で「裁判所は政府の基本政策に判断をくださない」と判決
4/12 日本、核融合国際協力協定(IEA−TEXTOR計画及び超電磁石開発計画)に調印 米議会下院科学技術委員会、クリンチリバー増殖炉計画の存続を可決(予算を復活)
4/17 日立、原研(現日本原子力研究開発機構)の核融合装置JT−60を受注  
4/18 福島第一原発5号、営業運転開始  
4/21 通産省(現経産省)発電用新型炉等実用化調査委員会、CANDU炉導入方針打出す  
4/25 伊方原発訴訟で国側が全面勝訴  
4/29   韓国初の原子力発電所古里1号運開(PWR、58万7000kW)
5/8 動燃(現日本原子力研究開発機構)、東海再処理工場ホット試験でPu20kgを回収  
5/9 新型転換炉「ふげん」が全炉心臨界  
5/10   ロックフェラー財団、増殖炉の必要性主張、マイター報告(1977/3/21)と対立
5/15 政府、立地促進対策交付金の交付対象として新たに濃縮施設を追加  
5/15 柏崎刈羽原発建設をめぐり地元住民ら新潟知事を相手どり行政訴訟起す  
5/23   NRC、高濃縮ウラン空輸の一時
5/26   DOE、新基準に基づくウラン濃縮サービスを再開、引取り時期に融通性
5月 工業技術院四国工業試験所、海水ウランの回収で複合吸着材の開発に成功  
6/1 長崎県議会・佐世保市議会、核封印方式による「むつ」受入れ決める  
6/2   IAEAがスウェーデンの高レベル廃棄物貯蔵計画を承認(廃棄物はガラス固化され地下500mの花崗岩層に埋設)
6/8   米上院エネルギー天然資源委、DOEとの合意でクリンチリバー高速増殖炉計画中止ヘ
6/19   米医学協議会、石炭火力と原子力の健康上のリスクに関し報告書発表。原子力の有利さを指摘
7/5 高速実験炉「常陽」、定格出力達成(5万kW)  
7/14   米議会下院本会議、クリンチリバー高速増殖炉計画支持の決議(予算承認)
7/17 福田・カーター会談、核融合の日米共同研究で合意  
7/25   カナダ政府、同国のウラン埋蔵量を50万7000トンと発表
7/29 新型転換炉原型炉「ふげん」が送電試運転開始  
7月 7月の原子力発電電力量が水力発電電力量を上回る(56億8600万kWh)  
8/3   西独カールスルーエ研、再処理新プロセス「電解分離法」の開発に成功
8/10   米DOE、東京電力の使用済燃料24トンの海外輸送許可
8/15 資源エネルギー庁核燃料研究委員会、2000年にいたるわが国の核燃料サイクル戦略まとめる  
8/16 高速増殖実験炉常陽、100時間連続運転を達成  
8/22 日加原子力協定改定議定書調印  
8/23   デンマーク政府、原発建設問題の決定を2年間延期すると発表
8/25 政府、IAEA東南アジア地区原子力地域協力協定(RCA)ヘの参加を決定  
8/29   全米知事協会、原発推進声明を採択
8/31 海外ウラン資源開発会社などによるニジェールのウラン資源開発で初のイエローケーキ生産、年内には600トン産出へ  
9/5 自治省(現総務省)、茨城、佐賀、愛媛3県から申請の核燃料税新設を内諾。10/17正式認可  
9/7 神戸製鋼加古川製鉄所の原子炉向け厚板、ASME認定を取得 米NRCリスク評価再検討グループ、ラスムッセン報告の再検討で手法は評価するが、データを批判
東海再処理施設に関する日米専門家会議、混合抽出法の実験実施を決定  
9/12 原子力委、原子力開発利用長期計画を改定。自主開発に重点、開発資金の必要性を特記  
9/28   米政府、関西電力の使用済燃料13.4トンの海外輸送を承認
10/4 新原子力委員会と原子力安全委員会(委員長吹田徳雄)が発足  
10/5 美浜1号が4年半ぶり再臨界 スウェーデン、原子力発電問題で政府が総辞職。10/13新内閣発足、原子力開発に積極姿勢示す
10/11 「むつ」が修理のため4年ぶり大湊港を出港。10/16佐世保入港  
10/12 福島第一原発4号、営業運転開始  
10/25 総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)基本問題懇談会が報告書、原子力促進を強調  
11/1 放射線従事者中央登録センターが被曝線量登録を開始  
11/8   米原産が23州州民の原子力意識調査、67%が原発支持 
11/13 新型転換炉「ふげん」が100%出力を達成 IAEA、原子力施設のデコミッショニングで国際シンポジウム開く(ウィーン、〜11/17)
11/22 原子力安全委、安全性についてダブルチェックの大綱決める  
11/25 新潟県が柏崎刈羽原発建屋の建築確認申請に許可、7年ぶり本格着工へ  
11/28 東海第2原発が営業運転開始。わが国の原子力発電規模1000万kWの大台を突破  
11/29 中部電力浜岡2号、営業運転開始  
12/6 電気事業連合会、CANDU炉導入問題に関し「原子力委の決定を尊重する」との見解を表明  
12/9   米NRC、国立原子炉実験場のLOFT炉でECCSの作動実験に成功
12月   米NRC、緊急時の避難区域(半径10マイル以内)など設定


2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
1978年
(昭和53年)
1/4 円相場、1ドル=237円90銭  
1/23 日ソ科学技術協力委員会第1回会合開く(〜1/27東京)  
4/18 石油税法公布(エネルギー対策財源)  
5/15 特定不況産業安定臨時措置法公布(平電炉・アルミ精錬・合繊・造船・合金鉄・紡績・化学肥料が対象業種)  
6/27 タンカーを使った海上石油備蓄始まる。石油開発公団法公布(石油公団と改名)  
7/1 通産省、電子計算機、原子力機器など89機種の高度化計画を策定(特定機械情報産業振興臨時措置法公布)  
7/16 第4回先進国首脳会議開催(ボン)。日・米・仏・英・西独・伊・カナダ参加  
8/8 海洋センター、波力発電装置「海明」発電実験はじめる。1980/1/14陸上送電に成功  
10/31 円相場、1ドル=175円50銭  
12/16   OPEC総会開催。1979年の原油価格を4段階方式で14.5%までの値上げを決定
12月 円相場、1ドル=195円10銭  



<関連タイトル>
フランスのウラン鉱山 (04-03-01-08)
原子力安全委員会の安全規制に関する活動(2001年) (11-01-01-02)
四国電力伊方1号炉訴訟の経緯 (10-05-02-01)


<参考文献>
1.森 一久編:原子力年表(1934-1985)、日本原子力産業会議(1986年11月18日)、丸ノ内出版(発売)、中央公論事業出版(制作)
2.原子力委員会(企画)、原子力開発三十年史編集委員会編:原子力開発三十年史、日本原子力文化振興財団(昭和61年10月26日)
3.森 一久編:原子力は、いま(上巻)(下巻)−日本の原子力平和利用30年−、日本原子力産業会議(1986年11月18日)、丸ノ内出版(発売)、中央公論事業出版(制作)
4.科学技術庁原子力局(監修):原子力ポケットブック・1996年版、日本原子力産業会議(1996年4月26日)


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