<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の二次エネルギー
<小項目> 石油・石炭製品
<タイトル>
石油製品生産量 (01-04-02-01)

<概要>
 日本の石油製品需要は、1982年に底をついて以後、回復傾向に転じ、エネルギーの需要・供給面では依然として主役の座にある。運輸部門では、モータリゼーションの進展に伴ってガソリン、軽油をはじめとする輸送用燃料が着実に増加している。民生部門では、世帯数の増加やライフスタイルの向上・多様化が進み、暖房用燃料としての需要は堅調に推移している。産業部門では、重油の消費量は、エネルギー多消費の基礎素材型から寡消費の加工組立型への産業構造転換に伴って漸減している。電力部門でも、原子力発電やLNG発電などの新規電源立地が進み、火力発電用重油は激減している。この結果、石油製品の需要構造をみると、ガソリン、灯油、軽油などが増加し、重油が減少する軽質化傾向が進んでいる。分解設備の導入が今後十分に進まない場合、国内市場の需要面と供給面における石油製品のバランスにミスマッチが生じる可能性がある。
<更新年月>
2006年06月   

<本文>
1. 石油製品と製造工程
a) ガスおよびLPG
 常圧蒸留装置や接触分解装置などから発生するガスは、製油所の燃料として使用される。接触改質装置からのガスは多量の水素を含んでいるため、水素化精製装置などの水素源として使用される。また、常圧蒸留装置や接触改質装置のLPGはLPG回収装置で精製、分離し、製品プロパン、製品ブタンとする。接触分解装置からのLPGにはオレフィン分が多く含まれ、石油化学の原料のほかにMTBE(Methyl Tertiary Butyl Ether)装置やアルキレーション装置の原料として活用される場合もある。
b) ナフサおよびガソリン
 常圧蒸留装置などからのナフサは、水素化精製装置で硫黄分を除去した後、軽質ナフサと重質ナフサに分けられる。軽質ナフサは、ガソリンの基材あるいは石油化学用原料として使用される。一方、重質ナフサは接触改質装置により、オクタン価の高いガソリン基材に変えられる。また接触分解装置、アルキレーション装置、MTBE装置、異性化装置などからもガソリン基材が製造される。これらの基材を調合し、製品ガソリン(オクタン価の違いによりレギュラーとプレミアムがある)を製造する。
c) 灯油、軽油およびジェット燃料
 常圧蒸留装置からの粗灯油、軽質軽油を水素化精製装置により灯油、軽油を製造する。最近は公害防止の観点から、軽油の低硫黄化に対処すべく、軽油深度脱硫装置が導入されている。また灯油、軽油の需要増に対応するため、水素化分解装置が数多く建設されている。ジェット燃料には灯油留分のみのものと、ナフサと灯油留分を調合して製造するものとがある。
d) 重油
 常圧蒸留装置や接触分解装置の軽油留分、常圧残油、減圧残油、脱硫残油等を調合して、重油が製造される。重油は粘度によりA重油、B重油、C重油に分けられる。最近は公害対策から低硫黄重油の需要が増加し、これに対処するため、多くの重油脱硫装置が建設されている。重油脱硫装置では多量の水素が必要になるため、水素製造装置の建設が必要となる。
e) 潤滑油
 図1に示す様に、常圧残油を減圧蒸留装置により数種類の潤滑油留分に分離する。減圧蒸留法でも採取できない留分は溶剤脱瀝装置で分離する。これらの留分は溶剤抽出装置により粘度指数が向上され、水素化仕上げ装置で色相改善、硫黄分が除去され、さらに脱蝋装置で流動点が改善される。このように精製された基油を調合し、添加剤を加えて製品とする。
f) アスファルト
 アスファルトには、ストレートアスファルトとブローンアスファルトがある。減圧フラッシング装置・減圧蒸留装置の残油や溶剤脱瀝装置の残油を直接調合して、ストレートアスファルトを製造する。減圧残油に空気を吹き込んで酸化、重合などにより性質を変化させ、ブローンアスファルトを製造する。
g) パラフィン蝋(ワックス)
 パラフィン蝋は、潤滑油製造工程で溶剤脱蝋装置により分離された粗蝋から油分を完全に除去し、精製して製品とする。
h) グリース
 グリースは潤滑基油に増ちょう(稠)剤や、必要に応じて添加剤を加えて製品とする。基油には、石油系基油が最も多く用いられる。
i) 硫黄回収
 精製装置や接触分解装置などから出てくる硫化水素を多量に含むガスは、そのまま燃料ガスにすると亜硫酸ガスの発生が著しいので、硫黄回収装置で硫黄分を取り除いて使用する。硫黄回収装置は、ガス中に含まれる硫化水素を分離する工程、分離された硫化水素から硫黄を回収する工程および回収しきれない硫黄分を処理するテールガス処理工程からなる。得られた液状硫黄は、液状のまま、あるいは塊状、粒状、フレーク状に成型して出荷する。
2.石油製品需要の動向
 石油製品は、特定の製品だけを生産することができない「連産品」であるため、この特性が製品の需要構成や価格構成に大きな影響を与えている。
 わが国は従来から、石油製品の安定供給確保策として、相対的に調達しやすい原油を輸入し、国内の製油所で需要構造に応じて生産割合を調整して精製し、製品を供給する消費地精製を基本としてきた。これに製品の輸出入を行うことにより国内の需要に対応している。
