<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 省エネルギー
<小項目> 省エネ・リサイクル支援法
<タイトル>
日本の民生部門における省エネルギー対策 (01-06-03-03)

<概要>
 日本の民生部門のエネルギー消費は家庭用、業務用共に堅調な伸びをみせており、特に電気とガスが増加傾向にある。民生部門の省エネルギー対策としては、建築物の省エネルギー化、機器のエネルギー消費効率の向上、地域に於ける未利用エネルギーの活用を含むエネルギー有効利用の促進を図ると同時に、技術開発が進められている。現行対策(1998年度)を的確に実行することによって1800万klの省エネルギーが実現する。しかし、CO2削減の目標達成のためには、さらに、新規の対策が必要で民生部門では460万klの削減を目標としている。
<更新年月>
2004年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.民生部門のエネルギー消費
 民生部門は、自家用乗用車等を除く家計消費部門におけるエネルギー消費(冷暖房用、給湯用、厨房用、動力・照明用等)を対象とする家庭部門と、企業の管埋部門等ビル・事務所、ホテル、百貨店等第3次産業(運輸関係事業、エネルギー転換事業を除く)等におけるエネルギー消費(内容は家庭部門同様)を対象とする業務部門に大別される。2002年度の民生部門エネルギー消費は4616PJ、対前年度比2%増となっており、最終エネルギー消費の約28.8%を占める。内訳は、家庭部門13.3%(対前年度比3.5%増)、業務部門15.5%(対増前年度比0.8%増)となっている(表1)。
1.1 家庭部門
 家庭部門のエネルギー消費は、世帯数の増加や高齢者比率の上昇等の杜会状況との相関が高く、また生活の利便性、快適性、豊かさを追求する国民のライフスタイルの変化等によりこれまでほぼ一貫して増加してきている。特にその伸び率は景気変動の影響をあまり受けないため、産業部門のエネルギー消費の伸び率との間に大きな乖離が認められる。用途別構成を見ると、近年においては家電製品の普及や大型化・多機能化により、動力・照明用の需要の増加が顕著である。また暖房用需要が増加し、給湯・厨房用需要が減少傾向で推移している。一方、気候の変化が冷暖房用を中心にその消費に大きく影響することが特徴として挙げられる。冷房用は1.9%(2001年度)と構成比としては小さいが、夏季の短期間に需要が集中するため、ピーク時の電力不足の問題を引き起こす原因となっている。なお、これは業務部門においても同様のことがいえる。2001年度は、世帯数の増加、世帯当たり家電製品等の普及率の増加の一方、気温動向が前年度と比べて冷夏暖冬であったため、暖房用需要を中心に大きく減少、年度末のエネルギー消費は対前年度比マイナス2.7%、2056PJとなった。エネルギー源別の構成比をみると、電力(43.6%)が大きく、以下ガス(30.1%)、石油製品(24.8%)となっている(図1)。
1.2 業務部門
 業務部門のエネルギー消費は経済活動との相関関係の高さが指摘されているが、1965年度から1973年度までは年率15.0%の伸び率、石油危機以降の1973年度から1985年度までは、消費原単位の改善等により年率1.3%増と低い伸び率で推移している。以降は、延床面積の増加、オフィスの情報化・OA化の進展や空調設備需要の高まり等を背景に顕著に増加している。またエネルギー源としては電力が顕著な伸びを示している。用途別構成をみると給湯用、動力・照明用、暖房用で8割以上を占めているが、近年の傾向としては給湯用のシェアが小さくなり、動力・照明用がシェアを伸ばしつつある。また、冷房用の比率が家庭部門に比べ大きい特徴がある。2001年度は、建築物着工床面積(非居住用)のうち、商業用は昨年度に引き続き減少したが、石油製品の増加に伴い対前年度比1.9%増の2468PJとなった。エネルギー源別の構成比をみると電力(47.5%)と石油製品(29.6%)が人きく、以下ガス(19.4%)、その他(3.5%)となっている(図1)。
 世帯当たり用途別エネルギー消費及び業務用床面積当たり用途別エネルギー消費の推移を図2および図3に示す。
2.民生部門の省エネルギー対策
 この部門においては、個々の主体を規制することは必ずしも適切ではなく、また、十分な対応を行うことが困難であるとの考えに基づき、使用する機器や、住宅・建築物に着目した対策を講じてきた。すなわち、トップランナー方式の考え方を導入することにより、家電・OA機器等の機器単体のエネルギー消費効率の向上を図ると共に、住宅・建築物の断熱化推進等による省エネルギー性能の向上を図っている。さらに、一層効率の高い機器・システムの導入に向けた技術開発の推進等を行っている。
2.1 機器の効率改善
 1998年度に改正された省エネルギー法に基づき、トップランナー方式による家電・OA機器等個々の機器の省エネルギー基準を策定した。今後、従来の特定機器については、基準に基づき、例えば、家電・OA機器等のエネルギー消費効率については14%〜83%程度の向上を目指す。また、2002年12月には追加対策として、ガス・石油機器等、従来対象になっていなかった7機器をトップランナー対象機器に追加した。
2.2 住宅・建築物の省エネルギー性能の向上等
