<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 放射線による生物影響
<小項目> 健康リスク評価
<タイトル>
現在の環境における遺伝疾患の種類と自然発生率 (09-02-08-07)

<概要>
 遺伝疾患の種類は非常に多く、知られているもののみでも約2000種類以上あり、その自然発生率は出生あたり約10%と推定されている。その他に環境因子と係わりあって発症する多因子性の遺伝疾患と呼ばれる種類のものがあり、これは国連科学委員会によると全ての病気の70%を占めるとも推定されている。
 日本における遺伝的疾患の自然発生率については不充分であるがいくつかの統計データがある。
<更新年月>
1998年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1 放射線リスク評価における遺伝疾患の自然発生率の意味
 放射線が被曝者の子孫に与える影響を遺伝的影響、遺伝性影響、あるいは経世代的影響という。この遺伝的影響のリスクの大きさを推定し、評価するにあたって自然に発生している遺伝的障害や疾病の頻度が問題となる。これは自然発生率が倍になるような放射線の量(倍加線量)を推定し、それに基づいて遺伝的影響のリスクの大きさを推定する、という方法がリスク推定法の1つとして採用されていることによる。

2 遺伝疾患の種類
 遺伝疾患には非常に多くの種類がある。優性の遺伝病としてはっきりしているものが、857、その疑いのあるものが835、劣性の遺伝病は575、その疑いのあるものが671、伴性遺伝病が113、その疑いのあるものが117種である。この他に環境影響と係わりあって発症してくる「多因子性の遺伝病」といわれるものが多数あるといわれている。ICRPは多因子性の遺伝病は有病率(すべての病気に占める割合)が70%、そのうち突然変異による分がその5%(全体の3.5%)と見積っている。 表1-1 および 表1-2 にはマキュージックという遺伝学者がまとめた代表的な遺伝病の名称と発生頻度が示されている。

3 遺伝的疾患の自然発生率の推定値
 国連科学委員会は先天的な異常を持つ子供の頻度は生きて生まれて来る子供(死産児でない子供)100人当り約10人(100万人当り10万5900人)、と推定している。その内訳は 表2 に示す通りである。
 日本における遺伝的疾患の種類と発生率については全てをまとめた統計は得られていないが、いくつかの報告がある。その例を 表3表4 および 表5 に示してある。
<図/表>
表1-1 代表的な遺伝病の種類と数
表1-2 代表的な遺伝病の種類と数
表2 UNSCEAR 1982年報告書で倍加線量法を用いて推定した、1世代当たり低LET放射線を低線量で被曝した時の影響
表3 日本人における優性遺伝病の推定頻度
表4 日本人における劣性遺伝病の推定頻度
表5 日本人男子集団における伴性遺伝病の推定頻度

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<関連タイトル>
放射線の遺伝的影響 (09-02-03-04)
放射線と染色体異常 (09-02-06-01)
国連科学委員会(UNSCEAR)によるリスク評価 (09-02-08-02)
BEIR-Vによるリスク評価 (09-02-08-03)
ICRP1990年勧告によるリスク評価 (09-02-08-04)

<参考文献>
(1) UNSCEAR 1988年 REPORT(日本語版:「放射線の線源、影響及びリスク」実業公報社 1990年
(2) BEIR-V,1990
(3) ICRP Pub.60,1990
(4) 松永・浜口編:遺伝医学読本(からだの科学 増刊 21)日本評論社 1989年
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