<概要>
低レベル放射性廃棄物埋設センタ−の操業時における気体廃棄物などの放出、廃棄体埋設設備からの
放射性物質の漏出などにより周辺公衆が受ける影響については、法令で定める公衆の
線量限度1mSv/年あるいは、
自然放射線によって受ける約1mSv/年にくらべ極めて小さい値であることが評価の結果明らかにされている。
すなわち、低レベル放射性廃棄物埋設センタ−の敷地境界における一般公衆の
線量の最大値は、この施設に一時貯蔵および埋設される放射性物質からの外部放射線(
スカイシャイン)に係わる線量で、約0.027mSv/年と評価されている。
<更新年月>
2009年03月
<本文>
1.廃棄物埋設施設の管理方法
一般公衆の線量を合理的に達成出来る限り低く抑えるため、浅地中に埋設した廃棄物の
放射能が時間の経過に伴って低減し、放射能のレベルが安全上支障のないレベル以下になるまでの間、廃棄物の種類、放射能レベルに応じて廃棄物埋設地の管理を段階的に軽減していくため、第1〜第3段階を設定している。各段階の実施期間、内容は次のようになっている。
第1段階:埋設設備開始以降10〜15年以内
人工バリアにより放射性物質が人工バリアの外へ漏出することを防止するとともに、人工バリアから放射性物質が漏出していないことを監視する必要がある段階
第2段階:第1段階終了後30年
人工バリアと
天然バリアにより放射性物質の生活環境への移行を抑制するとともに、放射性物質の人工バリアからの漏出および生活環境への移行を監視する必要がある段階
第3段階:第1段階終了後約300年
主として天然バリアにより放射性物質の生活環境への移行を抑制するとともに、特定の行為の禁止又は制約をするための措置を講じる必要がある段階
各段階の管理内容について
表1に示す。
2.線量評価
(1)平常時評価(第1〜3段階)
平常時評価では、埋設後約300年間に、施設から漏出する放射性物質により周辺の人々の受けるおそれのある線量を評価する。ただし、第1段階では、放射性物質の漏出が生じないよう所要の対策を講ずることとしているため、漏出による評価は行わず、覆土までの埋設作業時における線量評価を行っている。
第2、第3段階での線量評価経路は、線量の計算対象とする代表的な経路および人を想定して評価を行っている。評価条件は、
1)廃棄体、セメント系充填材および埋設設備の状態が砂程度まで劣化している。
2)設備が劣化するまで放射性物質の時間経過による減衰は考慮しない。
というように線量評価結果が厳しくなるように設定している。
評価経路を
図1a),b)に、評価結果を
表2に示す。評価結果は、法令で定める公衆の線量限度である1mSv/年あるいは、自然放射線によって受ける約1mSv/年に比べ極めて小さい値となっている。敷地境界における一般公衆の線量の最大値は、この施設に一時貯蔵および埋設される放射性物質から外部放射線(スカイシャイン)に係わる線量で約0.027mSv/年と評価されている。
(2)管理期間終了以後における評価
管理期間終了以後において、埋設された廃棄物に起因して発生すると想定される一般公衆の線量が、被ばく管理の観点から管理することを必要としない低い線量であるかどうかを評価する。評価経路を
図2に、評価結果を
表3に示す。
評価結果は全て「放射性廃棄物埋設設備の
安全審査の基本的考え方」に目安として示されている線量の10μSv/年を下回っている。
上記「基本的考え方」では、発生頻度が小さい事象については、線量が10μSv/年を著しく超えないこととしている。これらについての評価経路を
図2に、評価結果を
表4に示す。線量の最大値は約14μSv/年であり、「基本的な考え方」に示されている線量の判断基準を満足している。
<図/表>
<関連タイトル>
放射性廃棄物の処分の基本的考え方 (05-01-03-01)
低レベル放射性廃棄物の処分 (05-01-03-02)
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの概要 (05-01-03-04)
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの現状 (05-01-03-21)
<参考文献>
(1)日本原燃:六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター廃棄物埋設事業許可申請書、平成2年2月
(2)日本アイソトープ協会:アイソトープ法令集、2003年3月20日、「国際放射線防護委員会の勧告(ICRP Pub.60)の取り入れ等による放射線障害防止法関係法令の改正について(通知)、平成12年10月23日、科学技術庁原子力安全局)、p434—437」
(3)原子力安全委員会:原子力安全委員会指針集、「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方(中間報告)原子力安全委員会決定 一部改訂:平成13年3月29日」
(4)原子力安全委員会:「低レベル放射性廃棄物埋設に関する安全規制の基本的考え方(中間報告)、平成19年7月12日、原子力安全委員会了承」