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<概要>
 原子力委員会は現行の原子力長期計画(平成12年11月24日策定)の具体化に向けた長期的観点からの取組について、情勢の変化によって機動的に対応すべき研究開発活動を踏まえつつ、昨今の厳しい財政事情の下で重点化・合理化・効率化が図られているかどうかを評価して、「平成16年度、原子力の研究、開発及び利用に関する計画」を取りまとめ、2004年4月12日に決定した。平成16年度計画は長期計画で掲げている6つの項目の分類に従って各分類項目ごとに長期計画の概要とそれに対応した取組がまとめられている。具体的な施策では各取組に対応した各省庁機関の施策と16年度予算額及び前年度予算額が示されている。予算総表は原子力関連予算を一般会計、電源開発促進対策特別会計に分類し、各省庁、機関ごとにまとめている。ここでは16年度計画に基づき、取りまとめるにあたっての観点と取組の概要および原子力関係予算の省庁別区分の概要を示した。
<更新年月>
2004年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.はじめに
 原子力委員会は現行の原子力長期計画(平成12年11月24日策定)の具体化に向けた長期的観点からの取組について、情勢の変化によって機動的に対応すべき研究開発活動を踏まえつつ、昨今の厳しい財政事情の下で重点化・合理化・効率化が図られているかどうかを評価して、「平成16年度、原子力の研究、開発及び利用に関する計画」を取りまとめ、2004年4月12日に決定した。平成16年度計画は長期計画で掲げている6つの項目(1.国民・社会と原子力の調和、2.原子力発電と核燃料サイクル、3.原子力科学技術の多様な展開、4.国民生活に貢献する放射線利用、5.国際社会と原子力の調和、6.原子力の研究、開発及び利用の推進基盤)の分類に従って取りまとめられている。16年度計画の目次を表1に示す。表1に示すとおり、I.平成16年度の取組では各分類項目ごとに長期計画の概要とそれに対応した取組がまとめられている。II.具体的な施策ではI.の取組に対応した各省府、機関の施策と16年度予算額及び前年度予算額が示されている。III.予算総表は原子力関連予算を一般会計、電源開発促進対策特別会計に分類し、各省府、機関ごとにまとめている。表2-1表2-2表2-3表2-4表2-5および表2-6は平成12年策定の長期計画の概要である。

2.平成16年度計画を取りまとめるに当たっての基本認識
 ・エネルギー供給の安定性向上と地球温暖化問題に関連した化石燃料依存の低減から原子力の重要性は高まりつつある。
 ・研究用原子炉、加速器等は先端研究開発の発展に欠かせない研究インフラである。
 ・放射線利用技術は様々な産業分野と国民生活の向上に貢献している。
 ・原子力エネルギー利用は現在、第二段階の入口にある。
 ・核融合については国際協力によってITER計画を推進することを基本方針とし、早期のサイト選定を目指す。
 ・事故やデータ改ざん等の不祥事によって生じた、立地地域および国民の不信感を克服するため、安全の確保、国民の信頼回復と相互理解の努力を充実させる。
3.平成16年度における取組の概要
3.1 国民・社会と原子力の調和
1)安全確保と防災
(原子力安全委員会)
 安全審査について、諸外国における安全目標と安全審査との関係について調査、また、わが国のリスク情報等の整備状況の調査を実施。合理的かつ透明性が確保された後続規制制度の整備・実効的運用の確立のため、規制調査の実施体制を強化。「安全文化の醸成・定着のための意見交換会」を継続的に実施。ITを用いた防災訓練等を実施、緊急技術助言組織が行う技術的助言のあり方に関する調査を行い、原子力防災体制の一層の向上を図る。
(総務省)
 原子力艦災害や放射性物質テロ災害時に消防機関で行う除染等を実施する場合の具体的方法を検討、消防機関における除染、汚染拡大防止措置能力の向上を図る。原子力施設等の消防活動が困難な空間における消防活動支援情報システムの実用化に向け、試作機を作成、モデル配備事業を実施。放射性物質災害発生時に備えた広域応援態勢の整備促進。
(文部科学省)
 原子炉の高度化に対応した燃料安全研究、原子炉長期利用に関する炉材料等の高経年化に関する安全研究等を実施。
(経済産業省)(文部科学省)
 保安規定の遵守状況の検査等について継続実施。原子力防災のための施設・設備の整備、防災訓練・防災研修に対する支援を継続。
(経済産業省)
