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<概要>
 旧ソ連では、オブニンスク、ベロヤルスクなど黒鉛減速沸騰軽水冷却炉を発展させて、レニングラードに始まるRBMK-1000(1,000MWe)型原子炉を建設し、引き続きクールスク、チェルノブイル(現在ウクライナ)、スモレンスク原子力発電所を建設し運転している。またRBMK-1500(1,500MWe)型原子炉としてイグナリーナ原子力発電所(現在リトアニア)も建設し運転している。
<更新年月>
1998年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.チャンネル型黒鉛減速沸騰軽水冷却炉(RBMK型)の開発
 RBMK型は黒鉛減速炉で、濃縮ウランを使用している。燃料集合体圧力管の中にあり、この圧力管には沸騰水が流れ、炉心で発生した熱を除去する。旧ソ連は研究開発時期を経て最初の原子力発電所オブニンスク(5,000KWe)が1954年5月に臨界を達成した。これに引き続き1958年にはベロヤルスク1号炉(108MWe)が建設を開始して1963年に臨界を達成した。また1962年には同2号炉(194MWe)が建設を開始し1967年に臨界を達成した。この経験がRBMK型を2基づつ建設する基礎となった。
 ベロヤルスク原子力発電所は、ウラル地方の工業都市スベルドロフスクの東約50kmにあるベロヤルスク人工湖の東岸に位置している。

2.RBMK-1000(1,000MWe)とRBMK-1500(1,500MWe)
 RBMK−1000型原子力発電所の場合、1,000MWe×2基が一つのユニットになっているが、これはベロヤルスク1、2号の経験をもとにこの様な構成になったのである。発電機室は500MWeの発電機が4基据え付けられている。原子炉室は別々で、それぞれの原子炉に原子炉制御室、燃料取替機、燃料移送系室がある。
 RBMK-1500も同様の構成となっている。また、RBMK型原子炉のタービン発電機室を含めた建物構成は火力発電所の建物構成と非常によく似ている。
 RBMK-1500は、RBMK-1000と同様に黒鉛減速炉で、単基容量の増大は原子炉と冷却材の循環回路の設計変更を最小限に押え、燃料集合体の構造を改良することによりRBMK-1000とほとんど同じ大きさとすることができた。燃料集合体には、その最大許容出力を1.5倍増大させる熱交換強化装置を導入し、またドラム型蒸気分離器を若干改良した。
  表1 にベロヤルスク1、2号及びRBMK-1000、RBMK-1500の特性を示した。

3.チェルノブイル事故によるRBMK型原子炉の改善点
 ソ連では、1986年4月26日に起こったチェルノブイル事故の経過、原因などを分析し、事故防止対策としてRBMK型原子炉の安全性向上のために、設計上の改善策及び運転員の作業規律と資質向上のための組織の強化を実施した。その概要は次の通りである。

(1) 設計上の改善
a) 制御棒引抜の上限位置の変更:緊急停止効果を高めるため、すべての制御棒が炉心の上端から下方1.2mの位置より上側には引き抜けないようにした。
b) 反応度操作余裕の増加:原子炉の緊急停止を確実に行うことができるよう、反応度操作余裕を制御棒で30本から80本相当に増加させた。
c) 燃料のウラン濃縮度の増加:事故前に炉心に装荷した燃料のウラン濃縮度は2.0%であったが、これを2.4%の燃料に順次取り替えてゆく。また炉内吸収材を追加する。
d) 原子炉緊急停止設備の改善:制御棒の全挿入を急速に行う原子炉緊急停止装置を設置した。
e) 制御棒の全挿入を急速に行う反応度操作余裕計算システムの設置:反応度操作余裕が規定値よりも低下する場合には、自動的に緊急停止するように変更した。

(2) 運転員の資質向上のための組織の強化
 1887年にノボボロネジ原子力発電所付属の教育訓練センターで、VVER発電所運転員及びスモレンスク原子力発電所のRBMK訓練センターでの養成が拡大された。また他の原子力発電所でも教育訓練センター等が設置されつつある。

