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<概要>
 2005年はエネルギーセキュリティの確保および地球温暖化の防止の観点から世界的に原子力が見直される年であった。国内的には原子力政策大綱が策定された。また、六ヶ所再処理工場のウラン試験の進捗、MOX燃料加工工場や使用済み燃料中間貯蔵施設の立地決定、さらに、「もんじゅ」の改造工事が開始された。国際熱核融合実験炉計画(ITER)については、本体をフランスのカダラッシュ、国際核融合エネルギー研究センターを青森県六ヶ所村に建設することが決定した。原子力関係機関の改革では、日本原子力研究開発機構が発足した。海外では、米国において再処理路線への復帰の兆しが現われた。また、IAEAとエルバラダイ事務局長がノーベル平和賞を受賞した。
<更新年月>
2006年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>

1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
2005年
(平成17年)
1/16   中国核工業総公司(CNCC)が2020年を目処にFBR原型炉を建設するとの計画を表明
1/18 中部電力・浜岡原子力発電所5号機(ABWR、138万kW)が営業運転開始  
1/20   ブッシュ大統領がエネルギー政策で原子力拡大を表明
1/24 東北電力・東通原子力発電所1号機(BWR、110万kW)が初臨界達成  
1/28 中部電力が浜岡原子力発電所の耐震裕度向上工事実施を発表  
2/7 核燃料サイクル開発機構が福井県知事と敦賀市長から「もんじゅ」の改造工事に対する事前了解を得る  
2/8 文部科学省が米国DOEと革新的原子力技術の研究開発協力で取決めを締結  
2/10   北朝鮮スポークスマンが核兵器製造を初めて公式に表明
2/16   京都議定書がロシアの批准(2004年11月)により発効
2/17   フィンランド政府、TVO社に欧州加圧水型炉EPRであるオルキルオト3号機(170万kW)の建設認可を発給
2/23 総合資源エネルギー調査会が「2030年エネルギー需給展望」をとりまとめ  
2/25   米国NRC、ウェスティングハウス社に対し、中国へのAP-1000炉輸出を認可
2/26 OECD/NEAとIAEAによる安全管理ワークショップ開催(原子力保安院、28日まで)  
2/28   第四世代国際フォーラムに参加する米、仏、英、日、加が第四世代炉研究開発の協力枠組協定に調印
3/1 関西電力、三菱重工業が経済産業省に美浜発電所3号機蒸気噴出事故に関する報告書と再発防止策を提出  
3/3   米国NRC、デュークエナジー社のカトーバ1号機(PWR112.9万kW)へのMOX燃料の試験装荷を認可(米国初)
3/4 原子力委員会、04年版原子力白書をとりまとめ(閣議配布)  
3/6   インド、タラプール4号機が初臨界
3/21   IAEA閣僚級会合が「21世紀のための原子力発電」声明を発表
3/28 日本原燃、六ケ所再処理工場の竣工期を07年5月に変更  
3/30 原子力保安院、美浜3号機二次系配管破損事故最終報告を中川経済産業相に提出  
4/1 電力系統利用協議会と日本卸電力取引所が本格的に業務を開始 英国原子力廃止措置期間(NDA)が発足
4/10   中国と南アフリカが高温ガス炉について協力覚書に調印
4/13 日本原子力技術協会が発足(初代理事長:石川迪夫氏)  
4/18   英国セラフィールドの酸化物燃料再処理工場でセル配管内からの硝酸溶液漏洩事故
4/19 青森県、六ケ所村と日本原燃、MOX燃料加工工場の立地協力基本協定書に調印  
4/20 日本原燃、経済産業省にMOX燃料加工事業の許可申請  
4/26 経産省、中国電力島根3号機の設置許可
北陸電力志賀2号機、試験運転開始
 
