<大項目> 原子力発電
<中項目> 軽水炉(BWR型)原子力発電所
<小項目> 安全保護設備
<タイトル>
BWRの工学的安全施設作動設備 (02-03-07-02)

<概要>
 原子炉施設には、原子炉の安全性を損なうおそれのある異常な過渡変化および原子炉冷却材喪失事故などが生じたとき、あるいはこのような事態が予想される場合は、これを防止し抑制するため、「原子炉保護設備」および「工学的安全施設作動設備」を備えている。原子炉保護設備は燃料や原子炉冷却材系機器の健全性を損うおそれがある場合に、これを検知し、原子炉スクラム信号を発して原子炉を緊急停止する設備である。工学的安全施設作動設備は、万一の原子炉冷却材喪失事故に備えて、原子炉系、タービン系および原子炉格納系から異常発生の信号を受けて、工学的安全施設(炉心を冷却する非常用炉心冷却設備、核分裂生成物を閉じ込める原子炉格納施設)を自動起動させる設備である。これらの作動設備は信頼性を高めるため多重性を有する回路を採用している。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故の発生により、全電源の喪失が長時間続いた場合には工学的安全施設が作動せず、原子炉冷却機能がほとんど失われ、炉心溶融に至ることが示された。この事故の技術的知見については原子力安全・保安院が2012年3月に報告しているが、2012年9月19日に発足した原子力規制委員会の下で、原子力規制庁がさらに詳細な技術的検証と対策のとりまとめを行う予定なので、その結果を踏まえて本データの内容の改訂、追加を行う。
<更新年月>
2010年01月   

<本文>
 原子炉施設には、原子炉の安全性を損なうおそれのある異常な過渡変化および原子炉冷却材喪失事故などが生じたとき、あるいはこのような事態が予想される場合、これを防止し抑制するため「原子炉保護設備」および「工学的安全施設作動設備」が備えられている。
 原子炉冷却材喪失事故(LOCA)に代表されるような配管破断事故では、原子炉内の燃料に破損が生じて多量の核分裂生成物(放射性物質)の放散の可能性がある。このような事故を抑制または防止するための施設として、炉心に緊急に冷却水を注入する非常用炉心冷却設備(ECCS)や放出された核分裂生成物を閉じ込める原子炉格納施設からなる工学的安全施設が設けられている。
 工学的安全施設作動設備はこれら工学的安全施設を自動起動させる設備である。原子炉冷却材喪失事故に代表されるような配管破断事故が発生した場合、原子炉は自動的に緊急停止し燃料からの核分裂による熱発生はなくなるが、燃料には崩壊熱が残っており、冷却水の注入がない場合には、燃料の温度は上昇し燃料被覆材に破損を生じさせ、燃料から放出した核分裂生成物が原子力発電所の外部へ放散されるおそれが生じる。このようなときには工学的安全施設作動設備は、原子炉系、タービン系および原子炉格納系から異常の発生を示す信号を受けて、主蒸気隔離弁の閉鎖や工学的安全施設の各設備の自動起動信号を発する(図1および図2を参照 )。これらの作動設備は、信頼性を高めるため、単一の故障があっても機能する様多重性を有する回路を採用している。
<図/表>
図1 工学的安全施設作動設備信号説明図(その1)
図2 工学的安全施設作動設備信号説明図(その2)

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<関連タイトル>
原子炉機器(BWR)の原理と構造 (02-03-01-02)
BWR原子炉容器 (02-03-03-01)
BWRの原子炉冷却系統 (02-03-03-02)
BWRの工学的安全施設 (02-03-04-01)
BWRの原子炉格納容器 (02-03-04-02)
原子力発電プラント(BWR)の制御 (02-03-06-01)
BWRの原子炉保護設備 (02-03-07-01)

<参考文献>
(1)原子力安全研究協会(編):軽水炉発電所のあらまし(改訂第3版)、原子力安全研究協会(平成20年9月)
(2)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電(平成2年6月)
(3)東京電力:福島第二原子力発電所原子炉設置許可申請書、昭和53年12月
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