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<概要>
 2001年1月の中央省庁の再編に伴い、原子力安全委員会が内閣府に移管され事務局体制が強化された。また、経済産業省にエネルギー利用に関する安全規制を所掌する「原子力安全・保安院」が設立されるとともに、文部科学省に科学技術に関する安全規制を所掌する部局が整備された。日本原子力発電(株)は、10月経済産業省に東海発電所の解体届けを提出、廃止措置にともなう第一期工事を開始した。12月、特殊法人等の整理合理化計画が閣議決定され、原研(現日本原子力研究開発機構)およびサイクル機構(現日本原子力研究開発機構)は統合して、新しい独立行政法人となることになった。
 海外では、3月、米国DOEエネルギー情報局は、2020年までに世界のエネルギー消費を予測した「国際エネルギー予測2001」を発表し、この中で途上国を中心に原子力が拡大すると分析した。3月末、米国NRCは新規原子力発電所に向けた許認可手続きを簡素化するため、「将来認可プロジェクト機構(FLPO)」の創設を発表した。5月、フィンランド議会は、使用済み燃料の最終処分場建設計画を圧倒的多数で承認した。米国DOEも高レベル放射性廃棄物地層処分に関するユッカマウンテン計画を着実に進めている。スウェーデンでは使用済み燃料最終処分場の3候補地での地質調査が開始されようとしている。7月、米国主導による「第四世代原子炉国際フォーラム(GIF)」が発足した。
<更新年月>
2004年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>

1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
2001年
(平成13年)
1/3 電力9社と原電、イギリス原子燃料会社(BNFL)とフランス核燃料公社(COGEMA)と輸送容器管理の強化を盛り込んだ契約を締結 UKAEAのナトリウム処分施設が完成
1/6 中央省庁再編に伴う一府12省庁が発足  
1/16   ドイツのブレーメン・エネルギー研究所、スイス国内で運転中の5基の原子力発電所を閉鎖する場合の代替エネルギー開発費用を約4兆円と試算
1/26 森卓朗川内市長、九州電力・川内3号機増設に関わる環境影響調査の実施に同意  
1/31 東京電力、使用済み燃料の中間貯蔵施設の立地で、青森県むつ市に調査所を開設 NRC、南アフリカで開発が進められているぺブル・ベッドタイプのモジュール型高温ガス炉(PBMR)の国内導入に備え、原子力発電事業最大手のエクセロン社から事情聴取▼フランス・フラマトム社とドイツ・シーメンス社、両者の原子力部門を統合した「フラマトムANP社」の設立文書に署名