4/28   PBMR社、ウーデ社とPBMR燃料の燃料加工パイロット工場の設計、建設およびコールド試験契約に調印
5/9   米国デュークエナージー社、シナジー社合併で合意
5/10 原子力安全委員会、04年版原子力安全白書をまとめる(閣議配布)  
5/11   独オブリッヒハイム原子力発電所、段階的停止政策により閉鎖
5/13 バックエンド積立金法、改正原子炉党規制法、参院にて可決、成立  
5/26 北陸電力志賀2号機が初臨界達成  
5/27 04年度エネルギー白書公表(閣議決定) NPT会議、まとまらずに閉会
5/30 最高裁、「もんじゅ」の設置許可をめぐる行政訴訟の上告審で控訴を棄却、国側の勝訴確定  
5/31   スウェーデン、バーセベック2号機が閉鎖
6/4   インド、タラプール4号機が送電開始
6/9 日本原燃使用済み燃料受入れ・貯蔵建家内のバーナブルポイズン取扱いピットから出水  
6/10 05年版科学技術白書まとまる(閣議決定)  
6/13   IAEA理事会、エルバラダイ事務局長を三選
6/28 ITER閣僚級会合(モスクワ)で本体建設は仏カダラッシュに関連施設を六ケ所村に建設することを決定 米国上院、エネルギー政策法案を可決
6/30   米国DOE、北京事務所開設で中国と合意
7/1 原子力保安院、美浜、敦賀、大飯、高浜の4検査官事務所を統括する「若狭地域原子力安全統括管理官」新設 BNFL社がウェスティングハウス社の売却を表明
7/4   IAEA、核物質防護条約の検討・改正会議を開催(ウィーン、~8日)従来の国際輸送から国内全般に拡大する改正案を採択
7/6   G8サミット、高い核拡散抵抗性高度技術について声明
7/7 経産省総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の下に原子力部会を移管することを決定  
7/25 関西電力、原子力事業本部を福井に移転  
7/26   米国両院、2005年エネルギー政策法を採択
7/30 東北電力東通1号機が電気出力100%を達成  
8/8 原研と高エネ研がJ-PARCに関して基本協力協定を締結 ブッシュ米大統領がエネルギー政策法に署名
8/16 東北電力・女川1~3号機が宮城県沖地震で自動停止  
8/26 日本原子力産業協会「原子動力研究会」が40年あまりの歴史に幕  
8/30   米国GE社が150万kW級のESBWR設計認証のNRC申請を表明
8/31 原子力保安院が「実用発電用原子炉施設における高経年化対策の充実」をとりまとめ  
9/1 核燃料サイクル機構、「もんじゅ」の改造工事に着手(08年再開を目指す) 米国NRCが新規許認可対応で改組
9/2   六者協議で北朝鮮の核計画放棄が合意される
9/7 経済産業省、九州電力・玄海3号機のプルサーマルを認可  
9/15 小泉首相、核テロ防止条約に署名  
9/26   IAEA総会が開幕
9/29 文部科学省ITER計画推進検討会が「我が国で実施すべき幅広いアプローチのプロジェクト」をとりまとめ  
10/1 原研とサイクル機構が統合し「日本原子力研究開発機構」が発足、理事長に殿塚氏が就任  
10/7   IAEAとエルバラダイ事務局長のノーベル平和賞受賞が決定
10/11 経済産業省、バックエンド積立金法に基づき、資金管理法人に原子力環境整備促進・資金管理センターを指定  
10/14 原子力政策大綱が閣議決定 IAEA、ノーベル省の賞金により途上国向け特別基金の設置を決定
10/19 東京電力、日本原電が青森県、むつ市と中間貯蔵施設に関する協定に調印  
10/24   IAEA理事会、イラン非難決議案を可決
10/26   米国、IAEA/INPOへの加盟を表明
国連総会で核廃絶決議案(日本提出)採択
10/27   米国コンステレーション・エナージー社、160万kW級の米版EPRでNRC許認可申請を表明
10/28 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」が閣議決定  
10/31 第三次小泉内閣が発足  
11/1 原子力委員会、「今後の核融合研究開発の推進方策」を決定
日本原燃、再処理施設ウラン試験報告書(その1)を保安院に提出
 
11/3   韓国、中低レベル処分場の立地を住民投票により慶州に決定
11/7 ITER機構長に池田要クロアチア大使が選出される  
11/8   米国議会06年度原子力予算を承認
11/9 政府主催原子力総合防災訓練が東電刈羽4号機を対象に実施される  
11/18   米国NRCがフンボルトベイ発電所サイトに使用済み燃料貯蔵施設を認可
11/21 使用済燃料貯蔵・管理を行う「リサイクル燃料貯蔵(株)」がむつ市に設立  
11/22   朝鮮半島エネルギー開発機構理事会、北朝鮮への軽水炉提供事業停止決定
11/28   COP-11と京都議定書会合がカナダにて開催
12/1 FNCA大臣級会合が開催  
12/5 原子力保安院、関西電力美浜3号機の使用停止を解除  
12/8 東北電力東通原子力発電所1号機が営業運転開始  
12/10   IAEAおよびエルバラダイ事務局長にノーベル平和賞授与
12/30   米国NRC、ウェスティングハウス社のAP-1000炉に最終設計認証を与える




2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
2005年
(平成17年)
2/17 中部国際空港(愛知県常滑市)が開港(民間会社による初の国際空港)  
3/20 午前10時53分頃、福岡市北西約20kmの玄界灘を震源とする震度6弱の地震発生  
3/24 日本国際博覧会(愛知万博、愛称:愛・地球博)開会  
4/25 午前9時18分、JR宝塚線の尼崎ー塚口駅間で宝塚発同志社前域の快速電車の前5両が脱線  
5/17 気象庁、ウェブサイトで紫外線情報の提供を開始  
6/1 政府提唱の省エネ対策「夏のビジネス軽装(愛称:クールビズ)」が始まる  
7/14 知床、世界自然遺産に登録、海域を含む登録は初めて  
8/16 午前11時46分頃、宮城県沖を震源とする強い地震発生、宮城県川崎町で深度6弱  
8/24 茨城県つくば市と東京都秋葉原を結ぶつくばエクスプレス(58.3km)が運行開始  
9/25 愛知万博閉幕(会期185日、入場者2204万人)  
11/26 探査機「はやぶさ」、小惑星イトカワに2度目の着陸成功(2007年6月帰還予定)  
12/22 鹿児島で11cmの積雪、12月としては88年ぶりに記録更新
北陸など日本海側を中心に全国的に記録的な大雪となり、新潟、関西などで大規模な停電
 

<関連タイトル>
2004年(平成16年) (17-01-07-05)

<参考文献>
(1)日本原子力産業協会(監修)、原子力年鑑編集委員会(編):原子力年鑑2007、日刊工業新聞社(2006年10月)、p.375-379
(2)日本原子力産業会議:原子力産業新聞、第2312号(2005年12月15日)
(3)東京反核医師の会ホームページ:核兵器年表 2001-2005
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