<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 地球環境問題
<小項目> 地球温暖化問題と対策
<タイトル>
京都議定書目標達成計画 (01-08-05-17)

<概要>
 2004年11月4日、プーチン大統領が京都議定書批准法案に署名し、国連に11月18日批准書を寄託したため、2005年2月16日に京都議定書は発効した。このため、既に公布されている「地球温暖化対策の推進に関する法律(温暖化対策法)の一部を改正する法律」が施行され、「地球温暖化対策推進大綱」は、「京都議定書目標達成計画」に移行することになり、大綱の評価・見直しは計画の策定となった。ここでは2005年4月27日閣議決定された「京都議定書目標達成計画」について、その概要を述べる。
<更新年月>
2005年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
まえがき
 2004年11月4日、プーチン大統領が京都議定書批准法案に署名し、国連に11月18日批准書を寄託したため、2005年2月16日に京都議定書は発効した。このため、既に公布されている「地球温暖化対策の推進に関する法律(温暖化対策法)の一部を改正する法律」が施行され、「地球温暖化対策推進大綱」は、「京都議定書目標達成計画」に移行することになり、大綱の評価・見直しは計画の策定となった。
1.地球温暖化対策の推進に関する基本的方向
1.1. わが国の地球温暖化対策の目指す方向
(1)京都議定書の6%削減約束の確実な達成
 わが国は、温室効果ガスの総排出量を2008年から2012年の第1約束期間に基準年から6%削減することを内容とする京都議定書の約束達成のため、現段階で導入可能な対策・施策を直ちに実施することにより、確実な削減を図る。
(2)地球規模での温室効果ガスの更なる長期的・継続的な排出削減
 6%削減約束の達成のための対策・施策を、更なる長期的・継続的な排出削減への中長期的な取組の中に位置付け、温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築を目指す。また、地球温暖化対策の国際的連携の確保を進める。
1.2. 地球温暖化対策の基本的考え方
 温室効果ガスの排出は経済活動と国民生活に密接に関連していることから、(1)「環境と経済の両立」という基本的考え方に立って、地球温暖化対策を大胆に実行する。世界をリードする環境立国を目指し、(2)「技術革新の促進」を図るとともに、(3)「国、地方公共団体、事業者、国民の参加と連携を図り、そのための透明性の確保、情報の共有」を図る。(4)「多様な政策手段を活用」して対策の推進を図るとともに、対策の(5)「定量的な評価・見直し」を行うことにより、6%削減約束の達成を確実なものとする。また、(6)「地球温暖化対策の国際的連携を確保」する。
2.温室効果ガスの排出抑制・吸収の量に関する目標
2.1. 現状対策を踏まえた排出見通しと6%削減約束
 わが国の温室効果ガス全体の基準年排出量(以下「基準年総排出量」という)は12億3,700万t−CO2であり、6%削減約束を達成するためには、第1約束期間における年平均総排出量を年間11億6,300万t−CO2に削減することが必要である。
 一方、2002年度のわが国の温室効果ガスの総排出量は13億3,100万t−CO2、基準年比で7.6%の増加となっており、削減約束との差は13.6%と広がっている。これは、非エネルギー起源二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等3ガスについては削減が進んでいるものの、わが国の温室効果ガスの排出量の9割程度を占めるエネルギー起源二酸化炭素の排出量が大幅に増大した(2002年度で基準年総排出量比10.2%増加)ことによるものである。エネルギー起源二酸化炭素の排出量が増えた背景としては、同年後半の原子力発電の停止といった特殊な要因や、中国の景気拡大、産業構造の転換、オフィスビル等床面積の増大、パソコンや家電等の保有台数の増加等を背景としたオフィスや家庭におけるエネルギー消費量の増大、旅客需要の増大等を背景に、二酸化炭素排出量の約4割を占める産業部門、約1割を占める運輸(貨物自動車及び公共交通機関等)部門からの排出量がほぼ横ばいにとどまっている一方、約2割を占める業務その他部門、約1割を占める家庭部門、約1割を占める運輸(自家用乗用車)部門からの排出量は大幅に増大したことが挙げられる。2002年度の二酸化炭素の排出量の部門別内訳を図1に示す。
 地球温暖化対策推進大綱に基づくこれまでの様々な対策を引き続き現状通り実施するとした場合、2010年度の温室効果ガスの総排出量の見通し(以下「現状対策ケース」という)は、約13億1,100万t−CO2となり、基準年比で約6%の増加となると見込まれる。(温室効果ガス別排出量及びエネルギー起源二酸化炭素の部門別排出量の見通しは表1参照)
