<大項目> 原子力資料集(年表など)
<中項目> 原子力年表
<小項目> 1950年代(1953年〜1959年)
<タイトル>
1958年(昭和33年) (17-01-02-06)

<概要>
 政府が、前年から交渉を進めていた日米、日英の両動力協定は、6月に調印された。前者の協定により研究、動力試験炉用に濃縮ウランの供与が約束され、後者の協定によりコールダホール改良型原子炉導入の前提条件が満たされた。動力協定に関連して原子力災害補償や核燃料国家管理の問題が生じ、10月に閣議で核燃料物資の暫定国有化が決まり、原子力委は、原子力災害補償の基本方針を決めた。前年に続きコールダホール型原子炉の安全性をめぐる論争が盛んで、このようななか、原電は耐震構造関係者を含む第2次調査団を英国に1月派遣した。衆院は安全性、経済性に関する公聴会を3月に開催した。通産省は、11月にコールダホール型原子炉審査委員会を設置した。海外では、2月に欧州原子力機関(ENEA)が、欧州経済協力機構(OEEC)に設置された。9月1日から開かれた第2回原子力平和利用国際会議では、米、英、ソ連の核融合研究の成果が注目された。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>

1.内外の原子力関係の出来事
     国   内               海   外
 1.11 原電、耐震構造関係者を含む策2次   1.1 ユーラトム(ヨーロッパ原子力共同体)
    調査団英国に派遣(3.12帰国)        条約発効
 1.16 原研(現日本原子力研究開発機構、    1.− 米インディアンポイントPWR発電所建
    以下同じ)ラジオアイソトープ研修      設開始(15万kW、重油過熱器付26万5000
    所開所.1.20第1回開講           kW)
 1.30 菊池正士東大核研究所長、原子力委      
    員に内定               2.1 ヨーロッパ原子力機関(ENEA)、ヨー
 2.18 正力原子力委員長、日英協定におけ      ロッパ経済協力機構(OEEC)内に設置
    る免責条項を認め、そのため核燃料
    は国家管理が適当と発言        2.4 米 AEC、前年の酸化ウラン生産量
                         (8640トン)を発表
 3.18 衆院、コールダホール炉導入の公聴
    会開催(学術会議素粒子論グループ
    は米英との原子力一般協定の尚早論
    に反対声明.原産はこれに対して反
    論)
 4.1 放射線障害防止法施行         4.12 米ORNL、核分裂生成物の新分離工場
 4.1 三菱原子力工業、三菱各社の共同出      完成(生産RIの一部値下げ)
    資により発足(社長関義長)      4.− 米LASL、原子炉の熱から直接発電に
 4.11 原子力委、核融合専門部会設置        成功
 4.14 原産、原子力船懇談会と原子力実験
    船の建造方針を検討.8.19日本原子
    力船研究協会発足(会長山県昌夫)
 5.14 原燃、人形峠で新ウラン鉱物発見    5.24 カナダ研究炉NRU、燃科交換中に燃料
 5.17 東海大学、教育訓練用原子炉(10W      体が発火、建屋内汚染
    )設置許可申請(原子炉安全審査専   5.26 米シッビングポートPWR原子力発電所
    門部会、安全性確保に懸念示す)       操業開始
 6.16 日米及び日英動力協定調印.12.5発   6.7 米サンタスサナBWR、出力急上昇試験
    効(社会党、動力協定に反対)        を行い安全性試験に成功
 6.26 原研、1959年度に核融合研究室の設   6.16 米オークリッジY−12再処理工場、高濃
    置決定.原子力委、核融合反応セン      縮ウラン溶液で臨界超過事故(8人被曝)
    ターの設立を検討.10.31学術会議
    、核融合反応研究の促進を勧告     6.17 英国防省、一部の商業用原子力発電所で
                          できるプルトニウムをいつでも核兵器用
                          に切替えられるように原子炉の設計変更
                          を要請
 7.31 英3原子グループ(EE、GEC、   7.21 仏、マルクール発電兼プルトニウム生産
    AEI)、原電にコールダホール改      炉G−2運転開始(4万kW、プルトニ
    良型発電炉の見積書提出           ウム年間50kg生産)
 7.− 住友グループ、核燃料の一貫生産(
    鉱石製錬から成型加工まで)の方針
    決定 8.− 大阪金属、六フッ化ウランの製造及   8.10 国連科学委、「放射能の影響に関する最
    び工業化の見通しつける           終報告書」を公表(フォールアウトによ
 8.− 原研、Co−60、1万 Ci 照射室完成(    る遺伝上の危険を警告)
    放射線化学研究の開始)
 9.4 原研、国産1号炉(JRR−3)建   9.1 第2回原子力平和利用国際会議(ジュネ
    設開始                   −ブ)開催.米、英、ソ連の核融合成果
 9.8 政府、日米原子力一般協定の改訂交      に注目(〜9.13)
    渉申し入れ(返還プルトニウム利用   9.9 ICRP、放射線許容量で新勧告.職業
    の明確化)10.9改訂議定書に調印       人週0.1R(年間5R)、一般人年間0.05R
                          、遺伝効果を考え30才までに13R、医療
 9.16 原研東海研究所で、切断加工時に天      以外の被曝線量を5R以下とする
    然ウラン粉末の発火事故
 10.10 富士電気、英GECと技術提携契約  10.10 米聖公会、立教大学への原子炉寄贈決定
 10.14 核燃料物質の暫定国有化を閣議決定
 10.16 原研、動力試験炉(JPDR)第1  10.15 ポリス・キドリック研究所(ユーゴ)、
     次仕様書を米3社GE(BWR)、     天然ウラン重水型臨界集合体で臨界超過
     WH(PWR)、アリス・チャルマ     事故(8名被曝.重傷者6名パリ・キュ
     ーズ(BWR)に提示           リー病院で骨髄移植.うち1名死亡)
 10.16 原研、CP−5(JRR−2)用燃
     料を米メタルズ・コントロール社に  10.21 米WH社、PWRほか重水圧力管方式、
     発注                    原子力過熱圧力管方式、有機物減速流動
 10.22 原子力委、原子力災害補償専門部会      層型、均質スラリー型などの多角的開発
     を設置.10.29原子炉設置者による      による経済的原子力発電達成の方針を発
     損害賠償能力の具備、責任保険の確      表
     立、災害補償制度の確立などの原子  10.29 米GE社、原子力市場開拓のために、電
     力災害補償の基本方針を決定         力会社訓練用原子炉として500kW級BWR
                          を400〜450ドルで売り出す開発方針と経
                          済性を目指したBWR発電炉5基を1962
                          年までに建設する方針を発表
                       10.− 英ウィンズケールで、改良型ガス冷却発
                          電炉AGRの建設開始(2万万8000kW)
 11.6 通産省、コールダホール型原子力発  11.8 原子力発電所建設開発に関する米、ユ−
     電所審査委員会の設置決定          ラトム協力協定の調印(技術開発分担の
 11.18 原産招持の英AEA理事J・コック      決定、米からの20年間の濃縮ウランの供
     クロフト卿、コールダホール炉の安      給と1億3500万ドルの長期クレジット供
     全性と燃焼率を保証             与の保証など取り決め)
 11.21 日立、原子力センターを日立中研に
     設置              
 12.11 嵯峨根原研副理事長、日本独自の設  12.9 英コールダホール第4号炉運転開始
    計による半均質型高温ガス冷却炉を
    「5年ないし15年計画で建設する」   12.26 米GE社、材料試験炉GETR臨界
    と発表                   (高濃縮U軽水タンク型2万kW)
                          
