<大項目> 原子力発電
<中項目> 軽水炉(PWR型)原子力発電所
<小項目> 原子炉冷却設備
<タイトル>
PWR原子炉容器 (02-04-03-01)

<概要>
 加圧水型炉(PWR)の原子炉容器(RV)は、一次冷却系主要設備の一つで、炉心を収納し、通常運転時の高温・高圧、異常時の過渡変化、さらに高速中性子照射による材質脆化などに対しても、原子炉冷却材圧力バウンダリとしての機能を充分果たすように設計されている。原子炉容器は上部および底部が半球状のたて型円筒形で原子炉容器蓋(上蓋)と原子炉容器胴(容器胴)から構成されている。原子炉容器内には、燃料、炉内構造物制御棒クラスタ、その他炉心附属部品を収容している。一次冷却材管は原子炉容器のフランジと炉心上端との中間に接続され、配管の破損による一次冷却水の漏洩によって炉心が露出しない構造となっている。
<更新年月>
2008年12月   

<本文>
 加圧水型炉(PWR)の一次系主要設備の配置を図1に、原子炉容器(RV)の構造説明図を図2に、設備仕様を表1に、原子炉容器内構造説明図を図3に示す。原子炉容器は一次冷却系主要設備の一つであり、炉心(燃料、制御棒など)を収納し、通常運転時の高温・高圧、異常時の過渡変化、さらに高速中性子による材質脆化などに対しても、原子炉冷却材圧力バウンダリーとしての機能を充分果たすように設計されている。
1.原子炉容器の構造
 原子炉容器は上部および底部が半球状のたて型円筒形で原子炉容器蓋(上蓋)と原子炉容器胴(容器胴)から構成されている。原子炉容器内には、燃料、炉内構造物、制御棒クラスタ、その他炉心附属部品を収容している。一次冷却材管は原子炉容器のフランジと炉心上端との中間に接続され、配管の破損による一次冷却水の漏洩によって炉心が露出しない構造となっている。
 上蓋は容器胴側フランジにボルト締めで取付け、燃料の取替および検査などの時には取外しができる。上蓋には制御棒駆動装置用管台が取付けられている。また上蓋頂部には空気抜き配管および弁が取付けられている。原子炉容器底部には炉心内の中性子束計測シンブルの案内管が多数取付けられている。
 原子炉容器は出口ノズル部と入口ノズル部に設けた原子炉容器支持金物においてコンクリート基礎に設置された容器支持構造物に据え付けられている。
2.原子炉容器の設計
 原子炉容器は、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成し、一次冷却水中の放射性物質が外部に漏洩するのを防ぐ隔壁となっている。原子炉容器の胴壁は、炉心からの高速中性子の照射を受けることにより材質としての靱性が低下(照射脆化)するため、原子炉容器はプラントの使用期間中にわたって、その健全性が維持できるように材料を選定し設計製作されている。
3.原子炉容器の材料
 原子炉容器の主要構造材料は、低合金鋼鋼板および低合金鋼鍛鋼品を使用している。その理由は、その材料特性が十分把握されていることに加え次の点が優れており、原子炉容器用鋼材として適しているためである。
a.高温において強度特性が優れていること
b.溶接性など良好な加工性を有すること
c.脆性破壊に対する十分な靱性を有していること
d.中性子照射脆化が小さく、かつその照射特性が良く知られていること
 原子炉容器内面の一次冷却水と接触する部分は、耐食性の優れたステンレス鋼により肉盛りされている。
4.照射脆化の監視
 フェライト系の部材は原子炉運転中における高速中性子の照射により、材料の靭性が低下することが知られている。原子炉運転中の末期における高速中性子(1MeV以上)が1017n/cm2を超える原子炉容器については、カプセルに収容した材料試験片を原子炉容器内の炉心周辺に挿入し、計画的に取り出して材料試験を実施して材料脆化の程度を把握し、原子炉容器が脆性破壊することがないように、照射脆化を監視している。
<図/表>
表1 PWR原子炉容器の設備仕様
図1 PWRの一次冷却系主要設備の配置
図2 PWR原子炉容器構造説明図
図3 PWR原子炉容器内構造説明図

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<関連タイトル>
原子炉機器(PWR)の原理と構造 (02-04-01-02)
PWRの原子炉冷却系統 (02-04-03-02)

<参考文献>
(1)原子力安全研究協会実務テキスト編集委員会(編):軽水炉発電所のあらまし(改訂3版)、原子力安全研究協会(平成20年9月)
(2)火力原子力発電技術協会(編):原子力発電所−全体計画と設備−(改定版)、火力原子力発電技術協会(平成14年6月)
(3)原子力安全研究協会実務テキスト編集委員会(編):軽水炉発電所のあらまし(改訂版)、原子力安全研究協会(平成4年10月)
(4)九州電力(株):玄海原子力発電所原子炉設置許可申請書(3,4号炉増設)、昭和63年12月、p8−4−25
(5)三菱重工(株):一次冷却材設備、http://www.mhi.co.jp/products/detail/reactor_coolant_system.html
(6)日本原子力発電(株)敦賀原子力発電所原子炉設置許可申請書、昭和55年8月
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