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<概要>
 平成4年度に発生した放射性同位元素等取扱事業所に係る事故は、紛失4件、その他1件であった。なお、いづれの事故についても周辺公衆への影響はなかった。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 平成4年度における放射性同位元素等に係る事故は、紛失4件、その他1件であった。また、周辺公衆への影響はなかった。
(1)平成4年度(1992年度)における放射性同位元素等に係る事故は、福島県いわき公害センター、香川県警察本部及び日本真空技術茅ヶ崎工場におけるガスクロマトグラフ用ECDセル(以下、「ECD収納ケース」という。)の所在不明、社会保健広島市民病院における医療用ラジウム針の所在不明、東京都立アイソトープ総合研究所における点検作業中の作業員の被ばくの計5件であった。これらについては、再発防止のための指導等、所要の措置を講じた。

放射線障害防止法令に基づき科学技術庁(現文部科学省)に報告のあった
放射性同位元素取扱施設の事故・故障(平成4年度)
発生年月態様事業所名概 要
4. 5. 6(判明)紛失福島県いわき公害対策センター同センターにおいて、平成3年7月に、老朽化したガスクロマトグラフ装置を鉄屑業者に引き渡すため、ガスクロマトグラフ用ECD収納ケースを別に保管していたが、平成4年4月に当庁からのRIの使用・保管状況調査依頼のため当該収納ケースを確認したところ、保管していたものが線源ではないことが判明し、同年5月6日、当庁に連絡。調査の結果、正式に63Ni 密封線源370MBq×2の紛失が判明した。当該線源は、昭和47年より有機化合物等の測定に使用されていたもの。
4. 9. 7(判明)紛失社会保健広島市民病院同病院の治療室において、同病院において、使用予定のない医療用密封小線源を廃棄するため、廃棄業者に引き渡したところ、当該線源(226Ra 医療用針37MBq)10本のうち1本が模擬線源であることが判明し、平成4年9月7日、当庁に連絡。調査の結果、正式に紛失が判明した。当該線源は、昭和38年から昭和57年まで悪性腫瘍の等の治療に使用されていたもの。
4. 9.14(判明)紛失香川県警察本部同県警において、昭和60年7月に、使用予定のないガスクロマトグラフ装置から、ガスクロマトグラフ用ECD収納ケース(63Ni 密封線源370MBq×1)を取り出して保管していたが、平成4年7月に当庁からRIの使用・保管状況調査依頼のため当該線源を確認したが見当たらず、同年9月14日、当庁に連絡。調査の結果、正式に紛失が判明。当該線源は昭和52年より薬品成分の検出に使用されていたもの。
4.10.8(判明)紛失日本真空技術株式会社茅ヶ崎工場平成4年8月に、当庁からのRIの使用・保管状況調査依頼のためガスクロマトグラフ用ECD収納ケース(63Ni 密封線源370MB×1)を確認したが見当たらず、同年10月8日、当庁に連絡。調査の結果、正式に紛失が判明した。当該線源は昭和48年から約1年間、製品員素材の研究(PCB分析)に使用されていたもの。
4.10.12(判明)被曝失東京都立アイソトープ総合研究所平成4年12月18日、同研究所で60Co照射装置の線源の昇降用のクレーンの点検を行っていた作業員4人が、誤って線源と一体となっている遮蔽蓋を当該クレーンでつり上げたため、被ばくした。調査の結果、4人のうち最大被ばく線量は16mSv、他はそれぞれ5.5、1.3及び1.2mSvで、健康診断結果にも異常はなかった。

 〔注:ECD=エレクトロン・キャプチャ・ディテクタ〕

<関連タイトル>
放射性同位元素等取扱事業所における事故等の年度推移(1998年度まで) (03-05-04-01)
放射性同位元素 (08-01-03-03)
放射性同位元素等取扱施設からの放射線(能) (09-01-02-07)

<参考文献>
原子力安全委員会(編):「平成4年度の放射性同位元素取扱施設の事故・故障(放射線障害防止法に基づき報告があったもの)」、平成5年度版 原子力安全白書、79、392、393、(1994).
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