 その後、旧ソ連にあるRBMK型炉は、西側の安全設計、運転管理の考え方や対策も参考にしてさらに広範な安全性向上のための対策を加えて、順次各プラント毎に改善を進めている。また、現在、RBMKに関して、IAEAが中心となって安全性向上策の摘出およびその優先度について国際的同意を得る努力がなされつつある。

4.RBMK-1000型原子力発電所
4.1 レニングラード原子力発電所
 レニングラード原子力発電所はロシアのザンクトペテルブルグ(旧レニングラード)の西約74kmに位置しており、フィンランド湾に面している。この発電所は旧ソ連で建設された最初のRBMK-1000で、合計4基(4,000KWe)が1994年末現在運転中である。1、2、3、4号機は、それぞれ1974年11月、1976年2月、1980年6月、1981年8月に運転を開始した。表1にレニングラード原子力発電所の電気出力、着工、臨界、運転開始年月を示した。なお、参考として、 図1 に旧ソ連の原子力発電所分布地図を示す。 図2 はレニングラード原子力発電所の原子炉垂直断面図である。

4.2 クールスク原子力発電所
 この原子力発電所は、ロシアのクールスク市から西へ約41kmのところに位置している。クールスク原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月は 表2 にを示す通りである。

4.3 チェルノブイル原子力発電所
 この原子力発電所は、ウクライナのキエフ市から北北西へ約108kmのところに位置している。チェルノブイル原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月は表2に示す通りである。

4.4 スモレンスク原子力発電所
 この原子力発電所は、ロシアのスモレンスク市から南東へ約103kmのところに位置している。スモレンスク原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月は表2に示す通りである。 図3 にスモレンスク原子力発電所の鳥かん図を示す。

5.RBMK-1500型原子力発電所
 RBMK-1500型原子力発電所はイグナリーナしかない。
この原子力発電所は、リトアニアの東部でロシアとの国境に非常に近い場所にあり、イグナリーナ市の北東約34kmに位置している。
 チェルノブイル事故が発生した時は3、4号を建設中であったが、チェルノブイリル事故の影響を受けて、3、4号炉は建設を中止した。この原子力発電所は1、2号炉が運転中である。表2にイグナリーナ原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月を示した。 図4 はイグナリーナ原子力発電所の原子炉建屋である。
<図/表>
表1 ベロヤルスク1、2号及びRBMK-1000、RBMK-1500の特性
表1  ベロヤルスク1、2号及びRBMK-1000、RBMK-1500の特性
表2 旧ソ連RBMK型原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月
表2  旧ソ連RBMK型原子力発電所の電気出力と着工、臨界、運転開始年月
図1 旧ソ連の原子力発電所分布地図
図1  旧ソ連の原子力発電所分布地図
図2 レニングラード原子炉垂直断面図
図2  レニングラード原子炉垂直断面図
図3 スモレンスク原子力発電所鳥かん図
図3  スモレンスク原子力発電所鳥かん図
図4 イグナリーナ原子力発電所原子炉建屋
図4  イグナリーナ原子力発電所原子炉建屋

<関連タイトル>
黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK) (02-01-01-04)
RBMK型原子炉の原型炉ベロヤルスク1、2号炉の建設 (16-03-02-03)

<参考文献>
(1) ソ連の原子力開発のすべて、A.M.ペトロシャンツ、伊藤弘、篠原慶邦訳、1981年、原子力産業会議
(2) Atomic Science and Technology in USSR,I.D. Morokhov et al,1977,Moscow
(3) I.V. Kurchatov: Atomic Energy Institute USSR,Moscow
(4) Construction of Atomic Electric Power Station,1979,Moscow
(5) Construction of Thermal and Atomic Power Station, Vol.1,1985,Moscow
(6) チェルノブイルをめぐる最近の状況(ソ連邦原子力安全調査団報告)、1989年1月、日本原子力産業会議
(7) 世界の原子力開発の動向1994年中間報告(1994年6月30日現在)日本原子力産業会議
(8) 旧ソ連型炉データブック(資料編)平成5年3月 原子力安全研究協会
(9) 旧ソ連型炉データブック(解説書)平成6年3月 原子力安全研究協会
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