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<概要>
 電源構成の基本的な方向としては、ベース供給力には原子力、石炭火力、流込式水力および地熱を、ピーク供給力には石油火力、LPG火力、調整池式・貯水池式水力および揚水式水力を、ミドル供給力には石油火力およびLNG火力をそれぞれ充てている。
 電源構成の構築に当たっては、供給安定性、経済性、環境特性、各電源の運転特性等を踏まえた最適な構成(ベストミックス)にしていくことが必要である。
 平成14年(2002年)度の総発電設備容量は26,613万kWで、その電源構成は、水力4,655万kW、火力17,289万kW、原子力4,591万kW、同じく総発電電力量は10,972億kWhで、その電源構成は、水力918億kWh、火力7,065億kWh、原子力2,951億kWhとなっている。
<更新年月>
2004年06月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.3つのタイプの供給力
 電力は1日の中で時間によりその需要量が大きく変化しているため(図1)、この変動に対応できるように供給する必要がある。ここにベストミックスを図る所以がある。需要変化に対応した発電の組合せを図2に示す。
 そのため電源は大別して、
(1)ベース供給力:常にほぼ一定の出力で運転を行う
(2)ピーク供給力:電力需要の変動に対応して稼働し、主としてピーク時に必要な供給を行う
(3)ミドル供給力:両者の中間の役割をもつ
の3つのタイプに分類される。
 ベース供給力を担う電源設備には利用率が高くなるので、長期的な経済性及び燃料調達の安定性の両面において優れた電源を、ピーク供給力を担う電源設備には年間の利用率が低く負荷追従性が要求されるため、資本費が安く、負荷追従性に優れた電源を、ミドル供給力は両者の中間的な特性を有する電源をそれぞれ充てて、効率的運用が行われている。
 上記の特徴を考慮し、電源構成の基本的な方向としては、ベース供給力には原子力、石炭火力、流込式水力及び地熱を、ピーク供給力には石油火力、LPG火力、調整池式・貯水池式水力及び揚水式水力を、ミドル供給力には石油火力及びLNG火力をそれぞれ充てている。
 表1および表2に発電設備構成の推移と発電電力量の推移(実績)を示す。
 平成14年(2002年)度の総発電設備容量は26,613万kWで、その電源構成は、水力4,655万kW、火力17,289万kW、原子力4,591万kW、同じく総発電電力量は10,972億kWhで、その電源構成は、水力918億kWh、火力7,065億kWh、原子力2,951億kWhとなっている。
2.各種電源の特徴と位置付け
(1)水力
 一般水力発電は、流れ込み式と貯水池があるが、いずれも、CO2等の環境負荷の観点から優れたクリーンなエネルギーであり、また純国産エネルギーとして極めて高い安定供給性に優れ、初期発電コストは割高となるものの、長期的な経済性に優れている。流れ込み式(自流式)は流量変動に伴う出力の変化が大きく負荷の変動に対応できず、ベース供給力を担う電源として位置付けられている。貯水池(調整池)式は一日または週間の負荷の変動に応じて水量の調整を行うものである。
 揚水式発電所には、純揚水式と混合揚水式がある。純揚水式は、深夜等の余剰電力を利用して、下部貯水池の水を上部貯水池に上げ、ピーク時に発電する方式で大出力を容易に得られ、ピーク用電源として優れている。混合揚水式は、貯水池を持つ一般水力と純揚水式を組み合わせたもので、火力発電所の事故時などに、揚水しないで長時間連続運転でき、予備電源として優れたものである。一般水力は純国産エネルギーの要請に応えるもので、その役割は重要である。
(2)火力
 石炭火力については、燃料供給の安定性、経済性に優れていることを踏まえ、安定供給、供給コスト低減の観点からベース・ミドル供給力を担うものと期待されている。また、CO2排出の抑制を図るため、超々臨界圧発電等のより高効率な発電方式等の導入に努めるとともに、電源構成に占める割合を適正な水準になるよう努めることが必要である。
 LNG火力については、環境特性に優れ、出力調整機能を有していること、さらには、近年の技術進歩の結果、改良型ガス複合発電(ACC)においては熱効率が大幅に向上し燃料コストが低減していることを踏まえ、ピーク供給力からべース供給力までのすべての範囲に対応する電源として位置づけられ、その開発が推進されている。材料開発等さらなる技術開発の推進により、より高効率なものの開発・導入に向けた取り組みを進めることが重要である。