 わが国の石油製品需要の推移をエネバラベースで見ると、1982年度を底に回復基調に転じ、1995年度までは年々増加の傾向にあった。しかしながら1996年度にジェット燃料油、灯油、重油の需要減から燃料油計は前年割れとなり1998年度までその傾向が続いた。1999年度の需要はガソリン・ナフサ等の需要増から燃料油計は前年を上回ったが、2000年度の需要はナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、C重油が前年を下回り、その後、2004年度まで2002年度の増加を除き減少傾向にある。2004年度の燃料油販売量は、合計約2億3,700万klで1994年度とほぼ同水準であった。
 運輸部門では、モータリゼーションの進展に伴ってガソリン、軽油等の輸送用燃料が着実に増加してきたが、1997年度以降は景気の低迷、貨物輸送量の減少、物流の合理化等により軽油の需要が減少した。
 民生部門では2000年度の灯油需要は減少し、2002年度には前年度より増加に転ずるものの、その後減少傾向が続いている。
 産業部門ではエネルギー多消費型の基礎素材型から寡消費型の加工組立型へと産業構造の転換が進む中で、重油の需要は減少傾向にある。また、石炭火力発電、LNG発電等へのシフトにより、火カ発電用C重油需要が大きく減少している。このような状況により、1994年度以降、C重油の需要は2004年度まで減少傾向にあり、A重油については、2,800万klから3,000万klの範囲で推移している。
 表1および図2に油種別燃料油販売量の推移を示す。
 他方で、原油を精製することによって得られる各石油製品の収率は、原油および各石油製品の化学的成分、精製設備の構成によって規定されることから、上記のような需要の構造的変化に対応して、重油を中間留分に変換する設備(分解設備)の増設が従来から進められてきた。二次精製能力の一次精製能力に対する割合は、2000年1月の時点で34.5%であり、欧米主要国における水準(40%〜70%)と比較して、なお低い水準である(表2)。上記のような需要の構造的変化は今後も続くものと考えられ、原油の重質化とも相まって、分解設備の導入が今後十分に進まない場合、国内市場の需要面と供給面における石油製品のバランスにミスマッチが生じる可能性がある。
3.石油製品需要の今後の見通し
 2004年度の燃料油需給実績をみると、国内販売は需要全体ピーク時の1995年度と比べて約3.3%減少し、輸出も約11.1%減少、需要全体では6.1%の減少となっている。1995年度以来、国内販売の85%〜87%を国内生産で賄っている。日本の石油製品供給体制は、今後とも原油を輸入して、国内で精製する消費地精製方式を基本とする方針に変わりはなく、国際化への対応などからも石油製品の輸入とのベストミックスを図り、弾力的な供給体制を構築することが重要な課題といえる(表3)。
・2005−2009年度石油製品需要見通し国内需要
 2005年度の石油製品国内需要は、自動車保有台数の増加等によるガソリンの増加、および灯油の増加が見込まれる一方、ナフサ、軽油、重油の減少が見込まれるため、燃料油計で約2億3,250万kl、対前年度比−1.3%となる見通し。2005年度以降は、引き続きガソリンの増加が見込まれるが、輸送合理化等による軽油の減少およびB−C重油の減少が見込まれ、2009年度では燃料油計で約2億2,340万kl、2004年度から2009年度までの年平均伸び率は−1.0%となる見通しである(表4)。
 また、2005年度の石油ガス国内需要は、家庭業務用需要の増加等により家庭業務用が堅調に伸びるため、全体で約1,880万トン、対前年度比+0.9%となる見通し。2006年度以降は、引き続き家庭業務用等の増加に伴い、2009年度では1,886万トン、2004年度から2009年度までの年平均伸び率は+1.1%となる見通しである(表5)。
<図/表>
表1 油種別燃料油販売量の推移
表2 主要国の精製設備状況(2002年1月1日現在)
表3 石油製品の需給推移
表4 2005年〜2009年度石油製品需要見通し(総括表)
表5 2005年〜2009年度液化石油ガス需要見通し
図1 一般的な潤滑油製造工程
図2 油種別燃料油販売量の推移

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<関連タイトル>
日本における石油の安定供給対策 (01-09-03-02)
日本の短期、中期の石油供給計画(1999〜2003年度) (01-09-03-03)
日本の石油エネルギー政策 (01-09-03-05)

<参考文献>
(1) 石油資料 平成17年、石油通信社(2005年9月)
(2) 日石三菱株式会社(編):石油便覧 2000、株式会社燃料油脂新聞社(2000年3月)
(2) 資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月)
(4) 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット(編):2006エネルギー・経済統計要覧、(財)省エネルギーセンター(2006年2月)
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