 シュラウド等における亀裂を検出・評価する技術の確立・実証により原子力発電施設における健全性評価手法の確立。検査技術の高度化や国内外の最新の知見を反映し、発電用原子炉の検査手順の策定等。
(国土交通省)
 放射性物質の輸送に係る安全規制・講習会の開催および安全基準策定に必要な調査・解析、研修等の継続実施。海上輸送に係る原子力防災対策および環境影響評価に関する調査研究の継続。
2)情報公開と情報提供
(原子力委員会)
 市民参加型の懇談会を開催し、原子力政策策定プロセスへの市民参加促進。
(原子力安全委員会)
 安全目標の策定に向けた国民参加型プロセスとして討論会の継続開催。
(文部科学省、経済産業省)
 インターネット、マスメディア等を活用した双方向コミュニケーションの実施、地域担当官事務所の機能強化等、広聴・広報活動の強化。
(経済産業省)
 原子力政策に関する国民の理解促進のための広聴・広報事業による国民の信頼回復と安心の醸成。
3)原子力に関する教育
(文部科学省)
 都道府県が実施するエネルギーや原子力に関する教育の取組を支援。
4)立地地域との共生
(経済産業省・文部科学省)
 新交付金の電源立地に効果的な交付金として定着。
(経済産業省)
 核燃料サイクルの確立に向けた支援の拡充とプルサーマルの実施や使用済燃料中間貯蔵施設建設等に対する交付金措置の手当。
3.2 原子力発電と核燃料サイクル
1)原子力発電の着実な展開
(経済産業省)
 定期自主検査等におけるフレキシブルメンテナンスシステムの開発。民間中心に取り組むべき事項の精査・整理、重点化。
2)核燃料サイクル事業
(文部科学省)
 軽水炉使用済ウラン燃料とふげん燃料などの再処理実施。運転保守に関する技術開発。遠心機処理や工程内ウラン回収等の技術開発を継続実施。新型転換炉「ふげん」について、廃止措置に必要な研究開発や関連施設の導入・改善、環境保全対策研究を実施。MOX燃料製造技術および関連技術分野の開発を進め、国内技術としての定着を目指す。「常陽」の取替燃料等の製造、MOX燃料製造の簡素化プロセス技術開発等を継続実施。
(経済産業省)
 商業MOX燃料加工工場の各種技術の適合性の確証や設備の信頼性向上試験について、補助。日本原燃(株)の遠心分離機の開発を平成21年度まで補助。
3)放射性廃棄物の処理及び処分
(文部科学省)
 長寿命核種の分離・変換技術開発を継続。RI・研究所等の廃棄物処分に関する検討継続。超ウラン核種を含む放射性廃棄物の発生量低減、処理処分の合理化に向けた調査。核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)の低放射性廃棄物処理技術開発施設の建設継続。
(経済産業省)
 高レベル放射性廃棄物、地層処分技術の信頼性向上技術開発を継続、地質等調査技術開発を重点的に実施。ウラン廃棄物、超ウラン核種を含む放射性廃棄物のうち、余裕深度処分相当の放射廃棄物の処分技術等の調査継続。
(文部科学省・経済産業省)
 核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)の深地層研究施設の建設継続。
4)高速増殖炉サイクル技術の研究開発
(文部科学省)
 「もんじゅ」については、地元を始めとした国民の理解を得ながら、計画を進める。「実用化戦略調査研究」については、電気事業者と連携して実用化候補の絞り込みを行う。
3.3 原子力科学技術の多様な展開
(文部科学省)
 大強度陽子加速器の建設の着実な実施。RIビーム加速器建設継続。ITERサイトの誘致、非誘致にかかわらず、分担する設備機器等の開発に向けた準備等を実施。臨界プラズマ実験装置等により定常核融合炉の経済性・環境適合性の向上、ITER燃焼プラズマ制御のための研究開発を大学等と連携して実施。核融合人材の育成。革新的原子力技術に係る提案公募方式の研究開発を継続実施。高温工学試験研究炉については、原子炉出口温度950℃の達成を目指し(2004年4月に達成)、また、水素製造システムの要素技術試験等を実施。
(文部科学省・その他5省)
 原子力委員会による研究テーマの評価を徹底、科学技術全般への波及効果が期待される先端的・先導的な基礎・基盤研究の重点的継続実施。
(経済産業省)
 原子力発電及び核燃料サイクル技術の選択肢確保のため、革新的実用原子力技術に係る提案公募方式の研究開発を継続実施。
3.4 国民生活に貢献する放射線利用
(文部科学省)
 重粒子線によるがん治療について、一部高度先進医療として治療を開始。低線量放射線の生体影響に関する研究の継続。高線量被ばく時の緊急被ばく医療に関する研究の継続。緊急被ばく医療に関する実証と成果提供の継続。