(1)温室効果ガスと温室効果ガス排出の構図
 京都議定書では、排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の対象となる温室効果ガスを二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六ふっ化硫黄(SF6)としている。
・ 温室効果ガスの排出の増減は、イ.エネルギー利用原単位/代替フロン等の排出面における原単位、ロ.エネルギー供給CO2原単位、ハ.活動量、の各要素の増減から構成される。これらの定義を表2に、温室効果ガス排出の構図を図2に示す。
2.2. 温室効果ガスの排出抑制の目標
 本計画においては、温室効果ガス別に以下のとおり第1約束期間における排出抑制に関する目標を設定する。
(1)エネルギー起源二酸化炭素
 エネルギー起源二酸化炭素については、1990年度の水準から基準年総排出量比で+0.6%の水準(約10億5,600万t−CO2)を目標とする。なお、わが国の温室効果ガス排出量の9割を占めるエネルギー起源二酸化炭素については、統計上、産業部門、業務その他部門、家庭部門、運輸部門及びエネルギー転換部門の5部門に分けられ、対策・施策の効果もこの部門ごとに見ることができる。各部門の目標は表3のとおりである。この目標は、わが国が現在想定している経済成長を遂げつつ、エネルギーの供給側における対策が所期の効果を上げ、かつ、エネルギー需要側の各部門における対策が所期の効果を上げた場合に達成されるという試算の目安として設定する。
*各部門の試算・設定された目安としての目標は、今後、対策・施策を講じなければ、経済成長その他の要因を通じて排出量が増加していくことが見込まれる中、対策・施策により2002年度実績から産業部門33百万t−CO2、業務その他部門31百t−CO2、家庭部門29百万t−CO2、運輸部門11百万t−CO2、エネルギー転換部門13百万t−CO2の削減が図られることにより実現される(表3参照)。
(2)非エネルギー起源二酸化炭素
 非エネルギー起源二酸化炭素については、1990年度の水準から基準年総排出量比で▲0.3%の水準(約7,000万t−CO2)を目標とする。
(3)メタン
 メタンについては、1990年度の水準から基準年総排出量比で▲0.4%の水準(約2,000万t−CO2)を目標とする。
(4)一酸化二窒素
 一酸化二窒素については、1990年度の水準から基準年総排出量比で▲0.5%の水準(約3,400万t−CO2)を目標とする。
(5)代替フロン等3ガス
 代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)については、基準年(1995年)の水準から基準年総排出量比で+0.1%の水準(約5,100万t−CO2)を目標とする。なお、これら代替フロン等3ガスについては業種によりガス間の互換性のある使用形態があり、対策・施策は3ガス全体に渡り実施される場合があることから、技術・市場状況等に応じて社会的コストを最小にしつつ最大の効果が得られるよう対策・施策を組み合わせることが適切である。このため、ガス別に示した数値は、現時点における技術・市場状況等を前提とした上で、代替フロン等3ガス全体での「+0.1%」という目標をより着実に達成するための内訳としての目安として示されたものであり、今後、状況の変化に応じ変動が生じうることに留意する必要がある。
(6) 温室効果ガス吸収源の目標
 京都議定書第3条3及び4の対象森林全体で、わが国の森林経営による吸収量として気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)で合意された1,300万t−C(4,767万t−CO2、基準年総排出量比約3.9%)程度の吸収量の確保を目標とする。
2.3. 個々の対策に係る目標
 具体的裏付けのある対策の全体像を示すため、本計画においては、温室効果ガス別その他の区分ごとの目標及びエネルギー起源二酸化炭素の部門別の目安目標を達成するための個々の対策について、わが国全体における対策評価指標、排出削減見込量、対策を推進するための国の施策、地方公共団体が実施することが期待される施策例及びその効果を規定して、各分野・区分ごとに24ページに及ぶ表で示されている(例を表4に示す)。
3.目標達成のための対策と施策
3.1. 国、地方公共団体、事業者及び国民の基本的役割
 国は地球温暖化対策を総合的に推進するとともに自ら率先して取組を実施する役割を担う。地方公共団体、事業者、国民も、それぞれの立場に応じた役割を担うことが求められる。地球温暖化対策の推進に関し、国は基本的役割を担い、地方公共団体、事業者及び国民には各々の役割を果たすことが求められる。各主体が各々の役割を認識した上で相互に密接に連携して対策を推進することにより、各主体の取組単独による効果を超えた相乗的な効果を発揮することが期待される。
