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<概要>
 ウラン鉱床は13の鉱床タイプに分類され、その分布は各々の鉱床タイプ毎に異なる地質条件により規制されている。現在、ウランは不整合関連型鉱床(カナダ、オーストラリア)と砂岩型鉱床(中央アジア〜カザフスタン、ウズベキスタン、中国北西部、ニジェール、米国)、赤鉄鉱質角礫複合岩型鉱床(オーストラリア)、石英中礫礫岩型鉱床(南アフリカ)、火成岩型鉱床(ナミビア)、火山・カルデラ関連型鉱床(ロシア、中国)、および交代岩型鉱床(ウクライナ)などから採掘されている。
 2007年の世界のウラン生産量は41,279tUで、18か国で生産された。主な生産国は、カナダ(9,476tU)、オーストラリア(8,611tU)、カザフスタン(6,637tU)、ロシア(3,413tU)、ニジェール(3,153tU)、ナミビア(2,879tU)、ウズベキスタン(2,320tU)、米国(1,654tU)であった。これら上位8か国で世界の生産量の92%を占めた。
<更新年月>
2009年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.ウラン鉱床の分布
 OECD/NEA・IAEAの共同報告「URANIUM−RESOURCES,PRODUCTION AND DEMAND−2007,(2008)」(以下「レッドブック(2007年)」)は、世界のウラン鉱床をその地質学的な設定条件およびその経済的重要性に基づいて、13の主要なウラン鉱床タイプに区分している。レッドブック(2007年)による世界の在来型ウラン資源量を表1に、世界のウラン資源量の分布を図1に、主なウラン資源国の占める割合を図2に示す。
(1)不整合関連型鉱床
 不整合関連型鉱床は、高品位でかつ大規模な鉱床であり、現在生産の主流となっている低コストウラン鉱床である。
 本タイプの鉱床は、前期〜中期原生代の堆積盆に形成された非変成赤色砂岩層と前期原生代の変成堆積岩との不整合近傍に産するのが特徴で、以下のサブタイプに分類されている。
1)不整合接触型:主にカナダ、サスカチワン州北部のアサバスカ堆積盆地に産する鉱床で、不整合面直下から下部にかけて変成堆積岩中の構造に規制されて産し、一般的にウラン単独の鉱化作用からなるタイプ(McAther River、Rabbit Lake鉱床等)、および不整合面直上の粘土変質した基底部砂岩中に産し、一般的にニッケル、コバルトなど多種金属の鉱化作用を伴うタイプ(Cigar Lake鉱床等)からなる。
2)基盤型:不整合面より下部の変成堆積岩基盤岩中に層序や構造に規制されて産し、規模は大きいが品位がやや低いタイプである。オーストラリア北部のアリゲーターリバー地域(Ranger、Jabiluka鉱床等)およびカナダ、ヌナブット準州のシーロン盆地(Kiggavik/Sissons鉱床)などに産する。
(2)砂岩型鉱床
 本タイプ鉱床は、1980年代後半以降生産量が激減していたが、最近は低コストで生産できるISL採鉱法(原位置溶液採鉱法)が適用可能な鉱床を対象に、カザフスタン、米国などで生産量が増加している。
 本タイプ鉱床は主に顕生代の河川生成砂岩層および礫岩層中に産する鉱床である。地層中に含まれる植物化石起源の有機物が地層を還元雰囲気にし、地下水中の溶存ウランを還元し、地層に定着させる能力があるためと考えられている。本タイプの鉱床は、さらに以下の4つのサブタイプに分類される。
1)ロールフロント型:河川成砂岩層中に舌状に発達する酸化変質帯の先端(front)部分に形成される鉱床で、鉱体の断面は還元帯側に膨らむ三日月状の形状を示す。米国のワイオミング州(Smith Ranch鉱床等)・ネブラスカ州(Crow Butte鉱床)、中央アジアのカザフスタン中南部のChu−Sarysu盆地(Inkay、Mynkuduk鉱床等)、ウズベキスタン西部(Bukinay、Sugraly、Uchkuduk鉱床等)などが代表的な産地で、このタイプはISL法による採鉱が可能である。
2)タービュラー型:河川成砂岩中の還元変質帯中に産する平板状の鉱床で、植物起源の有機物が密接に関係したタイプである。オーストラリアのWestmoreland、Beverley鉱床、中国のNuhetting鉱床、チェコのHarm−Straz鉱床、ニジェールのAkouta、Arlit、Imouraren鉱床、米国ニューメキシコ州のグランツ地域などがこのタイプに分類される。
