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<概要>
 米原子力エネルギー協会(NEI)は2003年7月に同年5月に実施された世論調査報告書を公表した。新しい国民世論調査は、最近の原子力界への高い支持が2003年も続いていることを示している。原子力発電所増設への支持は2001年の地域的電力不足の時ほどではないが、米国成人の3分の2が原子力の使用に好意を示している。連邦の安全基準に適合している原子力発電プラントの運転認可の更新を、依然として80%の人々が支持している。
<更新年月>
2003年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.大多数が原子力賛成
 公衆の3分の2は、今、原子力の使用に賛成という。最も重要な点は、原子力賛成と反対の数の差が、20年前公衆が原子力の意見でほぼ等分に分かれていた時に比べて、大きくなったことである。今は、賛成は反対1に対して2になった。1983年には、49%が原子力賛成で46%が反対であった。今日、64%が賛成で31%が反対、5%が意見なし(Don't Know)である。
 米国では、103の原子力発電プラントが稼動中であり、国の電力の20%を原子力で発電している。大部分の原子力発電プラント所有者は、プラントの認可更新に米国連邦原子力規制委員会の許可を得ようと望んでいる。過去2年半の間に16基の原子炉−最近では、ペンシルバニア州ExelonのPeach Bottom原子炉2基、バージニア州のDominion EnergyのSurry and North Anna原子炉4基までを含む−が認可の更新を認められている。
 最近のアメリカの世論調査は、連邦の安全基準に適合している原子力発電プラントの認可更新を支持している。原子力の使用に賛成の64%に比較して、現在、米国成人の80%が、認可更新を支持している。この差は、ある人は原子力には賛成でないが、現実問題として米国が現在持っている資産の運転年数を伸ばすことを支持するということを示している。
 以下の質問に対する結果を図1に示す。また、これまでの賛成・反対の傾向を図2に示す。
 質問:「米国の電力を確保する方法の1つとして、原子力を使うことに、強く賛成しますか、どちらかといえば賛成しますか、どちらかといえば反対しますか、強く反対しますか?」

2.人口統計グループの大多数が原子力賛成
 全ての人口統計要素、男女、世代を含む、大多数が原子力を支持している。彼らの電力会社は原子力発電所を運転しているといった人々の4分の3が原子力に賛成である(図3)。
 多くの調査は、一般に、公衆よりは原子力発電所近隣の人がもっと支持していることを示している。この高い支持の説明は、恐らく、施設、プラントで働く友人や隣人への親近感、地域経済への少なからぬ貢献、よい運転実績とよい広報活動を包含したものであろう。また、多くの発電所は情報センターを持っている。幾つかは2000年9月11日以後、安全性を高めるために閉鎖されているが、公共の情報センターは歴史的に、教育者と学生のための電力会社探求を重要部分として継続している。

3.幾つかの要因の集中による公衆の支持上昇
 近年、幾つかの要因の集中が原子力への公衆の支持を上昇させた。主要な要因は、原子力発電所の全体的な効率と安全実績である。支持は、よい実績なしに維持するのは困難である。2001年に国民の一部が直面した電力不足のニュースは、当時は原子力への公衆の支持の増加に重要な役割を演じた。公衆はカリフォルニアその他での電力問題を聞き、異常に高い車のガソリン代を嘆いた。継続する中東の紛争、イラク戦争を含めて、世界の不安定部分からの石油に依存する危険を公衆に思い出させた。エネルギー問題は−電力と直接関係なくても−公衆に、エネルギーは欲しい時にいつもそこにあるとはかぎらないということを思い出させるのに役立っている。これは安らかな満足から人々を揺り動かした。
 最近、産業界のリーダーは現存する原子力発電プラントの認可を更新する将来見込み及び新しい原子炉の建設の見込みについても、一層積極的になってきている。原子力再起の可能性が、2〜3年前の電力不足以来メディアで広く報告されている。
 アメリカ人は、彼らが緊急の需要を理解する時、すなわち、現在のエネルギー危機が公になる時、もっと多くのプラントの建設を支持する方に傾斜するであろう。しかし、もっと多くの原子力発電プラントが将来のエネルギー需要に応えて利用されるためには、産業は原子炉新設計画のためにエネルギー不足を待ってはいられない。緊急の意味がなくて、新規プラントは国民のレベルで圧倒的な支持を蓄積できないであろうが、現存のプラントが信頼を築いたよい実績とよい近隣関係の歴史を持つ地方レベルでは十分支持されると考えられる。