◇アメリカの2000年の原子力発電電力量は前年より3.7%増の7,550億kWhとなり過去最高を記録。設備利用率も2.8ポイント上昇し89.6%を達成

◇フランスの2000年の原子力発電電力量は前年より5.4ポイント上回る3,950億kWhと過去最高を記録。電力輸出も7.2%増の773億kWhに

◇ドイツの2000年の原子力発電電力量は1,697億kWh。97年に過去最高を記録した1,704億kWhにわずかに及ばず

◇スイスの2000年の原子力発電電力量は、過去最高だった98年を2.5%上回る250億530kWhを記録

◇ベルギーの2000年の原子力発電電力量は前年より11億9,000万kWh少ない458億1,000万kWhとなった。原子力のシェアは55.3%に

◇スペインの2000年の原子力発電電力量は前年より32億kWh多い622億kWhと過去最高を記録

◇フィンランドの2000年の原子力発電電力量は前年より4億3,000万kWh少ない219億7,000万kWhに

◇韓国の2000年の原子力発電電力量は前年比11.9%増の1,089億6,000万kWhと全電力量の40.9%を占めた

◇ロシアの2000年の原子力発電電力量は前年より197億kWh多い1,306kWhとなり、初めて旧ソ連時代の実績を超えた

◇ウクライナの2000年の原子力発電電力量は前年実績より7.3ポイント増の773億5,500万kWhと全電力の45.3%を占めた

◇アルメニアの2000年の原子力発電電力量は前年より2.56ポイント減の18億4,000万kWhに

◇ルーマニアの2000年の原子力発電電力量は前年より7億kWh増の55億kWhに

◇ハンガリーの2000年の原子力発電電力量は前年より8,300万kWh増の141億7,900万kWhとなり、原子力のシェアは40.6%に

◇チェコの2000年の原子力発電電力量は前年より2億3,100万kWh増の135億8,800万kWhに
2/7   EC、フランス電力公社(EDF)がドイツ4番目の電力会社であるエネルギー・バーデン・ビュルテンベルグの株式34%を取得することを承認
2/8 種市健東京電力副社長、計画中の新規電源開発を原則として3~5年凍結すると発表  
2/13   台湾の張俊雄行政院長(首相)と正金平立法院長(国会議長)、第四原子力発電所の建設続行で合意
2/16 原産とベトナム原子力委、2001年の協力実施基本計画に合意  
2/19 電事連、初の地方開催となる総合政策委員を青森市と六ケ所村で開催 韓国政府、韓国電力公社を2003年までに5社に分割・民営化する計画を発表
2/22 原子力安全委員会、2回目の地方開催を横浜で開催  
3/2   NRC、MOX燃料製造施設の建設申請をDOEから受けたと発表
3/12 原子力安全研究協会、低線量の健康影響疫学調査でシンポジウム開催 中国、第9期全国人民代表者会議(全人代)、エネルギー需要が急増している南東沿岸部の原子力3プロジェクトを承認
3/13   ロシア原子力省(MINATOM)のアダモフ大臣、地域代表との会合で、海上浮上式原子力発電所を建造する計画を表明
3/19   DOEのエイブラハム長官、「今後20年間にアメリカは深刻なエネルギー危機に直面する恐れがある」とする警告
3/27 現場重視が安全確保の基本とする2000年度原子力安全白書を発表  
3/28   DOEエネルギー情報局、2020年までに世界のエネルギー消費を予測した「国際エネルギー予測2001」を発表。途上国を中心に原子力が拡大を分析
3/30   NRC、新規原子力発電所に向けた許認可手続きを簡素化するため、「将来認可プロジェクト機構(FLPO)」の創設を発表
4/5 経済産業省、原子炉1基当たりのトラブルは0.5件とする2000年度の故障実態を発表  
4/10   フランス・フラマトム社、2000年の売り上げ高が前年実績より18.5%増の49億8,000万ユーロになったと発表
4/18 原産、アジア地域で原子力発電開発が活発化しているとする2000年末の「世界の原子力発電開発の動向」を発表▼刈羽村議会、東京電力・柏崎刈羽原子力発電所でのプルサーマル計画実施の賛否を問う住民投票条例案を賛成9、反対6で可決  
4/24 「21世紀の原子力」をテーマに34回原産年次大会が青森県で開催  
4/25 原産、ベトナムのハノイで「原子力平和利用展示会」を開催  
4/26 小泉純一郎内閣が発足、文科大臣に遠山敦子氏、経産大臣に平沼赳夫氏  