 2002年6月改正された省エネルギー法において、特定建築物(24平方m以上の住宅以外の建築物)の建築主に省エネルギー措置の届出を義務付けるとともに国土交通大臣から所管行政庁(建築基準法に基づく建築主事を置く市長村長等)に建築物に係る指導及び助言等に関する権限を委譲することとした。それに伴い、建築物に係る省エネルギー基準を改正(省エネルギー性能を定量的に算定する際の判断基準の整備及び仕様基準の整備)し、2003年3月に告示した。
 これら住宅・建築物に係るエネルギー管理の強化とともに、省エネルギーに配慮した住宅の誘導措置における基準の強化を実施するほか、高い省エネルギー性能が認められる高効率給湯器等の機器及びBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の普及促進のための補助制度等の支援措置、及びESCO(Energy Service Company)ビジネスの普及促進のための補助制度等の支援措置及び低利融資制度を実施している。
(注)・BEMSとは、IT技術の活用により、業務用ビルのエネルギー・需要のマネジメントを支援するシステム。
・HEMSとは、IT技術の活用により、家庭内の電気機器等のエネルギー需要のマネジメントを支援するシステム。
ESCOとは、設備の設置者に代わって設備の省エネ診断、省エネ設備の導入、運転管理等を行い、それによって低減できるエネルギーコストをもって資金を回収するビジネス。
2.3 国民のライフスタイルの抜本的変革等
(1)情撮提供手段としての省エネラベリング制度の導入
 消費者に対し、商品選択の際、省エネルギー性に関し、分かりやすい情報提供を行うために、家電製品・ガス・石油機器等で統一的な省エネラベリング制度を、2000年夏(8月21日)に導人した
(2)スマートライフ分科会をとした国民連動の盛り上げ
 省エネルギー型のライフスタイル(スマートライフ)について、国民の意識を喚起するために、1998年5月より、スマートライフ分科会を開催。これまで、「衣」(1998年12月)、「食」(1999年7月)、「住」(1999年12月)、「教育」(2000年5月、7月)をテーマに開催。
(3)省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議の決定に基づく広報
 内閤府は、関係各省庁との連携の下、国民の省エネルギー意識の定着と省エネルギーの実践を促すことを目的として、毎年6月と11月に省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議を開惟し、政府が率先して行うべき省エネルギー対策等を含む「夏季、冬季の省エネルギーについて」を決定している。この決定に基づき、広報等を通じて国民各層に対する省エネルギーの情報提供を行っている。
(4)情報提供の推進
 民生用機器の各製品のエネルギー消費効率、上手な使い方等について冊子「省エネルギー性能カタログ」を作成し、量販店等を通じて配布するとともに、インターネットを通じて情報提供等を1997年冬より行っており、毎年、夏・冬版を作成している。
 また、OA機器の待機時消費電力(待機電力)の抑制を目的とし、「国際エネルギースタープログラム」を実施している。
 さらに、国民各層に対する省エネルギーと地球環境保全の意識の高揚並びに省エネルギー、新エネルギーの技術、機器、システム等の普及促進を目的として、「地球環境とエネルギーの調和展」であるENEX展を開催。2002年1月の開催では全国2会場で計約6万人が訪れている。
3.民生部門の省エネルギー対策効果:1860万kl
・現行対策の効果:1400万kl
 トップランナー規制による機器効率の改善:540万kl
 住宅・建築物の省エネ性能の向上:860万kl
・ 新規対策の効果:460万kl
 トップランナー機器の拡大:120万kl
 高効率機器の加速的普及:50万kl
 待機時消費電力の削減:40万kl
 家庭用ホームエネルギーマネジメントシステムの普及:90万kl
 業務用ビルエネルギーマネジメントシステムの普及:160万kl
(注)うちESCOによる効果:100万kl
<図/表>
表1 部門別最終エネルギー消費の推移
図1 民生部門(家庭・業務)エネルギー消費量の推移
図2 世帯当たり用途別エネルギー消費量の推移
図3 業務用床面積当たり用途別エネルギー消費の推移

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
省エネルギーの必要性 (01-06-01-02)
日本の省エネルギーと社会制度 (01-06-02-02)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月21日)、p.52-90
(2)資源エネルギー庁:インフォーメーション、統計情報、需給関連、2002(平成14)年度エネルギー需給実績(確報)、本文(PDFファイル),
(3)資源エネルギー庁:施策情報、目指すべきエネルギー需給像に向けた対策、長期エネルギー需給見通し概要
(4)資源エネルギー庁省エネルギー対策課(監修):省エネルギー便覧 2003年版、(財)省エネルギーセンター(2003年12月)、p.70-110
(5)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004 資源エネルギー年鑑(2003年1月)、p.23-29、p250-258
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