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<概要>
 1982年から1998年度までに、わが国の放射性同位元素取扱施設で発生し報告された事故・故障の推移をまとめた。
<更新年月>
2000年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 1982年度から1998年度にかけて報告された事故等の推移を 表1 に示す。事故の大半は、計測用および医療用密封線源並びに治療に使用された放射性同位元素の紛失等によるものである。
 放射性同位元素および放射線発生装置を取扱う事業所は、研究機関、教育機関、医療機関、民間企業など多岐にわたり、年々増加の傾向にある。使用事業所は、1998年3月末現在で、許可事業所2,587、届出事業所2,471の合計5,058事業所となっている。それらの使用事業所に対しては、放射線障害防止法の規定により、科学技術庁(現文部科学省)の放射線検査官による施設の立入検査が毎年度行われている。1998年4月から12月末までに、222事業所のそれぞれにおける施設、取扱い、測定、健康診断などに関する事項の立入検査が行われた。
 このように毎年度多くの施設の立入検査(抜き打ちを含め)が実施されているにもかかわらず、事故は毎年のように起きている。放射線事故の8割以上を占める三大原因の分類による事故件数を表1に示すが、この17年間で紛失等の事故が28件、被ばく事故が4件、汚染事故が2件起きている。特に、線源などの紛失事故についてはほとんど毎年のように起きている。また、過去40年間のデータによれば、医療機関が関与する事故が半分以上(約60%)を占めていて、その内、紛失事故線源は226Raと60Co線源がほとんどである。(参考文献2)
 被ばく事故と汚染事故については、これまでのところ外国におけるような痛ましい事故例は多くない。
<図/表>
表1 放射性同位元素等取扱事業所における事故などの推移
表1  放射性同位元素等取扱事業所における事故などの推移

<関連タイトル>
放射性同位元素等取扱事業所における事故等の年度推移(2005年度まで) (03-05-04-02)
放射線障害防止法 (10-07-01-06)
放射線障害防止に関する関連法規 (10-07-01-07)

<参考文献>
(1) 原子力安全委員会(編):原子力安全白書 昭和58?63年版、平成元-10年版、大蔵省印刷局
(2) 中島敏行:原子力白書などにみる放射線事故、Isotope News、1999年11月、p.22
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