3.2. 温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対策・施策
(1) エネルギー起源二酸化炭素については、「点から面へ」、「主体間の垣根を越える」、「需要対策に重点を置いた需給両面からのアプローチ」、「原単位の改善に重点を置いたアプローチ」、「排出量の増大要因に対応した効果的な取組」の5つの基本的考え方に基づき各種対策・施策を実施する。対策の全体像を表5に示す。
(2) 横断的施策としては、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度、事業活動における環境への配慮の促進、国民運動の展開、公的機関の率先的取組の基本的事項、サマータイムの導入、ポリシーミックスの活用、経済的手法、環境税、国内排出量取引制度等の導入等がある。
4.地球温暖化対策の持続的推進
 本計画の実効性を確保し、京都議定書の6%削減約束を確実に達成していくためには、温室効果ガス別その他の区分ごとの目標の達成状況、個別の対策・施策の進捗状況について、各種データの整備・収集を図りつつ、適正に透明性をもって事後評価し、柔軟に対策・施策の見直し又は追加を行うことが不可欠である。国民の努力と技術開発についても、適切に評価し、フォローアップする必要がある。市町村は、その地域の事業者や住民との地域における最も身近な公的セクターとして、地球温暖化対策地域協議会と協力・協働し、地域の自然的社会的条件を分析し、主として、地域住民への教育・普及啓発、民間団体の活動の支援、地域資源をいかした新エネルギー等の導入のための調査・導入事業といった、地域に密着した、地域の特性に応じて最も効果的な施策を、国や都道府県、地域の事業者等と連携して進めることが期待される。
 各主体が継続的に対策・施策を進め、脱温暖化社会を実現するために、体系的な推進体制を整備することが重要である。政府においては、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚をメンバーとする「地球温暖化対策推進本部」、各省の局長級の会議である「地球温暖化対策推進本部幹事会」を中心に、課題に応じて柔軟にワーキンググループを設置し、関係府省が緊密に連携して取り組むこととする。都市における対策に関しては、「地球温暖化対策推進本部」と「都市再生本部」との連携を図ることとし、都市再生プロジェクトの決定を踏まえ、関係府省のワーキンググループにおいて、都市再生事業を通じた地球温暖化対策を連携して推進する。地域においては、関係府省が協力して地球温暖化対策の地域における取組を支援するため、地方公共団体等と連携しつつ、「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を各地域ブロックごとに設置する。地域エネルギー・温暖化対策推進会議の構成員は、国の地方支分部局、都道府県を中心とする域内の地方公共団体に加え、エネルギー関係者、経済団体、消費者、都道府県地球温暖化防止活動推進センター、NGOなどを念頭に置いて、地域ごとに適正規模で構成する。また、地球温暖化対策地域協議会、地域バイオマス協議会などとも連携する。
<図/表>
表1 2010年度の温室効果ガス排出量の推計
表2 温室効果ガスの排出増減の要素
表3 エネルギー起源二酸化炭素の各部門の目安としての目標
表4 対策・施策の一覧の例
表5 エネルギー起源二酸化炭素に関する対策の全体像
図1 わが国の部門別の二酸化炭素排出量(2002年度)
図2 温室効果ガス排出の構図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
地球の温暖化問題 (01-08-05-01)
地球温暖化防止京都会議(1997年のCOP3) (01-08-05-15)
地球温暖化防止対策のためのエネルギー・環境関連税 (01-08-05-33)

<参考文献>
(1)経済産業省 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会:「今後の地球温暖化対策について 京都議定書目標達成計画の策定に向けたとりまとめ」について,平成17年3月16日:
(2)環境省地球環境局地球温暖化対策課、京都議定書目標達成計画(閣議決定) 、平成17年4月28日、http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/index.html、本文、http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kakugi/050428keikaku.pdf
、別表http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kakugi/050428keikaku_betu.pdf
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