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<概要>
 昭和62年度においては、原子力発電所の時間稼働率は78.2%、設備利用率は77.1%であった。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 昭和62年度においては、原子力発電所の時間稼働率は78.2%、設備利用率は77.1%であった。
 昭和62年度においては、東京電力(株)福島第二原子力 4号機(110万kW)中部電力(株)浜岡原子力 3号機(110万kW)の 2基が新たに営業運転を開始した。この結果、昭和62年度において全国の営業運転中の電気事業用の原子力発電所の数は35基、設備容量は2,788.1 万kWとなった。
 我が国の電気事業用の原子力発電所は、昭和41年に商業用原子力発電所が初めて運転を開始して以来、昭和50年前後に初期トラブルや応力腐食割れSCC)等のため、設備利用率は40〜50% 程度と低迷した。その後、設備の改善等を実施し、昭和55年度以降は順調に推移し、昭和62年度は77.1% と良好な実績であった( 表1 参照)。また、設備利用率については、先進国の中でも良好な成績を示している。昭和62年度の電気事業用の原子力発電所の発電電力量は約1,866 億kWh となり、電気事業用の年間発電電力量の約29% を占めるに至っている。なお、設備利用率が着実に向上してきた要因としては以下の点があげられる。
  (1) 定期検査期間の短縮−従来、定期検査期間を長期化させていた最大の要因である初期トラブルや応力腐食割れ等の対策のための保修作業量が減少したこと、定期検査の作業工程、作業体制等の改善により、検査の効率的実施が図られてきたこと、近年、運転開始した新しいプラントは過去の実績を反映して設備改善を施したため、定期検査が効率的に行なえるとともに補修作業量も少なくなったこと等により定期検査期間が短縮された。
  (2) 運転期間の長期化−設備・機器の改良、品質管理の徹底等による信頼性の一層の向上、燃料設計の変更(濃縮度の上昇)等により運転期間を長期化することが可能となった。
  (3) 運転中のトラブルの減少−予防保全を重視した定期検査の実施等によるきめ細かい点検・補修等の徹底した品質管理、さらには内外の事故・故障等に関する情報の活用等による事故・故障の未然防止対策の徹底が図られたこと、軽水炉改良標準化計画に代表される各種の技術改良が加えられ、設備そのものの信頼性の向上が図られたこと、等の理由により信頼性の向上が図られ、運転中のトラブルの発生が減少した。
 また、時間稼働率については 表2 及び 表3 に示すように平均で78.2% であった。
<図/表>
表1 設備利用率
表1  設備利用率
表2 時間稼働率
表2  時間稼働率
表3 我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率(昭和62年度)
表3  我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率(昭和62年度)

<関連タイトル>
日本の原子力発電所の時間稼働率の推移(2004年度まで) (02-05-02-01)
日本の原子力発電所の設備利用率の推移(2004年度まで) (02-05-02-02)
昭和62年度原子力発電所の事故・故障 (12-01-02-09)

<参考文献>
(1)原子力委員会編(1989):我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率(過去10年間)、昭和63年版原子力白書、458-461.
(2)(社)火力原子力発電技術協会(1988):原子力発電所の運転状況、昭和63年版(昭和62年度実績)原子力発電所運転管理年報、25-49.
(3)(社)火力原子力発電技術協会(1988):ユニット別設備利用率、ユニット別時間稼働率(昭和62年度月別)、昭和63年版(昭和62年度実績)原子力発電所運転管理年報、38-49.
(4)科学技術庁原子力安全局編(1988):我が国の原子力発電所の設備利用率、我が国の原子力発電所の時間稼働率、原子力安全委員会月報.
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