<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> 国際条約・協定等
<小項目> 国際条約
<タイトル>
気候変動に関する国際連合枠組条約 (13-04-01-11)

<概要>
 地球温暖化問題に取り組むことを目的として、1992年に「気候変動に関する国際連合枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change, UNFCCC)が採択され、1994年に発効した。この条約の最終的な目標は、温室効果ガスの大気中濃度を気候系に危険な人為的影響を与えない水準に安定化することにある。このためには温室効果ガスの人為的な排出量の削減が必要であり、1997年に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、2008〜2012年の期間(第1約束期間)の排出量に関する数値目標や排出削減を効率的に達成するための手段などを定めた「京都議定書」が採択された。京都議定書はロシアの批准によって発効要件が満たされ、2005年に発効したが、米国は発効前に離脱を表明した。他方、経済発展が著しい発展途上国では、エネルギー消費量とともに温室効果ガス排出量も急増しつつあり、世界全体の温室効果ガスの排出増加を抑制するためには、発展途上国の協力が欠かせない。そこで、2013年以降の次期約束期間における排出削減目標を巡る議論では発展途上国の参加問題を含め、長期目標を中心とした合意形成の努力が締約国会議で続けられている。
<更新年月>
2009年12月   

<本文>
1.地球の温暖化と温室効果ガス
 地球は周期的に多くの原因で温暖化と寒冷化を繰り返してきたと推定されているが、近年の温暖化には人類が排出する温室効果ガスが大きな役割を果たしているものと考えられ、その影響が危惧されている。図1は、排出ガスが気温上昇に与える影響に関する評価結果を示す。人為起源の温室効果ガスのうち、二酸化炭素の影響が最も大きいと推定されている。図2は日本の年平均気温の平年差の推移を示す。日本の年平均気温は、長期的変化として、100年あたり約1.11℃の割合で上昇してきた。
 地球温暖化問題は1980年代に科学者の間で徐々に重視されるようになり、1988年に世界気象機関(WMO)および国連環境計画UNEP)により「気候変動に関する政府間パネル」(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)が設立され、温暖化問題に関する科学的知見が調査・検討されることとなった。1990年8月にはその第1次評価報告書が出され、同年11月に開催された第2回世界気候会議(スイス)ではIPCC報告書を妥当なものと評価し、科学的不確定性の解消に向けて気候研究と気候観測システムの強化を図ることを決定するとともに、この問題に対応するために国連が早期に枠組条約を作成することを求めた。これを受けて、同年12月に国連内に「気候変動枠組条約交渉会議」が設けられ、条約作成に向けての交渉が開始された。
2.気候変動に関する国際連合枠組条約
2.1 気候変動枠組条約の締結
 本条約は、正式名称を「気候変動に関する国際連合枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC、以下「気候変動枠組条約」と略記)といい、1992年5月の国連総会で採択され、同年6月にリオ・デ・ジャネイロで開催された地球サミット「環境と開発に関する国連会議」(UNCED)で署名が開始された。日本は1993年に批准し、1994年3月に発効した。2009年時点で191ヶ国および欧州共同体(EU)が締約国である。
2.2 条約の主な内容
 気候変動枠組条約は、気候系に危険な人為的干渉を及ぼすことにならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目標としている。この目的達成にあたって、(1)各国の政策と措置を報告し、(2)途上国援助などを進め、(3)2000年までに温室効果ガスの排出量を1990年の水準に抑制するとともに、(4)締約国は経済の発達を図る権利があり資金基盤の相違があることに配慮することとなっている。
 しかし、気候変動枠組条約での取り決め自体には法的拘束力がなく、また、2000年以降の具体的取組みについても決められていなかった。このため、1995年12月ベルリンで開催された第1回締約国会議(COP1:Conference of the Parties)において、(1)政策および措置の詳細を定めること、(2)2000年以降の特定期間における先進国の温室効果ガス排出量の具体的な削減目標を明示した議定書を1997年に開催するCOP3で採択すること、(3)開発途上国に対しては新たな約束を課さないことなどを盛り込んだ決議「ベルリン・マンデート」が採択された。
3.京都議定書の締結と日本の対応
3.1 京都議定書の締結
 ベルリン・マンデートの下で、1997年12月に京都で開催されたCOP3において気候変動枠組条約の目的を達成する議定書として「京都議定書」が採択された。京都議定書は、2008〜2012年の期間(第1約束期間)の排出量に関する数値目標、排出抑制方法、排出削減を効率的に達成するための手段など(表1)を定めたものである。この議定書において先進国および移行経済諸国(旧ソ連)は第1約束期間の排出量に関する数値目標を約束することとなり、さらに、その後の締約国会議で排出削減を合理的に達成するための柔軟性措置(京都メカニズムとも呼ぶ)の細則、森林等吸収源の取り扱い、目標未達の際の罰則規定などが合意された。こうした状況下で、米国は経済的な不利益や発展途上国の義務がないことなどを理由に2001年に議定書からの離脱を表明したが、日本は2002年6月に批准、また、2004年11月にロシアが批准して発効要件を満たしたため、2005年2月に発効した。2009年には183ヵ国および欧州共同体(EU)が議定書の締約国となっている。
