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<概要>
 G2及びG3炉は、フランス原子力庁(CEA) の所有していたプルトニウム生産、兼発電炉である。それぞれ出力43MWe(260MWt)の黒鉛減速ガス冷却型原子炉で1958年、1960年に運転開始、G2は1980年2月まで、G3は1984年6月まで運転された。これらの原子炉は、1994年までに冷却系等の撤去、原子炉本体部分の遮へい隔離を完了し、現在、IAEAデコミッショニング分類ステージ2に相当する状態で管理されている。
<更新年月>
2001年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 G2及びG3炉は、それぞれ黒鉛減速ガス冷却型原子炉で出力は43MWe(260MWt)、仏国マルクール研究所が所有していた。運転された期間は1958年から1984年の間であり、その後、1982年から廃止措置作業を開始し、1994年ステージ2に達した。原子炉は横型であり、内径14m、長さ18mのプレストレスコンクリート製の原子炉容器をもち、炉心は黒鉛ブロック(2,500トン)などで構成されている。一次系のガス配管と蒸気発生器原子炉圧力容器の外にあるので、遮へい隔離(ステージ2)のデコミッショニングを行うのに都合がよい。蒸気発生器は4基(300トン/基)あり、配管の全長は約1700mあり、そのうち径1.0cm以上のものが約1000mあり、配管重量は約1100tである。配管及び蒸気発生器の汚染レベルは、33Bq/cm2と低いため、これらを再利用または極低レベル廃棄物として処分できるようにするのがG2及びG3のデコミッショニングの主な作業である。大型の配管内部に人が入って除染し、除染後プラズマアーク切断機で2.0mの長さに切断した。除染は塩基性ゲルを使用して表面を溶かし、高圧水で洗浄する方法で行っている。特に次の装置を開発している。
(1) 配管内除染装置
 冷却配管等内部の除染を行うための装置で、ノズルが配管軸に沿って移動し、除染剤(塩基性ゲル)を吹き付ける。
(2) 配管切断装置
 プラズマ装置を備えた移動装置が、配管の外側を自動的に移動し、配管を切断する。
(3) 金属溶融施設(INFANTE)
 施設内に直径1.6mの大型配管を直接装入できる15トン/バッチのアーク式電気炉を設置し、各種の解体金属廃棄物を溶融し、15kgまたは4トンブロックの金属塊、合計約3,400tを製造した。その内訳は、25kgインゴットが約80%、4トンブロック20%である。また放射能レベル区分では、1Bq/g以下が52%、1Bq/g以上(平均9Bq/g)が48%である。この溶融に伴う二次廃棄物は、6%である。また再利用の試みとして、遮へいブロック、廃棄物容器の試作品の製作を行っている。これらの溶融造塊した金属は、極低レベル廃棄物として処分か、または再利用する予定であり、現在、施設内に保管されている( 図1 参照)。
(4) 熱交換器のSOCODEI施設での溶融処理
 G2及びG3の熱交換器は、施設内で1994年から1996年の間に切断、溶融し廃棄容器に利用するため、マルクールに建設された集中処理センター(SOCODEI施設)に1996年12月に輸送された。

 G2及びG3のステージ2までの廃止措置費用は、1991年評価で約1億3千万フランスフランである。ステージ3の最終解体については、中レベル廃棄物に分類される炉心グラファイトを処分する施設がフランスにはまだないため、処分場確保後に行う予定である。
 なお、G1炉は、1956年から1968年まで稼動し、排水管、排気塔、数基のフィルタを残し、ステージ2まで解体され、現在最終のステージ3の解体について検討中である。

[用語解説]
ステージ1:IAEAのデコミッショニング分類の一つで、わが国でいう密閉管理と同意語である。
ステージ2:IAEAのデコミッショニング分類の一つで、わが国でいう遮へい隔離と同意語である。
ステージ3:IAEAのデコミッショニング分類の一つで、わが国でいう解体撤去と同意語である。
<図/表>
図1 金属溶融施設(INFANTE)の設備概略
図1  金属溶融施設(INFANTE)の設備概略

<関連タイトル>
廃止方法 (05-02-01-03)

<参考文献>
(1) R.Lurie Decontamination of the Main Circuits of the G2 Gas-Graphite Reactor IAEA−TECDOC-511 (1989)
(2) C.Laffaille et. al. Melting and Recycling of Metallic Waste in France, Seminar on Melting and Recycling of Metallic Waste Materials from Decommissioning of Nuclear Installations,Krefeld,Germany,Oct.1993,p.23-41
(3) J. Feaugas, et. al. Experience with Melting Beta and Gamma Radioactive Metals at CEA-UDIN,Seminar on Melting and Recycling of Metallic Waste Materials from Decommissioning of Nuclear Installations,Krefeld,Germany,Oct.1993,p.89-112
(4) M.JEANJACQUES,Melting of Contaminated Steel Scrap from the Dismantling of CO2 Systems of Gas-Graphite Reactors,International Symposium on D & D,Knoxvill,Tennessee,USA,1994.
(5) The NEA Co-operative Programme on Decommissioning,The First Ten Years 1985-95,OECD 1996
(6) T.Lahuppe,Dismantling of EDF G2/G3 UNGG Exchangers Marcoule,ICONE,5 May 1997,p.2254
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