平成12年〜平成13年放射性同位元素等取扱施設、その他における事故・故障 (12-06-01-18)

＜本文＞
１．事故・故障等の一覧
　2000年（平成12年）1月から2001年（平成13年）12月までの2年間における放射性同位元素取扱施設、その他おける事故・故障等は、5件である。
　各年の内訳は、2000年のモナザイト鉱石問題1件、放射性同位元素の金属スクラップ混入問題の事例2件の計3件で、2001年の放射性同位元素の金属スクラップ混入問題の事例1件、医療用リニアック据付調整中の作業員の被ばく1件の計2件である。
　2000年における事故・故障等の一覧を表１-１および表１-２に、また、2001年における事故・故障等の一覧を表２に示す。
２．モナザイト鉱問題、放射性同位元素の金属スクラップへの混入問題への対処
　平成12年6月初旬、モナザイト鉱の粉末を入れた不審郵便物が官邸等に送付されたことを受けた警察の捜査により、各地でモナザイト鉱の存在が明らかになった。また、平成12年4月、和歌山県下の製鉄所においてフィリピンから輸入された金属スクラップの中に放射線源が発見され、5月には、兵庫県下の製鉄所においても金属スクラップから国内で使用された放射線源が発見された。
　これらの問題については、生活環境の周辺に放射性の物質が管理されずに存在している事例があることを示すものであるとし、国民が安心して生活できる環境、あるいは条件を確保する観点から、科学技術庁（現文部科学省）原子力安全局（原子力安全局）では、これら問題の適切な対策について検討を進めた。この検討に当たって、有識者等からなる「放射性物質の適切な保全管理のあり方に関する検討会」（検討会）を開催し、意見を聴取した。
　原子力安全局では、検討会の意見を踏まえ、放射線防護の観点から放射性物質（核原料物質・核燃料物質および放射線線源）の適切な保全管理のあり方について課題を整理するとともに、今後の対応についての検討結果を、「放射性物質の適切な管理」としてとりまとめ、平成12年12月25日の第90回原子力安全委員会へ報告した。報告において、当面の対応として示されている主な事項を表３に示す。
　この報告では、原子炉等規制法による管理下になく、明確な意図がなく保持されている核原料物質・核燃料物質について、再利用のルートに乗せることを含め、これを引き取り適切に管理する枠組みを構築すること、放射線源等の金属スクラップ等への混入防止対策の強化、金属スクラップ等への線源混入の発見時の適切な処理の枠組みの整備等について、今後検討を進めることとしている。
　原子力安全委員会としては、今後、関係する機関がこの検討結果に基づき、具体的な対策を実施することは、問題の再発防止及び万一再発した場合の迅速な対応に有効であるとしている。
＜注記＞事故・故障データの把握期間
　平成12年版および平成13年版の原子力安全白書では、事故・故障のデータは暦年（1月1日〜12月31日）で整理されている。平成11年版原子力安全白書は財政年度（4月1日〜3月31日）で整理されている。

＜図／表＞

表１-１平成12年放射性同位元素等取扱施設、その他における事故・故障等の一覧（1/2）

表１-２平成12年放射性同位元素等取扱施設、その他における事故・故障等の一覧（2/2）

＜参考文献＞
（1）原子力安全委員会（編）：原子力安全白書（平成12年版）、財務省印刷局（2001年4月27日）p.22，p.97-98，p.108-109
（2）原子力安全委員会（編）：原子力安全白書（平成13年版）、財務省印刷局（2002年5月13日）p.90-91
（3）原子力安全委員会：平成12年版原子力安全白書
（上記URLは「原子力安全白書／年報」の一覧で、「平成12年版原子力安全白書」をクリックする）
（4）原子力安全委員会：平成13年版原子力安全白書
（上記URLは「原子力安全白書／年報」の一覧で、「平成13年版原子力安全白書」をクリックする）