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<概要>
 2000年(平成12年)の1年間について、原子炉等規制法に基づく実用発電用原子炉施設(原子力発電所における事故・故障等は18件が報告された。いずれも放射性物質による環境への影響はなかった。
<更新年月>
2003年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 2000年(平成12年)の1年間、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)に基づく実用発電用原子炉施設(原子力発電所、ただし発電の用に供する原子炉であって研究開発段階にあるもの(発電用の研究開発段階炉)を除く)における事故・故障等については、18件が報告された。国際原子力事象評価尺度INES)による評価はすべてレベル0−であった(暫定評価を含む)。また、それ以外に2000年問題等で3件が報告された。いずれも放射性物質による環境への影響はなかった。
 また、2000年問題等の3件を除く18件の内訳は、(1)運転中に自動停止したもの:1件、(2)運転中に手動停止したもの:10件、(3)停止中に確認された蒸気発生器伝熱管の損傷:6件、(4)停止中に確認された蒸気発生器伝熱管以外の損傷:1件となっている。
 これら18件の事故・故障等の概要を表1-1表1-2表1-3表1-4および表1-5に示す。
<注記1>平成12年版原子力安全白書では、事故・故障のデータは暦年(1月1日〜12月31日)で整理されている。ちなみに、平成11年版原子力安全白書では財政年度(4月1日〜3月31日)で整理されている。
<注記2>国際原子力事象評価尺度(INES)について
難解な原子力発電所の事象を専門家も一般の人々も共通して理解できるように、国際原子力機関(IAEA)および経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)において、1989年以来、原子力施設等の事故・故障等に係る国際的な評価尺度(International Nuclear Event Scale:INES)について検討がなされ、その後、1992年3月にウィーンで開催された技術委員会において発電用原子炉について正式な運用の開始が合意された。また、発電用原子炉以外の原子力施設等(試験研究炉、再処理施設、加工施設、使用施設、廃棄物管理施設、廃棄物埋設施設)および核燃料物質等の輸送については試験的運用を開始することとなった。
 これを踏まえて我が国においては、1992年8月1日以降に発電用原子炉において発生した事象についてINESを導入するとともに、発電用原子炉以外の原子力施設等については試行的にINESを導入してきている。
 この評価尺度は、(1)サイト外への影響:放射性物質の発電所外への影響、(2)サイト内への影響:放射性物質の発電所内への影響、(3)施設の深層防護への影響:発電所の安全確保機能の劣化、の3つを基準にして、レベル0から7までに分けられている。 通商産業省(2001年1月6日から経済産業省)は、1992年8月からこの国際評価尺度を採用している。日本でのトラブルは、ほとんどがレベル0になるので、このレベルを安全に影響を与え得る事象レベル0+(プラス)と安全に関係する事象レベル0−(マイナス)に分けている。
 INESでは、原則として発生した事象が次のいずれかに該当する場合には、公式情報を24時間以内にIAEAを介して、加盟各国に配布することとしている。
1)安全上の重要度がレベル2以上の場合。
2)当事国外で公衆の関心を集め、新聞報道等が必要となった場合(レベル1及び0)
 レベル1及び0の事象については、当事国の判断により必要に応じINESに報告されており、これらを含めた発生件数の集計をとることは不可能であるが、これまで我が国へはレベル1および0の事象も含め約500件の報告が送られてきている。我が国がINESから報告を受けた事故・事象の件数等のうち、平成2年4月〜平成12年12月までのレベル2以上の場合ついて取りまとめたものを表2に示す。
<図/表>
表1-1 2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(1/5)
表1-1  2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(1/5)
表1-2 2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(2/5)
表1-2  2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(2/5)
表1-3 2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(3/5)
表1-3  2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(3/5)
表1-4 2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(4/5)
表1-4  2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(4/5)
表1-5 2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(5/5)
表1-5  2000年の実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(5/5)
表2 国際原子力事象評価尺度(INES)のレベルに対応した事故・事象件数
表2  国際原子力事象評価尺度(INES)のレベルに対応した事故・事象件数

<関連タイトル>
日本の原子力発電所における事故・故障・トラブルの推移(2005年度まで) (02-07-01-01)
日本におけるBWR原子力発電所の主要な事故・故障・トラブル(2005年度まで) (02-07-01-02)
日本におけるPWR原子力発電所の主要な事故・故障・トラブル(2005年度まで) (02-07-01-03)
原子力施設の故障・トラブル・事故の国際評価尺度 (11-01-04-01)
平成12年試験研究用原子炉および研究開発段階炉における事故・故障 (12-03-01-21)
平成12年〜平成13年放射性同位元素等取扱施設、その他における事故・故障 (12-06-01-18)

<参考文献>
(1) 原子力安全委員会(編集):原子力安全白書 (平成12年版)、財務省印刷局、(2001年4月27日)p.23,p.96,p.99-103
(2) 原子力安全委員会:平成12年版原子力安全白書
(上記URLは「原子力安全白書/年報」の一覧で、ここから「平成12年版原子力安全白書」をクリックする。)
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