<本文>
事業者等は、管理区域に立ち入る者及び放射性物質あるいは放射線発生装置の取扱い業務に従事する者に対して、以下の基準に従って教育訓練を行わなければならない。また、事業所内の上記以外の者(事務担当者など)に対しても、立入ると考えられる放射線施設に関して、放射線障害の発生を防止するために必要な教育訓練を行うことになっている。ただし、十分な知識及び技能を有していると認められる者に対しては、教育及び訓練の1部又は全部を省略出来る。
1)教育訓練の時期
(1)管理区域に立入る者に対しては、管理区域に初めて立入る前、及び立入った後では、1年を超えない期間毎に行う。
(2)取扱い等の業務に従事する者に対しては、取扱い等の業務を開始する前、及び開始後では、1年を超えない期間毎に行う。
なお、これらの教育訓練の実施の事実は記帳しておかなければならない。
管理区域一時立入者に対しては、立入る放射線施設において放射線障害の発生防止のために必要な事項について行う。
2)教育訓練の項目
(1)放射線の人体に与える影響
(2)放射性同位元素等または放射線発生装置の安全な取扱い
(3)放射性同位元素及び放射線発生装置による放射線障害の防止に関する法令
(4)法律に基づき事業者等が作成し、国の認可を受けた放射線障害予防規定
更に、定期的な放射線安全を中心とした事前及び再教育訓練、日常の業務を通じ、随時行う教育訓練、新しい知識・技術の習得と並行あるいは一体化して行う教育訓練がある。
3)教育訓練の時間数
初めて管理区域に立入る前、又は取扱い等業務を開始する前に行わなければならない教育及び訓練の時間数の下限を
表1に示す。
なお、
電離放射線障害防止規則では、事業者はエックス線装置、又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影業務に労働者を就かせるときは、その労働者に対して以下の項目について特別の教育(透過写真撮影業務特別教育規程)を行わなければならないとしている(
表2参照)。
(1)透過写真の撮影の方法
(2)エックス線装置またはガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法
(3)電離放射線の生体に与える影響
(4)関係法令
4)教育訓練の留意事項
放射線安全を中心とした教育は無味乾燥なものとなるので、興味を起こさせ、積極的に受講するように教育の仕方に工夫が必要である。
(1)事例研究などの具体的な問題を取り上げる。
(2)実習を通じて問題点を会得させる。
(3)視聴覚資料を充分に活用する。
5)人事院規則関係国家公務員に対する教育
人事院規則においては放射線業務に従事する者、放射線障害の防止に関する事務を行う者、及び管理区域に立入る者に対して教育を行わなければならない。教育内容を
表3に示す。
(前回更新:2002年3月)
<図/表>
<関連タイトル>
放射性同位元素 (08-01-03-03)
職業被ばくの評価 (09-04-04-08)
作業環境モニタリング (09-04-06-01)
空気汚染モニタリング (09-04-06-03)
表面汚染モニタリング (09-04-06-04)
放射線作業の計画と管理 (09-04-09-03)
線量に関する単位 (18-04-02-02)
<参考文献>
(1)日本アイソトープ協会(編):主任者のための放射線管理の実際、改訂2版(1994)
(2)日本アイソトープ協会(編):アイソトープ法令集(I)、日本アイソトープ協会(2002)
(3)厚生労働省安全衛生部労働衛生課(編):電離放射線障害防止規則の解説、中央労働災害防止協会(2001)
(4)辻本 忠、草間 朋子:放射線防護の基礎 第3版、日刊工業新聞社(2001.3)p.199
(5)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律:(1957)
(6)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則:(1960)
(7) 射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正:(2005)
(8)原子力規制委員会、RI規制関連法令集、「教育及び訓練の時間数を定める告示(最終改正 平成17年6月1日 文部科学省告示第79号)」、「表示付認証機器とみなされる表示付放射性同位元素装備機器の認証条件を定める告示(平成17年6月1日 文部科学省告示第75号)」、
http://www.nsr.go.jp/activity/ri_kisei/kanrenhourei/