<大項目> 原子力安全規制
<中項目> 原子力施設の安全規制
<小項目> 核燃料物質等の輸送の安全規制
<タイトル>
六フッ化ウランおよび二酸化ウランの輸送 (11-02-06-03)

<概要>
 原子力発電所で使われるウラン燃料の原料となる六フッ化ウランおよび二酸化ウランの輸送は密封性を有する内容器と、耐熱・耐衝撃性を有する外容器の二重構造を持つ容器が使用される。この輸送物はA型(核分裂性)輸送物として規制される。
<更新年月>
2010年09月   

<本文>
 ウラン燃料の成型加工に至る前段階の原料ウランには、天然ウランの六フッ化ウラン、濃縮された後の濃縮六フッ化ウラン、及び六フッ化ウランから再転換された濃縮二酸化ウランがある。
 六フッ化ウラン(uranium hexafluoride)は、常温では固体で無色の結晶である。56.5℃で昇華し気体になるので、ウランの同位体分離ウラン濃縮)に用いられる。酸素や空気とは反応しないので比較的安定であるが、水と激しく反応しフッ化水素を生ずる。このフッ化水素は激しい腐食性をもっており、生体への毒性も極めて強い。したがって、六フッ化ウランの輸送は通常固体の状態で行い、六フッ化ウランの容器やパッキングなどでは厳重な防湿と密封性が必要であり、また容器自体の臨界安全、放射線遮蔽の設計もなされる。
 原子力発電所で使用されるウランは、海外や六ヶ所村の施設で濃縮され(濃縮度は発電用核燃料の場合5%以下である)、六フッ化ウランの形で、国内の再転換工場に運搬される。この輸送のための容器は、直径約1.3m、長さ約2.5mの鋼製容器(通称30B型シリンダー)が使用される。輸送中の30B型シリンダーは断熱衝撃緩衝材を内張りした鋼製の保護容器に収納されている(図1参照)。輸送物の大きさは、直径約1.3m、長さ約2.5mで、収納時の重量は約4tである。また、この輸送物は、放射能の量は比較的少なく放射線は比較的弱いが、核分裂性物質であるため、輸送に当たってA型(核分裂性)輸送物として国による安全の確認が必要となる。
 六フッ化ウランは、国内の再転換工場において、二酸化ウランの粉末に転換される。二酸化ウランの粉末は、融点が約2,800℃のこげ茶色の粉末で、常温では空気中でほとんど酸化されない。水中でも300℃までは反応しない。放射能的には、六フッ化ウランと異なるところはない。
 二酸化ウラン粉末の輸送物の形状を図2に示す。輸送容器は、密封性を有する内容器と耐熱・耐衝撃性を有する外容器の二重構造である。内容器の中には、二酸化ウランを収納する容器がはめ込まれている。
 これらの輸送物は、A型(核分裂性)輸送物として規制されている。表1に輸送物確認実績を示す。
(前回更新:1998年3月)
<図/表>
表1 原子力発電用核燃料物質等の輸送物確認実績
図1 六フッ化ウラン輸送容器
図2 二酸化ウラン粉末輸送容器

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<関連タイトル>
六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換 (04-06-02-01)
発電所用ウラン燃料の輸送 (11-02-06-02)
使用済燃料の輸送 (11-02-06-04)
わが国の核燃料物質輸送に係る安全規制 (11-02-06-01)

<参考文献>
(1)科学技術庁原子力安全局核燃料規制課ほか(監修):放射性物質等の輸送法令集1997年版、日本原子力産業会議(1997年1月)
(2)青木成文:放射性物質輸送のすべて、日刊工業新聞社(1990年6月)、p.119
(3)原子力安全委員会(編):平成8年版原子力安全白書、大蔵省印刷局(1997年3月)、p.166-168
(4)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年6月)、p.87
(5)電気新聞(編):原子力ポケットブック2008年版、日本電気協会新聞部(2008年7月)、p.251
(6)松岡 理:核燃料輸送の安全性評価、日刊工業新聞社(1996年11月)
(7)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑 平成9年版、1997年10月、p.159
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