<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 高速増殖炉
<小項目> 高速増殖炉の構造と特徴
<タイトル>
高速増殖炉の原子炉本体 (03-01-02-07)

<概要>
 高速増殖炉原子炉本体は主として原子炉容器、炉内構造物、遮蔽プラグ、制御棒駆動機構、回転プラグ、炉心上部機構、ならびにガードベッセルなどにより構成されている。これらの構成は常陽、もんじゅのループ型とスーパーフェニックスのタンク型では若干異なっている。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子力発電所のプラントを構成する機器設備の中で、原子炉を中心とした主要部を原子炉本体と呼んでいる。具体例として常陽、もんじゅ、スーパーフェニックスを例に挙げて説明する。
 原子炉本体の構成をループ型炉の代表例として、高速実験炉「常陽」(熱出力100MW)の断面図を 図1 に示す。またタンク型の代表例としてフランスの実証炉「スーパーフェニックス」(電気出力124万kW)の断面図を 図2 に示す。
 常陽の断面図から分かるように、原子炉本体は原子炉容器、炉内構造物、回転プラグ、炉心上部機構、制御棒駆動機構、燃料交換機構及びガードベッセルなどの主要部より成っている。図2のスーパーフェニックスの例から分かるように、タンク型炉の場合は1次冷却系配管がなく、主循環ポンプ及び中間熱交換器が原子炉容器内に設置されているので若干異なる。ループ型ならびにタンク型について構成の主な違いについては 図3−1図3−2 に示す。

1.原子炉容器
 FBRの場合、冷却材ナトリウムの沸点が 883℃と高いため原子炉はLWRと違いほぼ常圧で運転することが出来る。このため原子炉容器の肉厚を薄くできる。
 原子炉容器の肉厚は、常陽、「もんじゅ」、スーパーフェニックスで、それぞれ25mm、50mm、60mmとなっている。
 炉容器の寸法は内径で、「もんじゅ」では約7m、スーパーフェニックスでは約 21mに及ぶ大型となり、材質はステンレス鋼で出来ている。冷却材ナトリウムの原子炉入口・出口温度差が大きく、かつナトリウムの熱伝導が良く、比熱が小さいことから熱衝撃を受けやすいので、炉容器の内側に熱衝撃保護板などの工夫がされている。原子炉容器に万一亀裂が入ってナトリウムが漏洩した場合を考えて、容器に対して外容器が設けられた二重容器となっている。洩れたナトリウムは二重容器の中空部に溜まるので、この中空部を制限した設計にすることにより、炉容器内からのナトリウム液面の低下を制限し燃料頂部が露出し空だきにならず自然循環パスが確保されるように設計されている。この外容器のことをガードベッセルと呼んでいる。
 炉容器は薄肉かつ大容器なので、耐震設計は内容器、外容器、上部遮蔽プラグなど支持構造の荷重が分散される設計になっている。

2. 炉内構造物・遮蔽プラグ
 炉内構造物は炉心の燃料集合体やブランケット集合体などを支持する枠組を形成すると共に、図1の常陽の原子炉本体断面図を見て分かるように、炉容器下部と上部のしきり板的役目を果たすと共に、下部プレナム部が高圧プレナムと低圧プレナムにしきられており、高圧プレナムには炉心燃料集合体が装着され、低圧プレナムにはブランケット燃料集合体が装着されている。各集合体のエントランスノズルにあけられた穴の数によって、炉心の出力分布に見合った除熱が出来るようにナトリウム循環ポンプ吐出圧を流量配分できる役割を果たしている。
 遮蔽プラグは炉容器の上蓋で、炉心からの放射線や熱を遮蔽する役割をもっている。
 また、ナトリウムと空気が接しないように炉容器を密閉する機能を有しており、液面は不活性アルゴンガスで覆われている。
 遮蔽プラグは固定プラグと回転プラグに分かれている。

3. 制御棒及び駆動機構
 高速炉の反応度制御は、一般に炭化ホウ素やタンタルを中性子吸収体とする制御棒を上部から挿入する方法で行われる。制御棒は駆動機構により上下に移動でき、緊急時には急速に落下させ原子炉を停止させる構造となっている。

4. 回転プラグ
 回転プラグは、回転方式によって単回転、2重回転、3重回転など、いくつかの種類があるが、2重回転方式(常陽方式)について説明する。すなわち、固定プラグの内側に大回転プラグと小回転プラグがあり、偏心された位置にあるので、両回転プラグの回転角度の組み合わせで装荷されている燃料集合体の位置決めを行うことができる。したがって、小回転プラグ上に燃料交換孔があり、燃料交換機構を搭載し、その目的を果たすことができる。また、小回転プラグの上には制御棒駆動機構を搭載するとともに制御棒の挿入、引き抜きの案内管を含む炉心上部機構が設置されている。

5. 炉心上部機構
 炉心上部機構には上述した制御棒や燃料交換機構を搭載するほか、炉心上部の温度を測定する熱電対や流量計が取りつけられ運転中、炉心上部の燃料の温度や流量を監視する。 また、予備孔が種々の計測器類の案内管として準備されている。炉心上部は、高温ナトリウム流体の温度ゆらぎのあることから、熱応力には十分注意した設計になっている。
<図/表>
図1 原子炉本体断面図(常陽)
図2 原子炉本体断面図(スーパーフェニックス)
図3−1 各炉型式の系統構成
図3−2 各炉型式の系統構成

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<関連タイトル>
高速増殖炉のプラント構成 (03-01-02-02)
高速増殖炉と軽水炉の相違 (03-01-02-03)
高速増殖炉の炉心設計 (03-01-02-04)
高速増殖炉の構造設計 (03-01-02-05)
高速増殖炉の燃料設計 (03-01-02-06)

<参考文献>
(1) 安 成弘:高速増殖炉、同文書院(昭和57年)
(2) 堀雅夫(監修)基礎高速炉工学編集委員会(編):基礎高速炉工学、日刊工業新聞社(1993年10月)
(3) 動力炉・核燃料開発事業団:高速増殖炉原型炉「もんじゅ」設計・建設・試運転の軌跡、PNCTN241094-023(1994)
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