                       12.30 米LASL、再処理回収中廃液のプルト
 12.12 原産、原子力船建造計画案を各方面      ニウム臨界超過事故(3人被曝、うち
     に提出(原子力委は、基本計画を決      1人36時間後に死死亡)
     め、第一船は実験船とする)
 12.24 原子力委、小型教育訓練用原子炉の
     国産方針を決定、民間企業から公募
 12.24 原子力委、核燃料開発に対する基本
     方針を発表(当分は天然ウランに重
     点をおき、精鉱を輸入し、国が製錬
     、加工を行う)

2.社会一般の出来事
 1.31 米人工衛星第1号(エクスプローラ1号)打上げに成功
 2.27 科技庁(現文部科学省)、第1回「科学技術白書」発表、外国依存から自主発展へを強調
 3.9 関門トンネル開通
 5.− 三井石油化学、住友化学、ポリエチレンの量産開始
 6.30 東京大学生産技術研、国際地球観測年用カッパー2号機の打上げに成功
 7.5 アラピア石油(株)、クウェート国王と中立地帯沖合油田開発利権協定に調印(ペルシア湾
    海底油田開発体制完了)
 7.25 日本貿易振興会(JETRO)発足(理事長杉道助)
 7.26 米人工衛星エクスプロ−ラ4号打上げ(超高空核実験測定用)
 8.26 通産省(現経済産業省)、石炭不況対策として電力用炭の引取り促進と火力発電の重油
    規制を電力業界に申し入れ
 8.27 ソ連、ライカ犬2匹をのせたロケットの高空打上げと回収に成功
 10.1 米、航空宇宙局(NASA)設置
 10.21 (株)科学研究所、特殊法人理化学研究所へ改組
 10.23 ソ連、アラブ連合にアスワン・ハイダム建設の4億ルーブル借款供与
 11.1 東京神戸間に電車特急「こだま」号運転(東京−大阪6時間50分)
 11.23 東京電力、新東京火力発電所の送電開始(総出力48万2000kW)
 12.1 一万円札発行
 12.14 東京タワー(高さ333m)完工
 12.− 米テキサス・インスツルメント社、集積回路(IC)を開発

<関連タイトル>
原子力発電技術の開発経緯(PWR) (02-04-01-01)
日米原子力協定 (13-04-02-01)
日英原子力協定(1968年) (13-04-02-02)
アメリカの原子力発電開発 (14-04-01-02)
イギリスの原子力政策および計画 (14-05-01-01)
イギリスの原子力発電開発 (14-05-01-02)

<参考文献>
(1)森 一久編:原子力年表(1934-1985)、日本原子力産業会議(1986年11月18日)、丸ノ内出版(発売)、中央公論事業出版(制作)
(2)原子力委員会(企画)、原子力開発三十年史編集委員会編:原子力開発三十年史、日本原子力文化振興財団(昭和61年10月26日)
(3)原子力開発十年史編纂委員会編:原子力開発十年史、日本原子力産業会議(昭和40年10月26日)
(4)森 一久編:原子力は、いま(上巻)−日本の原子力平和利用30年−、日本原子力産業会議(1986年11月18日)、丸ノ内出版(発売)、中央公論事業出版(制作)
(5)科学技術庁原子力局(監修):原子力ポケットブック・1996年版、日本原子力産業会議(1996年4月26日)
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