<大項目> 海外情勢
<中項目> 旧ソ連・東欧各国
<小項目> ブルガリア
<タイトル>
ブルガリアの原子力安全規制体制 (14-06-06-05)

<概要>
 ブルガリアの原子力安全規制当局である原子力平和利用委員会は、1980年から原子力安全問題を所轄している。1985年の国家評議会令に基づき、同委員会は、原子力発電所の許認可、各種所員への資格付与、放射性物質の貯蔵と輸送などの責任を担っている。しかし、旧体制においては原子力発電所の運転に関して、旧ソ連が強い発言力を持っていたようで、共産体制崩壊後にブルガリアは原子力規制の脆弱さを露呈することになった。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.原子力安全規制体制とその特質
 1975年、原子力分野の規制当局としてブルガリア原子力平和利用委員会(CUAEPP)が設置され、1980年から原子力安全問題を所轄するようになった。しかし、ブルガリアで原子炉が運転開始した当初、CUAEPPへの報告基準は正式に定めておらず、初期に発生した事象はブルガリアに駐在していた旧ソ連の専門家を通じて旧ソ連の当局に報告されるとともに、旧ソ連で分析されていた。ブルガリアの初期の原子力発電計画に関しては、VVER−440(230型)原子炉の運転に対して、旧ソ連は大きな発言権と強い影響力を持っていたようで、このためブルガリアは、安全で効率的な運転を確保する上でこれを支援する旧ソ連に頼りきってしまうようになったと言われている。
 このことはさらに、ブルガリアの原子力計画を脆弱なものにしてしまったともいえる。というのも、旧ソ連がブルガリアの原子力発電への関与を突然縮小しようとしたときに、ブルガリアの原子力規制は脆弱さを露呈することになってしまったからである。

2.原子力平和利用委員会の責任事項
 CUAEPPの運営は、1985年に発布されたブルガリア国家評議会令第3300号に基づいて行われている。
 CUAEPPの責任は次のとおりである。
(1) サイト選定から運転期間中の原子力発電プラントの許認可(2) 部門長、炉物理担当者、原子力安全担当技師、当直監督者、プラント運転者等を初めとする所員への資格付与
(3) 放射性物質の貯蔵および輸送
(4) 研究活動の調整
(5) 放射線源に関する許認可および管理
(6) 原子力安全利用に係わるその他の事項
 CUAEPPは1983年、限られた範囲であったが、報告を義務づける指令を発した。しかし、新しい包括的な報告基準が発給されたのは、1987年11月になってからである。

3.サイト検査官の役割
 1990年夏以来、コズロドイ原子力発電所に約20〜25名のサイト検査官が日中勤務時間に派遣されている。各検査官は特定の項目について監視することになっている。一部の検査官は、原子力関連活動に関する監視、規制の執行および報告の責任に加えて、圧力容器、吊り上げ装置および電気設備の試験に係わる従来の規格や基準の執行にも責任を有している。
 サイト検査官は、規制問題に係わるサイト管理について個々の指示を発する権限も持っている。検査官は中央本部に直接報告し、ここで3カ月ごとに検査が行われている。検査の対象は、提出された運転記録の評価やサイト検査官の見解を含め、広範囲にわたっている。このような過程を経て、CUAEPPが指示を発することになっている。CUAEPPは、規則違反のプラントの運転を停止させる権限も有している。さらに、規則違反の際にプラント責任者に罰則を課する権限も与えられており、実際、これまで罰則を課せられたケースが数回あったと報告されている。

4.コズロドイ発電所の運転許可
 コズロドイ1、2号機は、現行のブルガリアの原子力法が制定される前に運転を開始しており、このため正式な運転許可を持っていない。オリジナルの運転手順書は旧ソ連で作成され、このあとCUAEPPが承認した。しかし1980年にサイト許認可を必要とする命令が発せられ、この結果、コズロドイ3、4、5号機は、それぞれサイト固有の運転許可を取得した。これらの許可証は、一時期、旧ソ連で使用されていた許可証の複製であり、その範囲も限られていた。これらの許可には、プラントの技術仕様と制約条件を含む運転上の指示が含まれている。こうした指示は、発令をもって正式に承認されるが、規制当局は指示を変更することができる。
 なお、放射線管理と労働条件については、厚生省、国家環境保全委員会、およびブルガリア労働組合が規則適用の監督および監視の責任組織になっている。
 原子力発電プラントの環境への影響については、国家環境委員会の管轄になっている。
<関連タイトル>
ブルガリアの国情およびエネルギー、電力事情 (14-06-06-01)
ブルガリアの原子力政策および計画 (14-06-06-02)
ブルガリアの原子力発電開発 (14-06-06-03)
ブルガリアの原子力開発体制 (14-06-06-04)
ブルガリアの核燃料サイクル (14-06-06-06)
ブルガリアのPA動向 (14-06-06-08)

<参考文献>
(1) 米国エネルギー啓発協議会「ソースブック−旧ソ連、チェコ・スロバキア、ハンガリーおよびブルガリア」1992年
(2) 「データファイル・ブルガリア」ニュークリア・エンジニアリング・インターナショナル誌1992年11月号所収
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