3)基底チャンネル型:古河川系のチャンネル基底部を埋める透水性の良い堆積物中に植物片を伴って産するタイプである。ロシアのDalmatovskoye、Malinovskye、Khiagdinskoye鉱床、オーストラリアのBeverley鉱床等がこの代表例で、わが国の東濃鉱床と人形峠鉱床も本タイプに分類される。
4)構造・岩相規制型:構造作用により破砕構造が発達した砂岩中に産するタイプである。形成年代が20億年前と例外的に古いガボンのOklo/Mounana/Mikouloungou鉱床(採掘済み)はこのタイプの代表例である。
(3)赤鉄鉱・角礫岩複合型鉱床
 本タイプの鉱床は、典型的には、原生代に形成された花崗岩体中の大規模な赤鉄鉱質火山性角礫岩体中に、ウランが銅、金、銀、希土類元素を伴って産する。南オーストラリア州のOlympic Dam鉱床が、ウランとしては唯一経済性を有する鉱床なのでOlympic Dam型とも呼ばれる。銅を対象とする探鉱分野では、IOCG(Ion Oxide Copper Gold)型とも呼ばれる。
(4)石英中礫礫岩型鉱床
 本タイプの鉱床は、大気中の酸素濃度が低かった始生代後期〜原生代の始めに、ウラン鉱物が酸化・溶解されずに鉱物の形で比重差により濃集したもので、漂砂型鉱床の一種と考えられている。ウラン鉱物は、黄鉄鉱や金などの重鉱物と共に、河川〜湖沼成堆積物の基底部をなす石英中礫礫岩のマトリックス中に産する。ウラン品位は低いが大規模な鉱床である。カナダ・オンタリオ州のElliot Lake地域では40年以上にわたりウランを生産してきたが、1996年に競争力が乏しいことから生産を終了した。南アフリカのWitwatersrand地域では、金の副産物としてウランが採掘されている。
(5)鉱脈型鉱床
 本タイプはウラン鉱物が割れ目、裂罅(れっか)、間隙、角礫、網状構造のような空隙を充填している脈状の鉱床で、開口部の大きさは様々であるが、一般に走行方向に大きな延びを示す。鉱脈は、炭酸塩鉱物、石英などの脈石を多く伴い、鉱石鉱物は主にピッチブレンドである。主な例としては、ピッチブレンド塊状鉱脈からなるPribram(チェコ)、Schlema−Alberoda(ドイツ)、Shinkolobwe(コンゴ)、網状および柱状のBernardan(フランス)、Gunnar(カナダ)および花崗岩、変成岩中の狭い割れ目をピッチブレンドが充填するMina Fe(スペイン)、Singhbhum(インド)などがある。
(6)火成岩型鉱床
 本タイプの鉱床は、様々な化学組成の火成岩類(アラスカイト、花崗岩、モンゾナイト、過アルカリ閃長石、カーボナタイトおよびペグマタイト)に伴う鉱床で、一般に低品位であるが非常に大規模な鉱床である。
 代表例としては、ナミビアのRoessing鉱床が大規模採掘により低コストで生産を行っている。南アフリカのカーボナタイト中のPhalaborwa鉱床では、銅・燐酸塩の副産物として2002年までウランを生産していた。
(7)火山・カルデラ関連型鉱床
 本タイプの鉱床は、苦鉄質から珪長質の火山岩および挟在する砕屑性堆積物によって埋められた火山カルデラ内および近傍に産する。鉱化作用は強い構造規制と弱い層準規制を受け、火山岩および堆積岩ユニットのいくつかの層準に産し、破砕された花崗岩、変成岩などの基盤岩にまで及ぶこともある。ウラン鉱物は、一般にモリブデンとその他の硫化物、蛍石、石英を伴っている。ロシアのウラン生産量の大部分はStreltsovskカルデラ鉱床からのものである。他に、中国(相山鉱床等)、モンゴリア(Dornot鉱床)、カナダ(Michelin鉱床)、オーストラリア(Ben Lomond、Maureen鉱床)などが知られている。
(8)交代岩型鉱床
 本タイプの鉱床は、先カンブリア紀楯状地の構造−火成活動地域に限定され、様々な基盤岩(花崗岩類、片麻岩、アルカリ角閃岩、炭質−鉄質岩等)の上に発達した断層に伴うアルカリ交代岩に関係して産する。代表例として、Michurinskoye、Vatutinskoye、Severinskoye鉱床(ウクライナ)、Lagoa Real、Itataia、Espinharas鉱床(ブラジル)、Valhalla鉱床(オーストラリア)、スウェーデン北部のArjeplog地帯の鉱床などがある。
(9)表成型鉱床
 本タイプの鉱床は、第三紀から現世までの若い時代に、堆積物または土壌中の地表近くにウランが濃集したものである。本タイプの大部分は、カルクリート(Ca−Mg炭酸塩)として産し、深部まで風化が発達したウランに富む花崗岩および若い河川チャンネル堆積物やプラヤ湖堆積物中に伴われる。本タイプ鉱床は、オーストラリア(Yeelirrie)、ナミビア(Langer Heinrich鉱床)、ソマリアなどの半乾燥地域に分布している。
