<解説記事ダウンロード>PDFダウンロード

<概要>
 日本の原子力発電は、1966年に初の商業用原子力発電所が営業運転を始めてから、2003年7月1日現在、運転中の原子炉52基総認可出力4574.2万kWに達し、建設中3基383.8万kW、建設準備中8基1031.5万kW、これらの合計は63基5989.5万kWで、世界第3位である。
<更新年月>
2004年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 日本の原子力発電所の設備容量は、2003年7月1日現在、BWR(沸騰水型軽水炉)29基2637.6万kW、PWR加圧水型軽水炉)23基1936.6万kWで総計52基4574.2万kWである(表1参照)。わが国最初の電気事業用原子力発電所である日本原子力発電(株)東海発電所(GCR1基16.6万kW)が、1966年以来の営業運転を1997年度末で停止した。また、新型転換炉ふげん(ATR、16.5万kW)は、動燃(現日本原子力研究開発機構)改革による新型転換炉研究開発計画変更によって、その役割が終了し、2003年3月に運転終了した。
 これら原子力発電所52基による2002年の発電電力量(発電端)は、2940億kWhで、国内総発電電力量の約31.4%を占めた。図1に設備容量および設備利用率の推移を示す。図2に事故・トラブル等報告件数および1基当たり報告件数(法律対象)の推移を示す。また発電電力量の推移を図3に、原子力発電所立地図を図4に、原子力発電所の放射線業務従事者の被ばく実績を図5に示す。
1.設備利用率
 2002年度の原子力発電所の平均設備利用率は、BWR29基(総認可出力2637.6万kW)が61.9%、PWR23基(同1936.6万kW)が89.1%、合計52基の平均設備利用率は前年(80.5%)比7.1%減の73.4%であった。また、52基の平均時間稼動率は前年(80.9%)比7.7%減の73.2%であった。
2.運転・建設状況
 現在建設中の原子力発電所は、東北電力の東通原子力1号(BWR、110.0万kW)、中部電力の浜岡原子力5号(ABWR、138.0万kW)、および北陸電力の志賀原子力2号(ABWR、135.8万kW)である。なお、建設準備中は日本原子力発電の敦賀原子力3号、4号(いずれもAPWR、153.8万kW)、北海道電力の泊原子力3号(PWR、91.2万kW)、東北電力の巻原子力1号(BWR、82.5万kW)(注)、中国電力の島根原子力3号、上関原子力1号、2号(いずれもABWR、137.3万kW)および電源開発の大間原子力(ABWR、138.3万kW)である。2002年7月1日現在における原子力発電所の炉型別の運転・建設状況一覧を表2−1表2−2および表2−3に示す。
3.設備容量
 2002年度末までの日本の原子力発電所の炉型別(BWR、PWR)設備容量の推移は表3図1に示すとおり、合計52基4574.2万kWとなり、一般電気事業用全発電設備容量(23347万kW)に対する比率は19.6%である。この設備容量は、アメリカ(2001年12月末現在、103基、10174.2万kW)、フランス(同、57基、6292.0万kW)に次いで世界第3位である。
4.設備利用率の推移
 2002年度の日本の原子力発電所の設備利用率は、営業運転中の全原子力発電所平均で73.4%となった。石油代替エネルギーの中核として着実に原子力の利用が進められている。
 日本の原子力発電は、1966年に東海発電所(GCR)、1970年に軽水炉(BWR、PWR)の商業運転開始で幕を開けた。軽水炉は1975年代前半に初期トラブル、BWRは応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)、PWRは蒸気発生器伝熱管からの漏洩等のため、設備利用率は40〜50%程度と低迷を続けていたが、1975年代後半からは徐々に上昇してきた。1983年度には71.5%と初めて70%の大台に乗せて以後、70%以上の設備利用率を維持し(図1参照)、先進国の中でも極めて良好な成績を示している。故障・トラブル等の推移を図2に、発電電力量の推移を図3に、原子力発電所における分布図を図4に、放射線従事者の被ばく実績を図5に示す。
 設備利用率が2002年度に減少している要因としては、2002年の夏に明らかになった原子力発電所の不正問題等に起因する点検の必要性等から、一部の原子力発電所について定期検査期間が長期化したことによるものである。
5.改良型軽水炉
 現在運転している東京電力の柏崎刈羽6号機(BWR、135.6万kW)および7号機(BWR、135.6万kW)の2基は、改良型BWR(ABWR)とよばれるわが国の軽水炉の第3次改良標準化計画の成果を反映した初号機である。インターナルポンプ(内蔵型再循環ポンプ)など新技術が採用され、安全性信頼性を一層高めた設計となっている。
6.今後について
 日本初の商業用原子炉である東海発電所(GCR、16.6万kW)は、1998年3月で営業運転を停止し、廃炉措置中である。
 また、新型転換炉ふげん(ATR、16.5万kW)は、動燃(現日本原子力研究開発機構)改革による新型転換炉研究開発計画変更によって、その役割が終了し、2003年3月に運転終了し、廃炉措置準備中である。

(注)2003年12月24日、東北電力は巻原子力発電所1号の建設断念を正式決定した旨の記事が原産新聞(2004年1月6日付け)に掲載されている。
<図/表>
表1 原子力発電所の運転・建設状況
表1  原子力発電所の運転・建設状況
表2−1 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(1/3)
表2−1  日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(1/3)
表2−2 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(2/3)
表2−2  日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(2/3)
表2−3 日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(3/3)
表2−3  日本の原子力発電所の運転・建設状況一覧(3/3)
表3 炉型別原子力発電所の設備容量の推移
表3  炉型別原子力発電所の設備容量の推移
図1 設備容量および設備利用率の推移
図1  設備容量および設備利用率の推移
図2 故障・トラブル等報告件数および一基当たり報告件数の推移
図2  故障・トラブル等報告件数および一基当たり報告件数の推移
図3 発電電力量の推移
図3  発電電力量の推移
図4 原子力発電所の分布地図
図4  原子力発電所の分布地図
図5 原子力発電所における放射線業務従事者の被ばく実績
図5  原子力発電所における放射線業務従事者の被ばく実績

<関連タイトル>
日本の原子力発電所の分布地図(2003年) (02-05-01-07)
改良型加圧水型原子炉(APWR) (02-08-02-04)
APWRの改良発展 (02-08-02-06)

<参考文献>
(1)経済産業省原子力安全・保安院原子力安全技術基盤課(編):原子力施設運転管理年報平成15年版(平成14年度実績)、(社)火力原子力発電技術協会(2004年1月)
(2)日本原子力産業会議(編):世界の原子力発電開発の動向 2003年次報告−2003年12月31日現在−(2004年5月)
(3)経済産業省原子力安全・保安院 技術基盤課:平成15年度の原子力発電所の設備利用率について
(4)日本原子力産業会議:プレスリリース、世界の原子力発電開発の動向−2003年12月31日現在−、http://www.jaif.or.jp/ja/news/2004/0412-doko.html
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