5/1   OECD/NEA、加盟国における原子力発電の将来展望で報告書を発表
5/3   IAEA、世界で運転中の原子炉は438基とする2000年末現在の原子力発電所の状況を発表
5/4   DOE、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関するユッカマウンテン計画のサイト特性の報告書を公表
5/10   ウラン協会、カナダで開催した定例会合で、名称を世界原子力協会(WNA)と変更
5/11 全国原子力発電所所在市町村協議会(会長・河瀬一治敦賀市長)、定例総会でプルサーマルの円滑な実施や防災対策の実効性向上等を国に要望  
5/16 総合エネルギー調査会・電源開発分科会、中国電力、上関1・2号機を承認、国の電源開発基本計画に正式組み入れ IEA閣僚理事会、原子力利用拡大を含めた共同コミュニケを採択
5/17 原子力安全委、「原点からの原子力安全への取り組み」をテーマに札幌市で第3回地方原子力安全委員会を開催 アメリカ・ブッシュ大統領、積極的な原子力発言導入を盛り込んだ国家エネルギー政策を発表
5/18   フィンランド議会、使用済み燃料の最終処分場建設計画を賛成159、反対3の圧倒的多数で承認
5/27 東京電力・柏崎刈羽3号機でのプルサーマル計画実施に対する賛否を問う刈羽村の住民投票で、反対が過半数を超える1,925票を獲得  
6/6   アメリカ環境保護庁、ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物に採用する放射線防護基準を発表
6/11   ドイツ連邦政府と4電力会社、原子力発電廃止に関する取り決めで正式署名
6/22   スイス原子力協会、ツヴィラーグ放射性廃棄物中間貯蔵施設が本格操業開始と発表
6/25   イギリス・ブレア首相、2050年頃までを展望した長期エネルギー政策の検討を表明
6/27   原子力持ち株会社TOPCO設立でフランス原子力庁(CEA)、COGEMA、フラマトム社が最終合意
6/28   フランス政府の委託を受けた専門家チーム、ラアーグ周辺での白血病調査で、「急激な人口流入」を示唆
6/29 原環機構、フィンランドの使用済み燃料最終処分実施主体であるポシバ社と技術協力協定を締結  
7/9 福井県議会、核燃料税を11月から税率10%(現行7%)に引き上げる条例を可決 DOEエイブラハム長官とCEAコロンバニ長官、第四世代炉の共同研究で署名
7/11   ロシア・プーチン大統領、国際再処理事業を可能とする三法案に署名
7/23   アメリカ主導による「第四世代原子炉国際フォーラム(GIF)」発足へ
7/27 ITER(国際熱核融合実験炉)の国内誘致提案が締め切られ、北海道、青森県ならびに茨城県の3道県が提案書を文科省に提出  
7/31   EC、「原子力は化石燃料よりも安価」とする電源別コスト試算を発表
8/7 木元教子原子力委員、運営方法に疑問を呈し休職へ  
8/8   オーストラリアとハンガリー、原子力の平和利用と核物質輸送に関する二国間協定を締結
8/17 三菱重工業(株)、南アフリカ共和国のPBMR社より、小型高温ガス原子炉(PBMR)のヘリウムガス・タービン機に関するFS(可能性調査)実施の内示を受けたと発表  
8/21 南直哉・電気事業連合会会長、平沼赳夫・経済産業相にプルサーマル計画推進に向けた積極的な国民合意促進活動などを盛り込んだ中間報告を提出 DOE、ネバダ州ユッカマウンテンのサイト適正予備評価報告書でEPA(環境保護庁)の防護基準を満たすことができると発表
8/24 日本原燃(株)、MOX燃料加工工場建設に向け、青森県と六ケ所村に立地協力を要請 インドネシア、ジョグジャカルタ市に大統領令に基づいた原子力工科大学を設立
9/5 日英両原産、「第10回日英原子力産業会談」をロンドンで開催。両国産業界の協力を確認  
9/7 「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」に基づいた第1回原子力立地会議(議長:小泉純一郎首相)に、福井、島根両県の関係市町村を「原子力発電施設等立地地域」に指定  
9/10   ロシア・カシノフ首相、国内の原子力発電関連企業を単一企業体に再編する政令に署名
9/11   アメリカで同時多発テロ事件が発生
9/17 原子力安全委員会、高レベル放射性廃棄物処分の安全確保を技術的側面から審議する「特定放射性廃棄物処分安全調査会」の設置を決定  