(10)崩壊角礫岩パイプ(コラップス・ブレッチャパイプ)型鉱床
 本タイプの鉱床は、米国アリゾナ州のArizona Strip鉱床群に代表され、崩落した岩屑で満たされた円形かつ垂直の筒(パイプ)中に産する。初生鉱物(一般に閃ウラン鉱)からなるウランは、透水性の高い角礫岩のマトリックス中およびパイプをとり囲む円弧状−リング状の破砕帯に濃集している。
(11)燐灰土型鉱床
 本タイプの鉱床は、ウランが細粒燐灰石中に同生堆積物として層状または鉱染状に含まれた形で、大陸棚起源の海成燐灰土中に産する。本タイプの鉱床中には膨大なウラン資源が含まれるが、非常に低品位であるため、ウランは燐酸肥料を生産する際の副産物としてのみ回収可能である。例として、New Wales Florida、Uncle Sam(米国)、Gantour(モロッコ)、Al−Abiad(ヨルダン)などがある。また、有機性の燐酸塩からなる別のタイプの燐灰土型鉱床として、Melovoe(カザフスタン)鉱床がある。
(12)その他の鉱床
1)変成岩型鉱床:ウランの濃集が変成作用のプロセスに直接起因するタイプ。例として、Forstau(オーストリア)、Mary Kathleen(オーストラリア)がある。
2)石灰岩型鉱床:米国グランツ地域のジュラ紀Todilto石灰岩中に産するウラン鉱化作用が代表例である。
3)ウラン石炭型鉱床:褐炭・石炭および褐炭に接する粘土・砂岩中にウランが濃集するタイプ。ウラン品位は50ppmU以下と低い。
(13)ウランに富む岩石種
 ペグマタイト、花崗岩、黒色頁岩などウランに富む岩石種が存在する。いずれも低品位であり、過去に経済的に採掘された例はない。
 黒色頁岩は、海生の有機物に富む頁岩または炭質・黄鉄鉱質頁岩中に、低品位の鉱染状ウランが有機物に吸着されて同生的に堆積するタイプで、例として、スウェーデンとエストニアの明礬頁岩(alum shale)、Chatanooga shale(米国)、Chanziping鉱床(中国)、Gera−Ronneburg鉱床(ドイツ)が挙げられる。
 世界の主要なウラン鉱床位置図を図3に示す。
2.主要生産国と生産量
 WNA(World Nuclear Association)によると、2007年の世界のウラン生産量は、41,279tUで、2006年の39,429tUより増加したが、2005年の41,702tUより若干減少した(表2http://www.world-nuclear.org/info/inf23.html)。2007年の生産量は原子炉必要量64,615tUの64%を充当したに過ぎなかった。合計18か国でウランが生産され、主な生産国はカナダ(9,476tU)、オーストラリア(8,611tU)、カザフスタン(6,637tU)、ロシア(3,413tU)、ニジェール(3,153)、ナミビア(2,879tU)、ウズベキスタン(2,320tU)、米国(1,654tU)の8か国で、世界の生産量の92%を占めた。また、カナダとオーストラリアとカザフスタンの3か国で60%以上を占めた。
 主要生産国(カナダ、オーストラリア、カザフスタン、アフリカ)のウラン鉱床および鉱山の概要を表3に示す。
(前回更新:2005年1月)
<図/表>
表1 世界の在来型ウラン資源量(2007年)
表1  世界の在来型ウラン資源量(2007年)
表2 世界のウラン生産量の推移
表2  世界のウラン生産量の推移
表3 主要生産国のウラン鉱床・鉱山概要
表3  主要生産国のウラン鉱床・鉱山概要
図1 世界の既知ウラン資源量の分布
図1  世界の既知ウラン資源量の分布
図2 主なウラン資源国
図2  主なウラン資源国
図3 世界の主要なウラン鉱床位置図
図3  世界の主要なウラン鉱床位置図

<関連タイトル>
ウランの地殻中での挙動とその分布 (04-02-01-01)
カナダのウラン鉱山 (04-03-01-05)
米国のウラン鉱山 (04-03-01-06)
オーストラリアのウラン鉱山 (04-03-01-07)
フランスのウラン鉱山 (04-03-01-08)

<参考文献>
(1)OECD/NEA−IAEA:URANIUM 2007:RESOURCES,PRODUCTION AND DEMAND,レッドブック(2007年),OECD(2008)
(2)核燃料サイクル開発機構(現、原子力研究開発機構):海外ウラン資源探査−探査技術とりまとめ−(2001)
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