 石油火力については、燃料調達の柔軟性および負荷追従能力等の運転特性を踏まえ、基本的にはピーク供給力として位置づけられるものであるが、老朽化に対応した設備のリプレースに際しては、より高効率な設備への集約化が進められている。さらに、経済性等の観点で他の選択肢が極めて困難な場合に限り、引き続き石油依存度の低減を図りつつ、IEAルール(IEA閣僚理事会コミュニケにおける合意)を遵守する範囲内で、新規の電源開発の検討も行うことが必要である。
(3)原子力
 原子力発電は、供給対策面において燃料の供給および価格の安定性に優れ、地球温暖化の原因となるCO2等の温室効果ガスを発電過程において全く排出しない電力供給源であり、CO2等の環境負荷が少ないという環境特性を有している。これらのことから、わが国が、「経済成長」と「エネルギー・セキュリティ」を確保しつつ「環境保全」を図るために、必要不可欠なエネルギー供給源として位置付けられ、安全確保に万全を期しつつ、ベース供給力の中核的電源として、今後とも着実に開発を推進することが重要とされている。
3.電源構成のベストミックスの構築
 今後の電源構成の構築に当たっては、電源多様化の観点から、供給安定性、経済性、環境特性、各電源の運転特性等を踏まえた最適な構成(ベストミックス)としていくことが必要である(図2参照)。
 燃料供給の安定性では原子力、石炭火力や純国産エネルギーである水力・地熱が優れ、LNGも長期契約による供給安定性が高く、石油は燃料調達の柔軟性に優れる。経済性では、固定費集約型電源である原子力、石炭火力が供給コストの長期的な安定性に優れるとともに、高稼働率下で優れた経済性を示す。一方、変動費集約型電源であるLNG火力、石油火力は燃料価格の動向は不透明であるが、低位安定に推移すれば優れた経済性を示すとともに、ミドル・ピーク需要に対応した低稼働率下では、固定費集約型電源に比べ優れた経済性を示す。環境面では、原子力、水力、地熱等の非化石電源は地球温暖化防止の観点では優れ、化石燃料ではLNG、石油、石炭の順に、環境負荷が大きくなる。
 このため、原子力、一般水力、地熱等がベース供給力として位置づけられており、次いで石炭火力がこれらに準ずるものとして、またミドル及びピーク供給力には、石炭火力、LNG火力、石油火力、揚水発電等と、各電源特性を踏まえ位置づけられている。
 平成15年度(2003年度)電力供給計画による「発電設備構成の推移」を図3に、同計画による「発電電力量の推移」を図4に示す。図3および図4で、平成13年度末は実績値、平成14年度末は推定値である。
<図/表>
表1 発電設備構成の推移
表1  発電設備構成の推移
表2 発電電力量の推移
表2  発電電力量の推移
図1 真夏の1日の電力需要
図1  真夏の1日の電力需要
図2 1日の需要変化に対応した発電の組み合わせ(ベストミックス)
図2  1日の需要変化に対応した発電の組み合わせ(ベストミックス)
図3 発電設備構成の推移(一般電気事業用)
図3  発電設備構成の推移(一般電気事業用)
図4 発電電力量の推移(一般電気事業用)
図4  発電電力量の推移(一般電気事業用)

<関連タイトル>
原子力発電および他の電源の発電原価試算(1999年・資源エネルギー庁) (01-04-01-11)
平成13年度電力供給計画 (01-09-05-17)
電力需要の平準化対策 (01-09-05-08)
総合資源エネルギー調査会 (10-04-06-02)
電気事業法(原子力安全規制関係)(平成24年改正前まで) (10-07-01-08)

<参考文献>
(1)日本原子力文化振興財団:「原子力・エネルギー」図面集 2003-2004(2003年12月)、p.32-33
(2)東京電力:見たい知りたい!電気とエネルギー、環境エネルギー学習、どうして発電の方式を組み合わせるんだろう
(3)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004 資源エネルギー年鑑、通産資料調査会(2003年1月)、p.514-530
(4)日本エネルギー経済研究所エネルギー計量分析センター(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2004年版)、省エネルギーセンター(2004年2月13日)、p.176-179
(5)経済産業省資源エネルギー庁:平成15年度電力供給計画の概要(2003年3月)
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