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<概要>
 原子力発電所の設置に当たっては、国民の十分な理解を得るため国民との意思疎通が不可欠である。このため地元住民に対して第1次公開ヒアリングと第2次公開ヒアリングが実施されている。第1次公開ヒアリングは原子力発電所の設置計画が電源開発基本計画に組み入れられる前に経済産業省主催で行われる。第2次公開ヒアリングは経済産業省が行った安全審査(一次審査)について原子力安全委員会が調査審議(二次審査)する前に原子力安全委員会主催で行われる。
 このようなことから、1982年(昭和57年)11月25日に、原子力安全委員会は原子力発電所およびその他の主要な原子力施設の設置に際し地元住民から文書による意見聴取を加味した方法等によることもできることとした公開ヒアリング等の実施方法を了承した。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。本データに記載されている原子力発電所の設置に当たって行う地元住民への公開ヒアリングに関する考え方や具体的な手順等についても原子力規制委員会により見直しや追加が行われる可能性がある。なお、原子力安全委員会は上記の規制組織改革によって廃止された。
<更新年月>
2002年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子力発電所の設置に当たっては、厳正な安全規制を実施するとともに、国民の理解と信頼をさらに深めるため国民との意思疎通を図ることが不可欠である。このため地元住民に対して第1次公開ヒアリングと第2次公開ヒアリングが実施されている。原子力発電所の設置手続きにおける公開ヒアリングの位置づけを図1に、第1次公開ヒアリングと第2次公開ヒアリングの違いについて表1に示す。
 第1次公開ヒアリングは原子力発電所の設置計画が電源開発基本計画に組み入れられる前に行われる。(注:原子力安全委員会は原子力安全・保安院とともに2012年9月18日に廃止され、原子力安全規制に係る行政を一元的に担う新たな組織の原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。)原子力発電所設置にかかわる諸問題について地元住民の理解と協力を得るため、経済産業省が主催し、発電所設置者が計画を説明する。第2次公開ヒアリングは経済産業省が行った安全審査(一次審査)について原子力安全委員会が調査審議(二次審査)する前に行われる。原子力安全委員会が主催し経済産業省が説明し、原子力安全委員会が個別施設ごとの固有の安全性について地元住民の意見などを聴取する。
 このようなことから、1982年(昭和57年)11月25日に、原子力安全委員会は原子力発電所およびその他の主要な原子力施設の設置に際して地元住民から文書による意見聴取を加味した方法等によることもできることとした公開ヒアリング等の実施方法を了承した。以下にその原文のとおり示す。

公開ヒアリング等の実施方法について(昭和57年11月25日、原子力安全委員会了承)

 原子力安全委員会は、昭和57年11月25日に改正した「原子力安全委員会の当面の施策について」に基づき、実用発電用原子炉その他の主要な原子力施設の設置に当たり、地元住民の意見等を聴取するために、当面、次のとおり公開ヒアリング等を実施するものとする。
1.当該立地点において、当委員会による地元住民からの意見聴取が未だ行われていない場合、又は当該原子力施設が当該立地点における既存の施設と相当程度異なる特徴を有する施設である場合には、地元の協力を得つつ、原則として、地元において対話方式を取り入れた公開ヒアリングを開催する。
 ただし、地元の個別事情を勘案して、上記によりがたいと認められる場合には、次のいずれかの方法により地元住民の意見等を聴取するものとする。
(1)地元における、行政庁の安全審査に関する説明会の開催の後、地元住民より文書による意見等を提出させる。
(2)地元住民より文書による意見等を提出させた後、これにつき直接聴取するための会合を地元において開催する。
2.上記1本文以外の場合は、上記1に準じて意見聴取を行うこととするが、地元からの要望がなされた場合には、これを踏まえて適切な意見聴取の方法をその都度決定する。
<図/表>
表1 原子力発電所の第1次公開ヒアリングと第2次公開ヒアリングの違い
表1  原子力発電所の第1次公開ヒアリングと第2次公開ヒアリングの違い
図1 実用発電用原子炉施設の設置手続きにおける公開ヒアリングの位置付け
図1  実用発電用原子炉施設の設置手続きにおける公開ヒアリングの位置付け

<関連タイトル>
原子力安全委員会の当面の施策について (10-03-02-01)
原子力安全委員会 (10-04-03-01)
公開ヒアリング (11-01-01-03)

<参考文献>
(1)原子力安全委員会(編):原子力安全白書(平成11年版)、大蔵省印刷局(2000年9月)、p.290
(2)原子力安全委員会(編):原子力安全年報(昭和59年版)、大蔵省印刷局(1984年10月)
(3)原子力安全委員会:第3編第1章第1節/実用原子炉施設、原子力安全白書(平成13年版)
(4)原子力安全委員会:公開ヒアリング等の実施方法について、原子力安全年報(昭和59版)
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