<本文>
日本の原子力発電所の1975年度から2010年度までの炉型別設備利用率の推移を
表1に示す。また、認可出力と設備利用率の推移を炉型別に図示した(
図1)。
1966年に商業用原子力発電所が運転を開始して以来、設備利用率は、1975年前後に初期トラブルや応力腐食割れ等のために総合平均で約40%まで低下した時期を除き、1983年度に70%台、1995年度には80%台を達成し、以後、2001年度まで80%台の高水準で推移した。しかし、2002年のBWR原子力発電所の不正問題に起因する点検等のため、
定期検査期間が長期化し、2002年度、2003年度の設備利用率は大幅に低下した。特に、BWRの設備利用率は2003年度、40%以下まで低下し、総合でも60%以下になった。2004年度から2006年度の設備利用率は定期検査が終了したプラントの運転再開により、総合で70%近くまで回復した。2007年7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽発電所の全基停止と、定期検査中による停止を含め計24基が停止し、2007年度と2008年度の平均設備利用率は約60%まで低下した。その後、2009年度には柏崎刈羽発電所6号機・7号機の運転再開を含めて設備利用率が徐々に持ち直し、65%まで回復した。2011年3月の東北地方太平洋沖地震による女川発電所(3基)、福島第一発電所(3基)、福島第二発電所(4基)及び東海第二発電所(1基)の停止と、定期検査中による停止を含め計30基が停止し、3月に限り平均設備利用率は58.3%まで低下したものの、2010年度の平均設備利用率は67.3%であった。
わが国最初の電気事業用原子力発電所である日本原子力発電(株)東海発電所(GCR 1基、16.6万kW、1966年営業運転開始)は、1997年度末に運転を停止、現在、廃止措置中である。また、中部電力(株)の浜岡原子力1号機(54.0万kW;BWR)及び2号機(84.0万kW;BWR)は2009年1月に運転終了し、2009年度より廃止措置段階に入っている。
なお、設備利用率の定義は次のとおりである。
・設備利用率(%)=(発電電力量/認可出力×暦時間)×100
[・時間稼動率(%)=(発電時間/暦時間)×100 ]
<図/表>
<関連タイトル>
日本の原子力発電所の現状(2010年) (02-05-01-10)
日本の原子力発電所の分布地図(2010年) (02-05-01-11)
<参考文献>
(1)(独)原子力安全基盤機構 企画部技術情報統括室(編):原子力施設運転管理年報 平成23年版(平成22年度実績)、平成23年10月