<解説記事ダウンロード>PDFダウンロード

<概要>
 平成19年度(2007年度)のわが国の電気事業用の原子力発電所設備利用率及び時間稼働率は、営業運転中の全原子力発電所(55基)平均で、それぞれ60.7%、60.3%であった。
<更新年月>
2011年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 平成19年度(2007年度、2007年4月〜2008年3月)のわが国(日本)の原子力発電所の設備利用率は、営業運転中の全原子力発電所(55基、総発電設備容量4,946.7万kW)平均で60.7%(2006年度69.9%)、また、時間稼働率は、平均で60.3%(2006年度69.3%)であった。
 わが国の電気事業用の原子力発電所は、1966年に商業用原子力発電所(日本原子力発電(株)東海発電所(GCR:16.6万kW))が初めて運転を開始して以来、1975年前後に初期トラブルや応力腐食割れ(SCC:Stress−Corrosion Cracking)等のため、設備利用率は40〜50%程度と低迷したが、その後、設備の改善等を実施し、1983年度に70%を超えて以来、10年以上にわたり70%台の高い比率で推移し、1995年度以降は80%を超える水準にあった。
 しかしながら、2002年に明らかとなった原子力発電所の不正問題に起因する点検等のため、定期検査期間が長期化し、2002年度、2003年度の設備利用率は大幅に低下した。特に2003年度5月の月間設備利用率が43.7%と最低を記録した。その後、検査終了とともに設備利用率は徐々に回復し、2005年度には71.9%となり3年振りに70%台まで回復した。
 2007年度の設備利用率は総合で60.7%となり、前年度(69.9%)を下回った。これは、前年度と比べ、発電損失が増加したためである。
 炉型別にみると、BWRでは、49.7%となり、前年度(63.9%)を下回った。主な設備利用率低下の要因は、定期検査、トラブル、外部要因等による発電損失によるが、これには新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の停止が主たる要因と考えられる。
 また、PWRでも77.8%となり、前年度(79.2%)を下回った。PWRにおける設備利用率低下の要因は、定期検査停止期間の増加が主な要因である。
 2007年度におけるわが国の原子力発電所の設備利用率と時間稼働率を表1-1表1-2に示す。また、炉型別の設備利用率を表2に示す。
 設備利用率と時間稼働率の定義は次のとおりである。
(1)設備利用率=(発電電力量(MWh)/(認可出力(MW)×暦時間(h))×100(%)
(注)発電所の運転方式には、定格電気出力一定運転と定格熱出力一定運転があり、定格熱出力一定運転の設備利用率は100%を超える場合がある。
(2)時間稼働率
 ・発電所(ユニット)の時間稼働率
  時間稼働率=(発電時間(h)/暦時間(h))×100(%)
 ・発電所別、電力会社別、合計の時間稼働率(平均時間稼働率)
  平均時間稼働率とは出力按分をしたものである。
  平均時間稼働率=((認可出力(MW)×発電時間(h))の合計/(認可出力(MW)×暦時間(h))の合計)×100(%)
<図/表>
表1-1 2007年度わが国原子力発電所の設備利用率と時間稼働率(1/2)
表1-1  2007年度わが国原子力発電所の設備利用率と時間稼働率(1/2)
表1-2 2007年度わが国原子力発電所の設備利用率と時間稼働率(2/2)
表1-2  2007年度わが国原子力発電所の設備利用率と時間稼働率(2/2)
表2 2007年度わが国原子力発電所の炉型別設備利用率
表2  2007年度わが国原子力発電所の炉型別設備利用率

<関連タイトル>
日本の原子力発電所の時間稼動率の推移(2010年度まで) (02-05-02-03)
日本の原子力発電所の設備利用率の推移(2010年度まで) (02-05-02-04)
平成19年度わが国の原子力発電所の時間稼働率および設備利用率 (12-01-01-29)

<参考文献>
(1)(独)原子力安全基盤機構:原子力施設運転管理年報 平成18年版(平成17年度実績)、平成18年9月、p.27-p.28
(2)(独)原子力安全基盤機構:原子力施設運転管理年報 平成20年版(平成19年度実績)、平成20年9月、p.27-p.51
(3)(社)日本原子力産業協会:原子力産業新聞、2008年4月3日(第2423号)、p.4
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