4.電力需要と連結した原子力発電への賛成
 原子力に対する公衆の意見の長期間不変の幾つかの測定と違って、新しい原子力発電所建設に対する公衆の態度は変わりやすい。新しいプラント建設に対する支持は2001年3月には66%で最高だったが、2002年10月には55%に落ち、さらに2003年5月には50%に落ちた(図4)。ちなみに、2003年5月時点でこの問題に50%が賛成し、44%は賛成せず、6%は意見なしであった。
 原子力発電所の増設に対する支持は、もっと電力が欲しいという需要の認識と密接に関係している。その認識は後退してしまった。電力は豊富に見える。5月の調査の時点で、車用のガソリンの値段は低下していて、米国内にはエネルギー不足の名残もない。
 5月の調査は、米国が直面している最も重大なエネルギー問題として、「貴方は何を考えますか」という自由回答式質問をした。誰も、電力不足に言及しなかった。取り上げられた問題は以下のようであった。
 ・化石燃料−我々はそれに依存しており、使い尽くすだろう(37%)
 ・海外エネルギーへの依存(19%)
 ・エネルギーの価格(12%)
 ・クリーンで汚染のないエネルギー源(6%)
 原子力発電は大量の電力を生産する一方、温室効果ガスと他の汚染物質の排出がなく特別の価値を持っている。ニュージャージー州の温室効果ガスを減らそうというキャンペーンは、この価値の優れた事例研究である。Pew地球気候変動研究センター(Pew Center on Global Climate Change)の報告は、1998〜2002年間のニュージャージー州の温室効果ガス削減率が2005年の削減目標を超えるペースにあることを明らかにした。報告書はこの理由として、この減少の大部分は、州のプログラムと関係なく原子力発電への依存を増やすなどの電力供給の変化に帰せられると指摘している。
 原子力発電はまた、二酸化硫黄、スモッグの原因の窒素酸化物、水銀などに対する連邦のクリーン大気法の要件に対応することでも州や地域に役立つこともできる。多くの州は、今、化石燃料からこれらの排出物を減らす会社に対して便益を与えている。ある州は、第1に非排出源から電力生産を増加させることで排出回避する会社に対して便益を与えるであろう。また、ある州は、ニューハンプシャー州のように、クリーン大気計画の中で排出許容される再生型エネルギーに原子力を含めるであろう。
 排出回避に対して原子力に現実的な便益を与えようという考えは、5月の調査によると、多数の意に適うものである。調査では、この概念に対する反応を以下の質問でテストした。結果は図5に示す。
 質問:原子力プラントは、大気汚染物質や温室効果ガスを排出しないで大量の電気を生産する。この汚染回避は、州が連邦クリーン大気法に応じるのを支援し、地球の気候変動潜在的に負の効果を制限する。化石燃料プラントは、その排出を減少させることによって現実的便益を稼いでいる。同様な便益は、排出回避する原子力発電所にも利用されるべきであろうか?

 2000年10月に同様な調査が行われている。一つは、今回と同様な成人を対象とし、もう一つは、大学を卒業して有権者となった人を対象としている。この調査では、後者の方が、原子力賛成が多く、教育の高い、若年層ほど原子力に賛成であることを示している。
<図/表>
図1 原子力賛成、反対の割合
図1  原子力賛成、反対の割合
図2 原子力賛成/反対の推移
図2  原子力賛成/反対の推移
図3 電力源として原子力使用に賛成の割合
図3  電力源として原子力使用に賛成の割合
図4 原子力発電所新設に賛成(強く、どちらかというと)する割合の推移
図4  原子力発電所新設に賛成(強く、どちらかというと)する割合の推移
図5 原子力発電所は排出回避に対する便益を受けるべきであるという人の割合
図5  原子力発電所は排出回避に対する便益を受けるべきであるという人の割合

<関連タイトル>
欧州連合市民と放射性廃棄物 (10-05-04-01)
欧州連合市民とエネルギー問題 (10-05-04-02)
米原子力エネルギー協会(NEI)の世論調査(2004年10月) (10-05-04-04)

<参考文献>
(1) Perspective on Public Opinion prepared for the Nuclear Energy Institute, July 2003,
(2) Perspective on Public Opinion prepared for the Nuclear Energy Institute, December 2002,
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