(農林水産省・内閣府)
 放射線を利用した不妊虫放飼法による病害虫対策の継続実施。
3.5 国際社会と原子力の調和
(原子力委員会)
 アジア原子力フォーラムの体制を充実、原子力政策に対する国際協力強化。
(原子力安全委員会)
 放射線国際対応専門調査会にて国としての意見集約、国際会議の場で見解を発信。
(外務省・文部科学省・経済産業省)
 IAEA等の国際機関の活動について協力継続。
 旧ソ連諸国の原子力安全プロジェクトの支援継続。
(外務省)(文部科学省)
 アジア地域の原子力利用や安全性向上等に資する協力を継続。
(文部科学省)
 包括的核実験禁止条約の実施に係る研究開発を継続。民間機関による査察代行等の積極的活用の継続。「統合保障措置」の我が国への早期適用に向けてIAEAとの積極的議論。高速増殖炉サイクル技術等を活用、ロシアの核兵器解体により発生する余剰兵器プルトニウム管理・処分への協力を継続。技術的基盤を提供するための会合等に積極的に関与。ITER計画を推進。分担するITER設備機器の開発に向けた準備。
(文部科学省・経済産業省)
 Generation IV International Forum等の原子力研究・開発の国際的協力の枠組みに参画。安全管理等に関する国際研修の継続実施。アジア諸国及びロシア、中東欧諸国の原子力発電事業者等を対象とした安全運転等に関する国際研修の継続。
3.6 原子力の研究、開発及び利用の推進基盤、その他
(文部科学省)
 ポストドクター等若手研究者の研究交流の継続。革新的原子力技術に係る提案公募方式の研究開発の継続。
(経済産業省)
 提案公募方式による革新的実用原子力技術開発の継続。提案公募方式により、自然科学、人文科学および社会科学等の分野において原子力安全に関する知識基盤の創生につながる調査研究の実施。
(原子力委員会)
 新たな原子力長期計画策定のための準備を行う。
4.各省庁における原子力関係予算の概要
 表3に平成16年度の原子力関係の省庁別予算総表を示す。
<図/表>
表1 平成16年度原子力研究、開発及び利用に関する計画目次
表1  平成16年度原子力研究、開発及び利用に関する計画目次
表2-1 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(1/6)
表2-1  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(1/6)
表2-2 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(2/6)
表2-2  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(2/6)
表2-3 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(3/6)
表2-3  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(3/6)
表2-4 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(4/6)
表2-4  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(4/6)
表2-5 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(5/6)
表2-5  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(5/6)
表2-6 原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(6/6)
表2-6  原子力開発計画(平成12年度策定)の概要(6/6)
表3 平成16年度 一般会計 原子力関係予算総表
表3  平成16年度 一般会計 原子力関係予算総表

<関連タイトル>
原子力開発利用長期計画(平成12年策定)総論 (10-01-05-03)
原子力開発利用長期計画(平成12年策定)各論 (10-01-05-04)
平成15年度原子力研究開発利用基本計画 (10-02-01-13)

<参考文献>
(1)原子力委員会、平成16年度 原子力研究、開発及び利用に関する計画(2004年3月)
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