9/20 原子力安全・保安院、核燃料加工施設および再処理施設に対しても「定期安全レビュー」を実施すると事業者に通知  
9/21   IAEA総会、核物質防護の強化を決議
9/30 核燃料サイクル開発機構(サイクル機構)、「施行令」に基づきウラン濃縮技術開発を終了  
10/3   英国政府、BNFL(イギリス原子燃料会社)に対しセラフイールドMOX加工工場の本格操業を承認
10/4 日本原子力発電(株)、経産省に東海発電所の解体届けを提出 スイス・ニトバルデン州議会、ベレンベルグにあるNAGRA(スイス放射性廃棄物管理共同組合)低中レベル廃棄物処分のための地下研究所の建設を承認
10/11 美浜町商工会など8団体、大和茂美浜町議会議長に対し、関電・美浜発電所の増設を要望する請願書を提出  
10/18   OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)、スロベニアがOECD非加盟国としては初の「原子力の分野における第三者責任に関する条約(パリ条約)」に加盟したと発表
10/23 中国電力・島根原子力発電所、国内原発初の「ISO9001」の認証を取得  
10/27 オフサイトセンターを利用した初の原子力総合防災訓練を北海道電力・泊原子力発電所1号機で実施  
11/1 原子力安全・保安院、原電・東海発電所の解体届について、「問題はない」と通知 スウェーデン環境相、使用済み燃料最終処分場の3サイト候補地での地質調査を許可
11/2   ドイツ・シーメンス社、ハナウMOX加工施設のロシアへの輸出を断念、解体撤去すると発表
11/8,9   カナダ・トロントにてITER(国際熱核融合実験炉)計画の第一回政府間協議を開催
11/10   COP7(気候変動枠組条約第7回締約国会議)、京都議定書運用の細目を決めた法的文書、で最終合意
11/23   オーストラリア政府、ハネムーン・ウラン鉱山の操業を許可
11/29   原子力委員会主催によるアジア原子力協力フォーラム(FNCA)第二回本会合を東京で開催
  チェコとオーストリア、テメリン発電所をめぐる「メルク協議」に合意
12/4 原電、東海発電所の廃止措置にともなう第一期工事開始 スウェーデン・エスタマル市、フォルスマルク地区での最終処分場の地質調査受け入れを正式決定
12/7 日本原子力研究所(原研)のHTTR(高温工学試験研究炉)、フル出力達成。850度のヘリウムガスの取り出しに成功  
12/14   ドイツの改正原子力法案が連邦議会・下院で可決
12/19 特殊法人等の整理合理化計画が閣議決定。原研およびサイクル機構を廃止した上で統合、独立行政法人化へ DOE、ハンフォードにある高速増殖試験炉FFTFの永久閉鎖を発表
12/21 美浜町議会、関西電力・美浜発電所の増設を求める請願・陳情を採択  



2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
2001年
(平成13年)
1/6 中央省庁再編に伴う一府12省庁が発足。  
2/9   米ハワイ沖で実習船えひめ丸が米海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没。
4/26 小泉純一郎内閣が発足、文科大臣に遠山敦子氏、経産大臣に平沼赳夫氏。  
9/10 農水省は千葉県内の酪農場から、狂牛病(牛海綿状脳症)に感染した疑いのある乳牛1頭を確認と発表。  
9/11   アメリカで同時多発テロ事件が発生し、ニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊。
10/10 野依良治・名古屋大学教授がノーベル化学賞受賞。  
12/22 海上保安庁の巡視船が、奄美大島近海で武装不審船と交戦。不審船は沈没。  

<関連タイトル>
2000年(平成12年) (17-01-07-01)

<参考文献>
(1)日本原子力産業会議:原子力年表、原子力年鑑2003年版(2002年11月)
(2)日本原子力産業会議:原子力ポケットブック2002年版(2002年11月)
(3)原子力安全委員会(編):平成13年版 原子力安全白書、財務省印刷局(2002年5月)
(4)集英社:イミダス imidas2002、imidas2003
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