<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 高速増殖炉
<小項目> 海外の高速増殖炉の開発状況
<タイトル>
世界の高速増殖炉実証炉 (03-01-05-03)

<概要>
 世界の高速増殖炉実証炉では、唯一運転中であったフランスのSuper−Phenix−1は、1998年2月に閉鎖となった。計画されていたものはSuper−Phenix−2、DFBR、SNR−2、CDFR、BN−800、BN−1600及びEFRの7基であったが、このうちロシアのBN−800、BN−1600を除いた5基の計画は中止された。中断していたBN−800は設計変更を行い2003年に工事が再開された。これら実証炉に関する主要な情報を表形式にまとめた。炉型は、ループ型のDFBRを除いて、総てタンク型(プール型とも呼ぶ)であり、最大燃焼度は10万MWd/t以上を目標にしている。ナトリウム冷却材の温度は最高で約550℃、蒸気温度は約490℃程度である。ロシアのBN−800とBN−1600以外は非常用熱除去系を別に設けている。
<更新年月>
2004年11月   

<本文>
 実験炉原型炉に続いて開発が進められている高速増殖炉実証炉は、安全性、信頼性、運転・保守性の向上を目指すと共に、経済性の向上を図り、実用炉を実現するために計画が進められていたが、1998年2月にSuper−Phenix−1の閉鎖が決まり、現在運転中の実証炉は無い。建設が中断されていたロシアのBN−800は2003年に技術的な面と経済的な面の設計の改良を終了し、2010年完成の予定で建設が再開された。
 Super−Phenix−2、SNR−2及びCDFRの3基の計画は中止され、EFRの計画に統合された。EFR(ヨーロッパ統合高速炉)の計画は、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、及びベルギーのヨーロッパ諸国が共同で開発を始めた実証炉であるが、予算措置の不足などの理由によりイタリア、ベルギーが脱退し、1993年3月にはイギリスも脱退した。EFR計画の状況は、Phase−2(概念設計)まで終了しているが、1995年5月の時点でPhase−3(詳細設計)は開始されていないようである。
 わが国のDFBR−1については、もんじゅの二次系ナトリウム漏洩事故の後、原子力委員会の高速増殖炉懇談会が実証炉の具体的計画はもんじゅの成果を十分に評価した上で決定すべきとし、DFBR−1の計画は事実上中止となった。
 これら実証炉の出力、型式、燃料、冷却材などに関する事項を表1に示す。型式は、ループ型のDFBR—1(日本)を除いて、総てタンク型(プール型とも呼ぶ)である。
 炉心の設計諸元を表2に示す。最大燃焼度は殆ど10万MWd/t以上を目標にしている。増殖比は1.12〜1.25であるが、イギリスのCDFRは1.5と高い増殖比をねらっていた。
 冷却系の流量、温度など冷却系に関する設計諸元は表3に示す。ナトリウムの流量、温度および蒸気条件など殆ど同程度の値でナトリウムの温度は最高で約550℃前後、蒸気温度は約490℃程度である。
 表4に示した主要機器の設計諸元では、SNR−2、BN−800を除いて、大体同程度であり、再熱器を使用していない。
 主要な安全設備については、表5に示すように、格納容器の材質にコンクリートを採用する傾向がある。非常用冷却系は、ロシアのものを除いて主冷却系とは別に非常用熱除去系を設け、崩壊熱を除去することにしている。工学的安全設備としては、すべての炉で炉容器に安全容器(ガードベッセル)を設ける設計を採用している。
 高速増殖炉実証炉の開発は、安全性、信頼性、運転・保守性の向上を追求すること同時に、経済性の向上も重要な課題である。各国で新技術の採用などいろいろな検討が行われているが、軽水炉に比べて経済的に太刀打ちできないのが実情である。そのため、ウラン資源の有効利用のみを目的とするのではなく、核変換による高レベル放射性廃棄物の低減やTRUの燃焼も同時に実現する原子炉を目指す動きが活発である。それにより、経済的な核燃料サイクルを実現するよう、各国が幅広く検討している状況である。そのひとつの表れが、米国が主導で展開している第四世代原子炉である。
<図/表>
表1 世界の高速増殖炉実証炉の一般設計諸元
表2 世界の高速増殖炉実証炉の炉心設計諸元
表3 世界の高速増殖炉実証炉の冷却系設計諸元
表4 世界の高速増殖炉実証炉の主要機器設計諸元
表5 世界の高速増殖炉実証炉の主な安全設備設計諸元

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<関連タイトル>
世界の高速増殖炉実験炉 (03-01-05-01)
世界の高速増殖炉原型炉 (03-01-05-02)
わが国の高速増殖炉実証炉計画 (03-01-06-05)

<参考文献>
(1)IAEA:LMFBR Plant Parameters 1991, IWGFR/80 (1991)
(2)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑平成8年版,(平成8年10月22日)
(3)三浦正憲ほか:トップエントリー型FBR実証炉の概要,日本原子力学会誌, Vol.35, No.4(1993)
(4)三浦正憲ほか:高速増殖実証炉開発の現状と実用化身通し,日本原子力学会誌, Vol.37, No.2(1995)
(5)J.Nedderman:Japan’s No.1 Demostration FBR, Nucl.Eng. Int’l., May(1995)
(6)日本原子力産業会議(編):原子力ポケットブック2003年版(2003年8月15日)
(7)動力炉・核燃料開発事業団:第30回IAEA/IWGFR定例年会報告(1997年5月、北京)、PNC−TN1410−97−024
(8)V. M. Poplavsky & et al: Russian Fast Reactors in 2003 and Their Prospects, IAEA−TM、37th TWG−FR Annual Meeting, May (2004) (Private Communication)
(9)Jordi Roglans :Status of the U.S. Activities in Fast Reactors and Accelerator Driven Systems, IAEA−TM、37th TWG−FR Annual Meeting, May (2004) (Private Communication)
(10)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑1999年版、平成11年10月
(11)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑2003年版, 平成15年10月
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