昭和63年度我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率 (12-01-01-10)

＜本文＞
　昭和63年度においては、中国電力（株）島根原子力 2号機（82万kW）1基が新たに営業運転を開始した。この結果、昭和63年度において全国の営業運転中の電気事業用の原子力発電所の数は、36基、2,870.1 万kWとなった。
　我が国の電気事業用の原子力発電所は、昭和41年に商業用原子力発電所が初めて運転を開始して以来、昭和50年前後に初期トラブルや応力腐食割れ（SCC）等のため、設備利用率は40〜50％程度と低迷した。その後、設備の改善等を実施し、昭和58年度に 70％を超えて以来、6年間引き続いて70％台の高い比率で推移したが、昭和63年度は 71.4％（表１及び表３参照）と若干落ち込み、ほぼ昭和58年度と同程度の設備利用率であった。
　昭和62年度は 77.1％であり、これと比較すると昭和63年度は 5.7ポイント低下した。これは、63年度に比較的定期検査が集中したこと、63年度中の新規運転開始プラントが少なかったこと、故障・トラブルに対する措置等が主な要因である。
　昭和63年度中に定期検査を終了したプラントの平均検査期間は 135日（4.5ヵ月）であり、昭和62年度と比較して17日（0.6ヵ月）増となっている。これは、蒸気発生器伝熱管補修等により比較的長期間の定期検査を要するプラントのいくつかが、63年度に集計されたことが大きな要因である。なお、平均運転期間はここ数年同じ程度で推移している。
　故障・トラブルによる運転停止頻度は、低い水準で推移している。また、故障・トラブルの件数も低い水準で推移している。
　昭和63年度故障・トラブルが発生し、長期間の運転停止に至ったプラントとしては、次のものがある。
　　　　九州電力（株）　玄海原子力発電所 1号機（PWR　55.9万kW）
　　　　関西電力（株）　高浜発電所 2号機（PWR　82.6万kW）
　　　　日本原子力発電（株）　東海第二発電所（BWR　110万kW）
　　　　中部電力（株）　浜岡原子力発電所 1号機（BWR　54万kW）
　　　　関西電力（株）　大飯発電所 1号機（PWR　117.5万kW）
　　　　東京電力（株）　福島第二原子力発電所 3号機（BWR　110万kW）
　昭和63年度の新規運転開始プラントは次の 1基である。
　　　　中国電力（株）島根原子力発電所 2号機（BWR 82万kW）
　また時間稼働率については表２及び表３に示すように平均で72.6％であった。

＜図／表＞

＜参考文献＞
（1）原子力委員会編（1989）：我が国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率（過去10年間）、平成元年版原子力白書、330-333.
（2）（社）火力原子力発電技術協会（1989）：原子力発電所の運転状況、平成元年版（昭和63年度実績）原子力発電所運転管理年報、25-158.
（3）（社）火力原子力発電技術協会（1989）：ユニット別設備利用率、ユニット別設備稼働率、平成元年版原子力発電所転管理年報、40-47.
（4）科学技術庁原子力安全局編（1989）：我が国の原子力発電の設備利用率、我が国の原子力発電の時間稼働率、原子力安全委員会月報．