<大項目> バックエンド対策
<中項目> 原子力施設の廃止措置
<小項目> 発電炉以外の原子炉の廃止措置
<タイトル>
JPDRの解体(1992年度以降) (05-02-04-10)

<概要>
 日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)は、将来の商業用発電炉の廃止措置に備え、1981年から1986年にかけ解体技術開発を行い、この成果を我が国初の原子力発電試験炉として建設、運転されたJPDRに適用し、1986年よりJPDR解体実地試験として本格解体を開始した。1991年度までの解体作業の内容および進展状況については「JPDRの解体」で述べている通りである。ここでは、1992年度より1995年度まで、すなわち1996年3月31日の解体終了までの経過とその成果を述べる。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.JPDR解体実地試験の経過
 1992年度には、制御爆破工法による放射線遮蔽体内側下部の解体撤去、使用済燃料貯蔵プールライニングの解体撤去、タービン建家内等の残存設備機器の撤去を行った。建家除染では、廃棄物処理建家内の汚染コンクリート表面のはく離除染を行った。
 1993年度には、原子炉格納容器内の機器撤去では、放射線遮蔽体残部の解体撤去を行うとともに原子炉格納容器本体外壁の保温材を解体撤去した。この他の原子炉付属施設については、排風機建家の設備・機器、燃料建家の残存設備、機器等の解体撤去及び付属施設の建家除染を行った。
 1994年度は、引続き建家の汚染コンクリート表面のはく離除染および除染後確認測定等を行い、一部の区域の管理区域解除及び建家の解体撤去を行った。
 1995年度は、建家に残存汚染がないことの確認検査を受けた後、建家の解体撤去を行い、埋め戻し整地を行って1996年3月31日JPDR解体実地試験を終了した。

2.廃棄物埋設実地試験の経過と成果
 JPDR解体廃棄物を用いた廃棄物埋設実地試験は、次のような経過で行われ、その成果は次のとおりである。
 炉規法施行令(1992年9月)及び廃棄物埋設規制(1993年2月)の一部が改正されたことを受けて、原研(現日本原子力研究開発機構)では、JPDRの解体によって大量に発生する極低レベルコンクリート廃棄物(16,700トン実績値)の所内での簡易埋設処分を実施するため、1993年内に安全審査などの許認可申請手続を行い、1993年10月申請、1995年6月許可された。その後、埋設施設が建設され、廃棄物定着作業を1995年11月下旬から開始、1996年3月定着作業を終わり、さらに約2ヶ月を要して上部覆土の施工、植生が行われた。
 その成果は、簡易な埋設施設の設計、極低レベルコンクリート放射性廃棄物の定置作業、覆土等の経験を通じての実施手順、安全措置方式が確認されたことである。
 今後の試験計画は、1999年まで放射能等の測定、環境影響解析を行って終了する予定である。なお、原子炉規制法の規定に基づき、埋設施設の巡視、点検等約30年間の管理が継続される。

3.JPDR解体実地試験の主要な結果と成果
(1)主要な結果
(イ)作業者の被ばく線量当量の合計は0.3人Svであり、その程度は最近の商業用原子力発電炉の定期検査の被ばくと比較しても十分に低い値であった。作業者線量当量の内訳を 図1 に示す。
(ロ)作業人工数
 全作業人工数は145,000人日であった。炉心部周辺に存在する放射化した機器の解体(炉内構造物、原子炉容器、生体遮蔽など)で全体の約29%を要している。全体の内訳を 図2 に示す。
(ハ)廃棄物の発生量
 解体作業の全期間を通して24,400トンの廃棄物が発生し、そのうち約85%が非放射性廃棄物であった。非放射性廃棄物とは、放射性廃棄物でない廃棄物と非管理区域から発生した廃棄物である。全廃棄物量の内訳を 図3 に示す。放射性廃棄物のうち、その約半分に相当する2,070トンの廃棄物を保管廃棄施設で保管した。この中には炉内構造物や原子炉圧力容器の一部など遮蔽容器を必要としたものもあるが、その量はわずかであった。生体遮蔽体残部のような極低レベルコンクリートについては、原研(現日本原子力研究開発機構)敷地内での廃棄物埋設実地試験に供したが、その量は全体の6.8%(約1,670トン)であった。
(2)JPDR解体実地試験の成果
(イ)プラズマアーク切断装置、アークソー切断装置等の遠隔操作機器により、炉内構造物、原子炉容器等が、安全に解体撤去できることが実証された。また、遠隔操作機器の適用は作業者の被ばく低減に大いに寄与することが明らかになった。
(ロ)機械的切断装置、水ジェット切断装置、制御爆破が生体遮蔽体の解体撤去に適用され、その有用性が実証された。
(ハ)建家等の解体に先立って、コンクリートの表面汚染部の分離と確認測定のための手順を確立し、一般工法による建家の解体を実現した。
(ニ)解体廃棄物の管理計画を作成し、解体に伴って発生する多量の廃棄物を円滑にかつ適格に管理することができた。また、放射性廃棄物の特性、処理、処分方法の知見が得られ、一層合理的なシステムの構築が重要であることが認識された。
(ホ)適切な放射線管理により、作業者の過大な外部被ばくや有意な内部被ばくを発生させることなくJPDR解体実地試験を終了することができた。また、解体作業を通して、放射線管理に関する有用なデータを得ることができた。
(へ)解体作業データを収集・整理し、解体作業の管理に役立てると共に、効率的な作業の実施に資するためのデータ分析を行った。
<図/表>
図1 作業者線量当量の内訳
図2 解体作業における作業人工数の内訳
図3 全廃棄物発生量の内訳

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
原子力施設の敷地などの有効利用 (05-02-01-06)
研究炉の廃止措置 (05-02-04-01)
JPDRの解体 (05-02-04-09)
JRR-2の解体計画と現状 (05-02-04-12)

<参考文献>
(1)科学技術庁原子力安全局原子力安全調査室(監修):原子力安全委員会安全審査指針集 改訂8版、大成出版(1994年10月)
(2)科学技術庁原子力安全局(編):原子力安全委員会月報、第190号(第17巻第7号)、大蔵省印刷局(平成6年11月)
(3)宮坂靖彦ほか:JPDR解体実地試験の概要と成果、原子力学会誌、Vol.38,No.7,p.553?576(1996)
(4)宮坂靖彦ほか:JPDR特集−1;JPDR解体プロジェクトの概要、JPDR解体実地試験−放射線遮蔽体の解体撤去、−原子炉格納容器等建家の解体撤去、デコミッショニング技報 No.14,p.24-59(1996)、(財)原子力施設デコミッショニング研究協会
(5)清木義弘ほか:JPDR特集−2;JPDR解体実地試験−JPDR設備・機器の解体、−放射線管理、−JPDR解体廃棄物、極低レベルコンクリート廃棄物の埋設実地試験、デコミッショニング技報、No.15,p.12-58(1996)、(財)原子力施設デコミッショニング研究協会
(6)日本原子力研究所バックエンド技術部JPDR解体技術開発成果報告書−JPDRの解体と技術開発−、JAERI-Tech 97-001(1997年2月)
(7)宮坂靖彦ほか:特集−JPDR解体プロジェクトの成果、原子力工業、42(12),1-34(1996)
(8)資源エネルギー庁:役割を終えたその後は?原子力発電所の廃止措置について、1997年3月
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