 京都議定書に定められた主要諸国の排出削減義務を図3(二酸化炭素換算で基準年比の%表示、プラスは増加、マイナスは削減)に示す。わが国を含め、基準年比で排出削減を約束した多くの国で排出が増加しており、京都議定書の目標を達成することの難しさが示されている。なお、早期に議定書からの離脱を表明した米国の他、排出量が大幅増加したカナダも目標達成を断念することを2007年に表明している。また、排出量が急増しつつある発展途上国に関して、京都議定書では排出量の増加抑制措置を一切求めておらず、気候変動枠組条約の目標に照らしてその実効性の乏しさが指摘されている。そこで、後述するようにより長期的な視野に立って目標を定め、途上国も参加した形で温暖化対策を進めていく方策について協議が進められている。
3.2 日本の対応
 気候変動枠組条約に先行し、1990年10月に地球環境保全に関する閣僚会議で、地球温暖化防止行動計画が閣議決定された。当計画の目標は、温室効果ガスの排出抑制を進め、その排出量を2000年以降は概ね1990年のレベルに保つことであった。この目標に合わせ1991〜2010年の間に、太陽光、風力、水素エネルギーなどの利用と二酸化炭素の固定化技術などの開発を進めることとなった。
 また、温暖化対策を推進する目的で、1992年の「気候変動枠組条約」と1995年の「京都議定書」をふまえて1998年に地球温暖化対策の推進に関する法律が制定された。この法律によって、国、地方公共団体、事業者および国民の責務が示され、京都議定書の目標達成計画が立てられるとともに、対策推進本部が設置された。2002年の「地球温暖化対策推進大綱」では、a)省エネルギー、新エネルギー、原子力利用の促進、b)エネルギー以外の二酸化炭素、メタン、窒素酸化物(NOx)の排出抑制、c)新技術の開発、d)フロンガス利用の改善、e)二酸化炭素の吸収量の確保などを積極的に進めることとなった。
 日本は、第1約束期間5年間の温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減することを約束した。図4に示すように、日本の温室効果ガス総排出量は1990年排出量に比べて大幅に増加している。このため、6%の削減約束を達成するためには、省エネルギーの一層の強化、新エネルギー利用の促進、低炭素燃料への転換等による国内排出量の低減、森林吸収源の活用、京都メカニズムの利用など総合的な対策が必要となっている。
 なお、2013年以降の取組として、日本は環境に与える温室効果ガスの影響をさらに抑えるため、2050年に現状から60〜80%削減するという長期目標を掲げ、低炭素社会づくり行動計画を平成20年7月に閣議決定した。国内では革新的技術の開発、既存先進技術の普及などを図るとともに、国際的支援では5年間で約100億ドルの資金提供による「クールアース・パートナーシップ」計画を進める。
4.気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)
 京都議定書に定めのない2013年以降の温暖化対策に関して国際的枠組みを構築することを主目的として、2009年12月にCOP15がコペンハーゲンで開催された。会合では、今世紀の半ばを見通した長期的な視野の下で、日本は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年度比で25%削減することを表明し、欧州共同体(EU)は20%、米国は2005年度比で17%削減、中国もまた削減を表明した。こうした状況下で、気温上昇を2℃以内に抑えるために先進国と途上国が協力して排出削減に取り組むことを骨子とした「コペンハーゲン合意」が採択される見込みであったが、全体会合において数ヶ国が作成過程の不透明を理由に採択に反対した。このため、表2に示すように「世界全体の長期目標として産業化以前からの気温上昇を2℃以内に抑える」という目標を「条約締約国会議として留意する」に留まった。今後、作業部会でさらに二酸化炭素削減行動について検討を進めることとなり、実効性のある温暖化対策の実施に必要な拘束力のある合意の形成に向けて交渉が継続されている。
<図/表>
表1 京都議定書での温室効果ガスの排出抑制方法
表2 「コペンハーゲン合意」の主な内容
図1 大気中の排気ガス成分の地球温暖化に与える影響
図2 日本の年平均気温平年差
図3 京都議定書の約束値と2007年の現況
図4 京都議定書目標達成計画の進捗状況

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<参考文献>
(1)環境省ホームページ「気候変動に関する国際連合枠組条約(全文)」、http://www.env.go.jp/earth/cop3/kaigi/jouyaku.html
(2)環境省ホームページ、平成21年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書」、http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/zu/h21/index.html
(3)環境庁地球環境部(編):「京都議定書と私たちの挑戦」大蔵省印刷局(1998年)p.1-5、
(4)全国地球温暖化防止活動推進センターホームページ、http://www.jccca.org/
(5)国際連合気候変動枠組条約ホームページ
(6)UNFCCC, National greenhouse gas inventory data for the period 1990-2007, Note by the secretariat, FCCC/SBI/2009/12, October 2009
(7)外務省ホームページ、気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)京都議定書第5回締約国会合(CMP5)等の概要、http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop15_g.html
(8)気象庁ホームページ
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