<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 石油政策
<タイトル>
日本における石油の安定供給対策 (01-09-03-02)

<概要>
 わが国は二度にわたる石油危機の経験を生かして、エネルギーの安定供給を確保するため各種の対策をとるようになった。第一には、石油代替エネルギー開発導入が進められている。さらに、石油危機を予防するための国際的な協調が進められている。新エネルギー開発、省エネルギーの推進である。第二には、石油の安定供給の確保のための石油備蓄、油田の自主開発に取り組むことも重要である。
<更新年月>
2005年04月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.基本的考え方
 1997年秋の「昨今の環境変化を踏まえた今後の石油政策の基本的な在り方如何。」との通産大臣(現経済産業大臣)からの諮問を受け、石油審議会(現総合資源エネルギー調査会石油分科会)石油部会基本政策小委員会での審議が開始され、今後の石油政策の基本的な考え方、これを踏まえた精製業を巡る制度の在り方が検討され、1998年6月に報告書(答申)が出された。この中で、安定供給の確保、効率性の向上を環境保全を石油政策の基本とし、安定供給の確保について以下のように述べられている。
(1)これまでの政策
 大幅な供給不足が実際に生じた場合への対応に重点を置いて、備蓄、自主開発、産油国協力などの施策を実施してきた。また、法的措置を含めた緊急時対応プログラムを整備。平時においても、需給調整規制などによる事業活動への公的関与を実施してきた。石油開発の現状を表1に、石油備蓄の現状を表2に示す。
(2)国際石油市場の発達とその評価
 1980年代以降の国際石油市場の発達は、石油の政治商品性の相対的低下、世界各地域での石油需給・石油価格の結びつきの強化を意味する。地域紛争等により生じた供給減少の影響が、市場全体に分散化して波及することが期待され、世界有数の経済力を有するわが国にとって、安定供給上好ましい。他方で、国際石油市場からの調達ができなくなるおそれは払拭できない。
(3)今後の政策展開
 備蓄、開発などによる供給余力の確保、供給源の多様化等は、国際石油市場の発達を促す上で有意義である。また、公的関与の縮小・廃止などにより、国際石油市場との結びつきを引き続いて確保することが必要であり、一方、地域紛争等による供給減少時には、初期段階から適切な対応策により市場機能を補完することが重要である。また、石油市場が機能しない事態に至る可能性も否定できず、最悪の事態に備えることは依然として重要である。
2.具体的施策
2.1 石油の自主開発
 石油の自主開発が円滑に行われるためには、民間経営者が明確に責任をもち、巨額の資金、高度な技術力とそれを扱いうる十分な数の技術者を保有し、かつ、開発された原油が確実に引き取られることが必要であり、これらは、次のように進めていくこととしている。
(1)民間経営者の明確な責任体制の確立
 石油開発企業においてとなりうるような株主(会社)を育成し、その株主が最後までプロジェクトを責任をもって推進できるような体制をつくることが必要である。
(2)資金
 石油の探鉱、開発に巨額の資金が必要なことはよく知られているが、現在、探鉱段階においては(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)による探鉱投融資、開発段階においては日本輸出入銀行による開発融資および(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)による債務保証により資金的な助成が行われている。2000年8月の石油審議会(現総合資源エネルギー調査会石油分科会)開発部会基本政策小委員会中間報告では、今後の資金面における支援のあり方が、当面5年間、6年目から10年目、11年目以降各々について提言されている。
(3)技術力と人材
 今後自主開発を円滑に進めていくためには、関連技術も含めた石油開発技術の強化および事業規模に見合うだけの優秀な人材の育成が必要である。この場合、わが国の石油開発企業がいまだ資金的な基盤が弱いことなどから考えて、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)の組織、機能を最大限に活用するとともに、必要に応じその強化を図っていくことが必要である。
 わが国の主要石油開発企業の海外石油開発事業地域を図1-1図1-2に示す。
2.2 石油備蓄の増強
(1)民間備蓄
 石油備蓄の非営利的性格、巨額の資金負担、立地の困難性等にかんがみ、政府として十分な財政、金融上の借置を講ずる必要があるとの考え方に基づき、石油備蓄法に基づいて民間石油企業に備蓄を義務づける一方で、これを円滑に進めるため、さまざまな助成策が講じられてきた。おもなものは以下のとおりである。
 1)備蓄石油購入資金に対する低利融資
 2)石油貯蔵施設に対する長期低利融資、このほかに「共同備蓄会社」の制度もある。
