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<概要>
 原子力委員会は、2001年1月23日、21世紀を迎え、また中央省庁等改革によって原子力委員会が内閣府に移行するに当たり、「21世紀の原子力委員会の発足に当たって」を委員会決定として発表した。内容は、原子力委員会の位置付け、原子力を巡る現在の情勢及び今後の展望、21世紀の原子力委員会のあり方、から構成されている。委員会決定の全文を原文のとおり示す。
<更新年月>
2002年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子力委員会は、2001年1月23日、21世紀を迎え、また中央省庁等改革によって原子力委員会が内閣府に移行するに当たり、所信の一端を表明した。内容は、原子力委員会の位置付け、原子力を巡る現在の情報及び今後の展望、21世紀の原子力委員会のあり方、の三項目から構成されている。以下に「21世紀の原子力委員会の発足に当たって」の全文を原文のとおり示す。ただし、理解のため若干の文言を補足した。

21世紀原子力委員会の発足に当たって
 
 21世紀を迎え、またこの度の中央省庁等改革により、原子力委員会が内閣府に移行するに当たり、所信の一端を申し述べたいと思います。

(原子力委員会の位置付け)
 原子力委員会は、昭和31年に、原子力の研究、開発及び利用、即ち「原子力利用」に関する行政の民主的運営を図るために設置されました。委員会は、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法により、原子力利用に関することについて企画し、審議し、及び決定することとされています。これまで40年以上にわたって、「原子力研究開発利用長期計画」の策定を始めとして、さまざまな活動を行ってきましたが、ここであらためて、21世紀の原子力委員会がどのような役割を果たすべきかについて、初心に立ち返ることが必要であると考えております。

(原子力を巡る現在の情勢及び今後の展望)
 まず最初に銘記すべきことは、20世紀最後の数年に起こった事故や不祥事により、国民の間に、原子力に対する不安や不信が高まったことです。しかしながら、他方で、地球温暖化問題に対してぎりぎりの対応が求められている中で、エネルギーの安定供給と二酸化炭素の排出量の削減の二つの側面から、現時点では、引き続き、核燃料サイクルの確立を図りつつ原子力発電を基幹電源として最大限に活用することが不可欠です。また、放射線利用の理解と普及が国民生活の向上に貢献することや、原子力科学技術の研究開発が、人類の知的フロンティアの開拓やわが国の新産業の創出に貢献することも忘れることはできません。これらのことは、実にさまざまな立場の方々のご意見を伺って昨年(2000年)策定した「原子力研究開発利用長期計画」(以下「長期計画」という。)に述べられています。
 これからの原子力委員会の役割を考えるに当たっては、まず、この「長期計画」を誠実に、また積極的に具体化し、着実に進めていくことが第一歩であると考えております。

(21世紀の原子力委員会のあり方)
 原子力委員会がこのような役割を果たしていくためには、委員会そのもののあり方についても再検討する必要があります。新たな世紀を迎えるとともに中央省庁等改革が行われるというこの機会に、原子力委員会のあり方を考えることは不可欠です。
 昨年(2000年)の「長期計画」の議論を始めとするいろいろな場で、異なった立場からさまざまな意見や期待、批判が寄せられました。その中には、国民からより信頼される原子力委員会を求める声もあれば、関係省庁から独立して等距離に位置する委員会を望む声もありました。また、原子力政策の決定過程へ国民が積極的に参加することや政策決定後の評価も、強く求められています。
 今後、委員会の具体的な組織や活動の内容について早急に検討を進めていきますが、いずれにしても、原子力委員会は、柔軟かつ機動的な組織として、国民の皆さんや各地域の方々と常に接し、さまざまな意見を十分に反映していく努力をしてまいります。そして行動に当たっては、常に自己評価していくつもりです。

 新しい原子力委員会が具体的に行動していくに当たり、我々原子力委員は、あらためて、民主主義が発達した国では、いかなる政策も国民や社会の理解と協力なしには進められないことを肝に銘じています。また、国際社会に対しても、我が国の原子力平和利用の大原則が十分に理解され、その協力が得られるよう努力を重ねていきます。

 原子力委員会は、原子力に関するどんなことについてでも、国内外を問わず、「いつでも、どこでも、だれとでも」対話することを心がけていきます。

 以上述べた考え方のもとで、新しい原子力委員会は、21世紀におけるわが国の発展に必要な原子力の円滑な利用ができるよう、より広い視野に立って、主体的かつ積極的に努力していきたいと考えております。
<関連タイトル>
JCOウラン加工工場臨界被ばく事故の概要 (04-10-02-03)
原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について(2000年1月) (10-03-02-09)
原子力安全委員会の当面の規制調査の実施方針について(2000年6月) (10-03-02-10)

<参考文献>
(1) 原子力委員会ホームページ:21世紀の原子力委員会の発足に当たって(2002年2月15日)
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