<本文>
1.
BWR 燃料棒
BWR燃料棒の製造工程を
図1 に示す。受入れ検査に合格したジルカロイ-2の被覆管は、洗浄し、履歴に異常がないか検査したのち所定の長さに仕上げる。被覆管の一端に下部端栓を取りつけ、不活性雰囲気の気密チャンバ中でTIG 溶接する。
検査に合格したペレットを所定のスタック長さとし、重量を確認し、下部端栓付き被覆管に挿入し、さらに真空および不活性雰囲気中で加熱して乾燥する。抜き取りサンプルを分析し、水素量が規定値以下であることを確認する。次に、プレナム部にスプリングを挿入し、真空引きののちヘリウムガスを充填し、所定の圧力下で上部端栓を取りつけ、TIG 溶接する。
溶接部全数について外観・寸法・溶接部X線透視検査を実施する。また燃料棒内部のペレットの
ウラン濃縮度や
ガドリニア濃度などを非破壊検査方式で確認する。
2.
PWR 燃料棒
PWR燃料棒の製造工程を
図2 に示す。ジルカロイ-4の被覆管を被覆管製造工場において所定の長さに仕上げ、検査に合格した被覆管を燃料工場に受入れる。被覆管の内面を洗浄してから、検査に合格し乾燥したペレットを所定のスタック長さ分挿入する。次に、プレナム部にコイルばねを挿入し、上部端栓と下部端栓を圧入し、両端栓部をそれぞれの溶接チャンバ内てTIG 溶接する。続いて、上部端栓に設けてある貫通小孔からヘリウムガスを被覆管内に約30気圧充填し、小孔をTIG 溶接で密封する。
完成した燃料棒は、端栓溶接部の外観・寸法・溶接部X線透視検査・ヘリウム漏洩検査を受ける。また、ペレット間の空隙の有無、プレナム長さ、ペレットのウラン濃縮度を非破壊検査方式で確認する。さらに全長、曲り、外観についても全数検査する。
<図/表>
<関連タイトル>
六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換 (04-06-02-01)
燃料棒加工工程 (04-06-02-04)
集合体組立工程 (04-06-02-05)
燃料加工における検査工程及び品質保証 (04-06-02-06)
<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年6月)
(2)原子力安全研究協会(編):軽水炉燃料のふるまい(改定新版)、 原子力安全研究協会(平成2年7月)