 なお、備蓄義務量については、1981年度から1988年度にかけて90日の備蓄義務を維持してきたところであるが、1989年度以降、それを段階的に軽減し1993年度において目標水準である70日備蓄義務とし、1999年度においても引き続き70日を維持している。1999年3月末現在、79日分(4,390万kl、製品ベース)である。
(2)国家備蓄
 わが国の脆弱なエネルギー供給構造をみるならば、さらに備蓄の増強が必要である。そこで、備蓄の増強については、民間に負担を課すことなく、国自らが備蓄を行うことが必要となった。このため、1977年度から(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)による国家備蓄を開始し、1983年度から基地の一部完成にともない備蓄を開始し、1988年度末に、当初目標である3,000万klの原油備蓄を達成した。さらに、1987年11月の総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)、石油審議会(現総合資源エネルギー調査会石油分科会)の石油備蓄小委員会報告を踏まえ、5,000万klを新たな目標に備蓄の増強を進め、これを1998年2月に達成した。2004年3月末現在、88日分(5,098万kl、原油)である。
(3)緊急時対応
 備蓄を含めた緊急時対応については、石油審議会(現総合資源エネルギー調査会石油分科会)・石油部会・石油備蓄・緊急時対策小委員会が1999年8月に報告書をまとめ、緊急時に備えた平時からの条件整備が必要とされている。なお、「石油の備蓄の確保のための精油備蓄法等の一部を改正する等の法律案」が2001年6月に公布され、2002年1月に施行された。
2.3 国際協力の推進
 石油の安定供給の確保を図るためには、多角的・多重的な国際協力を推進していく必要がある。まず、産油国と消費国が石油を中心とするエネルギー情勢等を中心として、共通の認識をもつことが重要である。このような認識から、1982年5月のIEA国際エネルギー機関)閣僚理事会において、わが国は産油国と消費国の意見交換をいっそう強化していくことの重要性を指摘した。これに対し各国も基本的な賛意を示し、コミュニケにもその趣旨が盛り込まれた。わが国は、今後とも産・消間の意見交換の促進に積極的な役割を果たしていく必要がある。先進消費国間においては、すでにわが国も加盟している国際エネルギー機関等を通じ、代替エネルギーの開発、省エネルギー、新たな地域での石油の共同開発、国際緊急融通制度などにつき、協調を深める必要がある。
 しかしながら、わが国にとって最も重要な課題は、やはり産油国との関係強化である。今後わが国が原油の安定供給の確保を図るためには、産油国との経済協力が重要になってくる。特に、G-G原油、DD原油、自主開発原油の拡大のためには、産油国との経済協力により産油国との関係の緊密化を図ることが重要な要素となっており、必要に応じ、工業開発プロジェクトに対する推進体制の整備を行うなどの措置を講ずる必要がある。
 2000年7月、総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)総合部会に設置されたエネルギーセキュリティワーキンググループは、国際情勢の変化によるリスクとエネルギーセキュリティー確保のあり方を検討し、情報収集・分析評価体制の強化、アジア石油セキュリティ・イニシアティブの推進等の必要性を指摘している。
2.4 技術開発の推進
 石油精製・利用高度化事業、液体燃料転換技術開発事業、石油産業活性化技術開発事業、新燃料油研究開発調査事業が進められている。
2.5 石油流通体制の整備
 揮発油、灯油、LPG等について、品質確保法を施行し、流通対策を推進するなどの施策を実施している。
<図/表>
表1 日本の石油開発の現状
表2 日本の石油備蓄の現状
図1-1 わが国の主要石油開発企業の海外石油開発事業地域(1/2)
図1-2 わが国の主要石油開発企業の海外石油開発事業地域(2/2)

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<関連タイトル>
石油危機と日本 (01-02-03-04)
長期エネルギー需給見通し(1998年6月・総合エネルギー調査会需給部会) (01-09-09-05)

<参考文献>
(1) 資源エネルギー庁(監修):2003/2004 資源エネルギー年鑑、通産資料調査会(2003年1月)、p.350-362
(2) 通商産業省資源エネルギー庁石油部(監修):平成11年「石油資料」、(株)石油通信社(1999年8月)、p.365-368
(3) 資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月)、p.98-104
(4)経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部(監修):平成16年「石油資料」、(株)石油通信社(2004年9月)p.7-8
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