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<概要>
 平成12年度(2000年度)のわが国の試験研究用原子炉および研究開発段階炉(発電の用に供するもの:発電用)における放射線業務従事者線量当量について、実績をまとめた。
 放射線業務従事者一人当たりの平均線量当量は、0.5ミリシーベルト(mSv)(試験研究用原子炉:0.4mSv、研究開発段階炉:0.8mSv)、放射線業務従事者の総線量当量は、4,307人・ミリシーベルト(試験研究用原子炉:1,917mSv、研究開発段階炉:2,390mSv)であった。いずれの原子炉施設においても法令に定める線量当量限度(年間50mSv)を下回るものであった。
<更新年月>
2003年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)に基づき、試験研究用原子炉施設(試験研究用原子炉)および研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設(研究開発段階炉)の設置者から提出された平成12年度(2000年度)の「放射線管理等報告書」等から、放射線業務従事者の線量当量について、実績をまとめた。
 試験研究用原子炉および研究開発段階炉における放射線業務従事者一人当たりの平均線量当量は、0.5ミリシーベルト(mSv、以下「mSv」という。)(試験研究用原子炉:0.4mSv、研究開発段階炉:0.8mSv)、放射線業務従事者の総線量当量は、4,307人・mSv(試験研究用原子炉:1,917mSv、研究開発段階炉:2,390mSv)であった(表3参照)。いずれの原子炉施設においても法令に定める線量当量限度(年間50mSv)を下回るものであった。
 なお、平成12年度の「平成13年(2001年)1月6日」に中央省庁再編成があり、試験研究用原子炉および研究開発段階にある原子炉施設で発電の用に供しないもの(非発電・研究開発段階炉)などの規制は文部科学省が、また、実用発電用原子炉(商業用原子力発電所)のほか研究開発段階にある原子炉で発電の用に供するもの(発電用・研究開発段階炉、略して、ここでは「研究開発段階炉」という)などの規制は経済産業省が、それぞれ所掌することになった。このデータは、経済産業省および文部科学省が、平成13年7月から8月までに原子力委員会へ報告した資料を中心に、作成した。
 ここで、平成15年3月現在、運転中の非発電・研究開発段階炉はない。
1.試験研究用原子炉
放射線業務従事者個人の受けた線量当量の実績は、最大でも25mSv以下であり、全ての試験研究用原子炉において法令に定める線量当量限度(年間50mSv)を下回っており、従事者一人当たりの平均線量当量は、0.4mSvであった(前年度0.0mSv)。また、放射線業務従事者の総線量当量は、1,917人・mSvであった(前年度131人・mSv)
 線量当量限度を超えていないものの、5mSvを超えている放射線業務従事者については、核燃料サイクル開発機構大洗工学センター(現日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター)において、142名が報告されているが、これは、常陽の原子炉出力100MWから140MWへの改造工事に伴うものであり、最大線量当量は18.0mSvである。
 2000年度の試験研究用原子炉における放射線業務従事者の線量当量について、表1に実績を示す。
2.研究開発段階炉
ふげん発電所における放射線業務従事者の総線量当量は2.39人・Sv[2,390人・mSv](前年度811人・mSv)で、放射線従事者1人当たりの平均線量当量は1.2mSv(前年度0.5mSv)であった。放射線業務従事者個人の受けた線量当量の実績は、最大でも20mSv以下であり、全ての研究開発段階炉(ふげん発電所およびもんじゅ)において法令に定める線量当量限度(年間50mSv)を下回っており、従事者一人あたりの平均線量当量は、0.8mSvであった(前年度0.5mSv)。また、放射線業務従事者の総線量当量は、2,390人・mSvであった(前年度811人・mSv)。
 研究開発段階にある原子炉(研究開発段階にある発電の用に供する原子炉:発電用研究開発段階炉)における放射線業務従事者の線量当量について、表2に実績を示す。
3.まとめ
放射線業務従事者の線量当量について、試験研究用原子炉および研究開発段階炉の個々のデータと、これらを統合したデータを表3に示す。
<注記>
1)Sv:「シーベルト」で、放射線が人体に及ぼす影響を考慮した線量の単位。1Svの1000分の1は1ミリ・シーベルト(mSv)、100万分の1は1マイクロ・シーベルト(iSv)。
2)表2で、事業所名が「核燃料サイクル開発機構」の「ふげん発電所」(新型転換炉)と「もんじゅ」(高速増殖原型炉)が、研究開発段階炉(研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設)である。
<図/表>
表1 2000年度試験研究用原子炉における放射線業務従事者の線量当量
表1  2000年度試験研究用原子炉における放射線業務従事者の線量当量
表2 2000年度研究開発段階炉における放射線業務従事者の線量当量
表2  2000年度研究開発段階炉における放射線業務従事者の線量当量
表3 2000年度放射線業務従事者の線量当量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉)
表3  2000年度放射線業務従事者の線量当量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉)

<関連タイトル>
日本の試験研究炉等における放射線業務従事者被ばく管理状況の推移(2005年度まで) (03-04-07-01)
平成12年試験研究用原子炉および研究開発段階炉における事故・故障 (12-03-01-21)
放射線影響協会・放射線従事者中央登録センター (13-02-01-26)

<参考文献>
(1)原子力委員会第55回定例会議(平成13年8月6日)議事次第:試験研究用原子炉施設及び研究開発段階にある原子炉施設(発電の用に供するものを除く。)、核燃料使用施設における放射線業務従事者の被ばく管理状況及び放射性廃棄物管理状況について(平成12年度)
(2)原子力委員会第51回定例会議(平成13年7月16日)議事次第:平成12年度の原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について
(3)原子力安全委員会(編):原子力安全白書(平成13年版)、財務省印刷局(2002年5月13日)p.206,p.208
(4)経済産業省原子力安全・保安院原子力保安管理課(編):平成13年版(平成12年度実績)原子力施設運転管理年報、(社)火力原子力発電技術協会(平成13年11月)p.748-749,p.752-753
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